市場規模は前年同月の2割に

ホットペッパーグルメ外食総研による外食市場調査の2020年4月度調査結果では、外食市場規模が772億円で、前年同月に比べて2654億円のダウン(前年同月比22.5%)となった。

女性・外食実施率低下、男性・外食単価低下

 2020年4月の外食市場規模は、3圏域合計で772億円。前年同月比(以下、前年比)は−2654億円で、2012年の調査開始以来、過去最低額を2カ月連続で更新した。前年比の下げ幅も過去最大で、市場規模は前年比約4分の1にまで縮小した。また、主要3指標である外食実施率・頻度・単価とも最低記録を更新した。外食実施率・頻度は2カ月連続しての最低値更新であった。

 性年代別では、女性の外食実施率低下がとくに顕著で、20代、30代、40代、60代で前年比−50ポイント以上の下げ幅であった。一方、男性では外食単価の前年比減少が目立ち、50代・60代では前年比で1,000円を超える単価の下落であった。

 2020年4月は全国の都道府県に緊急事態宣言が発出されたことで、消費者が外出および外食を自粛したいったんのピーク時期であったと考えられる。

 圏域別では、3圏域とも外食実施率・頻度・単価とも前年比ではマイナスであったが、市場規模の増減率では首都圏が最も影響が大きく、市場規模は前年比で約2割となっている。

2020年4月の外食実施率は28.8%

前月比増減−31.3pt、前年比増減−47.7pt。

外食実施率(2020年4月)

2020年4月の外食頻度は3.18回/月

前月比増減−0.49回、前年比増減−1.00回。

外食頻度(2020年4月)

2020年4月の外食単価は2,070円

前月比増減−325円、前年比増減−534円。

外食単価(2020年4月)

2020年4月の外食市場規模は772億円

前月比増減−1396億円、前年比増減−2654億円。

外食市場規模(2020年4月)

居酒屋、和食、肉系で打撃大/牛丼、カレー等は半減免れる

 業態別では主要16業態はいずれも市場規模が前年比・前月比ともにマイナスだった。とくに、「居酒屋」(前年比増減−639億円)、「和食料理店」(同−396億円)、「焼肉、ステーキ、ハンバーグ等の専業店」(前年比増減−263億円)等で減少幅が大きかった。

 延べ外食回数が前年を上回った業態はなかった。

 単価が前年を上回ったのは「バー、バル、ワインバー、ビアホール、パブ」(前年比+1,866円)、「ファミリーレストラン、回転すし等」(前年比+511円)、「すき焼き、しゃぶしゃぶ、鍋、おでん等の専業店」(前年比+110円)、「牛丼、カレー等一品もの専売業態」(前年比+25円)の4業態だった。

 市場規模の増減率で見ると、前年同月比増減率−95.5%の「カラオケボックス」を筆頭に飲酒主体業態(同−83.9%)、食事主体業態(同−74.0%)、軽食主体業態(同−61.9%)と、飲酒主体業態の落ち込みが顕著。

 市場規模が半減しなかったのは、「牛丼、カレー等、一品もの専売業態」(同−44.3%)のみであった。

前年比プラス業態

なし

前年比±0の業態

なし

前年比マイナス業態

「和食料理店」「中華料理店」「レストラン、食堂、ダイニング、洋食店」「フレンチ・イタリアン料理店」「アジアン料理店」「焼肉、ステーキ、ハンバーグ等の専業店」「お好み焼き、鉄板焼き等の専業店」「すき焼き、しゃぶしゃぶ、鍋、おでん等の専業店」「ファミリーレストラン、回転すし等」「ラーメン、そば、うどん、パスタ、ピザ等の専業店」「居酒屋」「バー、バル、ワインバー、ビアホール、パブ」「カラオケボックス」「スナック、ナイトクラブ、キャバレー」「ファストフード」「牛丼、カレー等一品もの専売業態」

※ホットペッパーグルメ外食総研「外食市場調査」(2020年4月度)
https://www.hotpepper.jp/ggs/research/article/marketing/202004

ホットペッパーグルメ外食総研・外食市場調査

 ホットペッパーグルメ外食総研・外食市場調査は、リクルートライフスタイル(東京都千代田区、淺野健社長)の外食に関する調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」が行っている調査。毎月、首都圏・東海圏・関西圏の約9,000~1万人を対象に「外食市場調査」を実施している。

 この「外食市場調査」では、圏域内の生活者による毎日の夕方以降の食事や飲酒について、外食と中食の内容(場所、相手、単価など)をヒアリングし、毎月の外食市場の動きを継続的に可視化している。3圏域限定で朝食・昼食は含まない市場調査ではあるが、飲食店などの事業所ヒアリングではなく、生活者に直接ヒアリングを行っていることから、性年代別や相手別の消費動向がわかり、外食している街や業種の情報が取得できていることが特徴。

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About 稲垣昌宏 56 Articles
ホットペッパーグルメ外食総研上席研究員 いながき・まさひろ 市場調査をメインに消費者動向から外食市場動向を分析・予測。また、観光に関する調査・研究、地域振興機関である「じゃらんリサーチセンター」研究員も兼務し、「食」と「観光」をテーマに各種委員会活動や講演などを行っている。肉より魚を好む、自称「魚食系男子」。