シニア層の外食消費がプラス

ホットペッパーグルメ外食総研による外食市場調査の2019年5月度調査結果では、外食市場規模が2カ月連続で前年を上回った。とくに、60代男女の外食実施率と外食単価がそろって前年比プラスだった。

外食市場規模は2カ月連続で前年比プラス

 2019年5月の外食市場規模は、3圏域合計で3,238億円。前年同月比(以下、前年比)は+48億円で2カ月連続で前年を上回った。5月としては2017・2018年の市場規模は上回っているが、2013年~2016年の市場規模に比べると、下回っている状況。

 外食実施率(76.5%、前年比+0.4ポイント)と外食頻度(4.21回/月、前年比+0.12回)が前年を上回り、外食単価(2,444円、前年比−30円)は前年割れした。

 5月はGWの10連休の後半であり、前年に比べて祝日が2日多くなっており、外食市場にとっては有利な状況であったと言えるが、本調査では居住圏域外の旅行先での飲食は各圏域の市場規模に集計されないため、実際の外食消費はさらに大きかった可能性もありそうだ。

 性年代別では、60代男女でのみ、外食実施率と外食単価が共に前年比プラスとなっており、他ではそろって上回っている年代はない。シニア層で「令和」お祝いムードが、外食消費に好影響だった可能性もある。

2019年5月の外食実施率は76.5%

前月比増減 ±0.0pt、前年比増減+0.4pt。

外食実施率(2019年5月)

2019年5月の外食頻度は4.21回/月

前月比増減+0.03回、前年比増減+0.12回。

外食頻度(2019年5月)

2019年5月の外食単価は2,444円

前月比増減−160円、前年比増減−30円。

外食単価(2019年5月)

2019年5月の外食市場規模は3,238億円

前月比増減−188億円、前年比増減+48億円。

外食市場規模(2019年5月)

肉系好調続く。フレンチ・イタリアンも復調

 業態別では、主要16業態中、11業態で市場規模が前年比プラス。「居酒屋」(前年比増減+19億円)、「中華料理店」(同+16億円)、「ラーメン、そば、うどん、パスタ、ピザ等の専業店」(同+15億円)等で前年を上回った。

 逆に「バー、バル、ワインバー、ビアホール、パブ」(前年比増減−25億円)、「和食料理店」(前年比増減−20億円)等では、市場規模が前年を下回った。

 延べ外食回数でもっとも伸びたのは「ラーメン、そば、うどん、パスタ、ピザ等の専業店」で前年比+105万回。また、単価が最も伸びたのは「スナック、ナイトクラブ、キャバレー」で前年比+1,097円だった。

 連続して前年市場規模を上回っている業態は「焼肉、ステーキ、ハンバーグ等の専業店」が12カ月連続。「フレンチ・イタリアン料理店」は先月まで8カ月連続前年実績を下回る、または±0だったが、今月は前年比+14億円で9カ月ぶりに前年超え。

前年比プラス業態

「中華料理店」「レストラン、食堂、ダイニング、洋食店」「フレンチ・イタリアン料理店」「焼肉、ステーキ、ハンバーグ等の専業店」「すき焼き、しゃぶしゃぶ、鍋、おでん等の専業店」「ファミリーレストラン、回転寿司」「ラーメン、そば、うどん、パスタ、ピザ等の専業店」「居酒屋」「スナック、ナイトクラブ、キャバレー」「ファストフード」「牛丼、カレー等一品もの専売業態」

前年比±0の業態

なし

前年比マイナス業態

「和食料理店」「アジアン料理店」「お好み焼き、鉄板焼き等の専業店」「バー、バル、ワインバー、ビアホール、パブ」「カラオケボックス」

※ホットペッパーグルメ外食総研「外食市場調査」(2019年5月度)
https://www.hotpepper.jp/ggs/research/article/marketing/201905

ホットペッパーグルメ外食総研・外食市場調査

 ホットペッパーグルメ外食総研・外食市場調査は、リクルートライフスタイル(東京都千代田区、淺野健社長)の外食に関する調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」が行っている調査。毎月、首都圏・東海圏・関西圏の約9,000~1万人を対象に「外食市場調査」を実施している。

 この「外食市場調査」では、圏域内の生活者による毎日の夕方以降の食事や飲酒について、外食と中食の内容(場所、相手、単価など)をヒアリングし、毎月の外食市場の動きを継続的に可視化している。3圏域限定で朝食・昼食は含まない市場調査ではあるが、飲食店などの事業所ヒアリングではなく、生活者に直接ヒアリングを行っていることから、性年代別や相手別の消費動向がわかり、外食している街や業種の情報が取得できていることが特徴。

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About 稲垣昌宏 56 Articles
ホットペッパーグルメ外食総研上席研究員 いながき・まさひろ 市場調査をメインに消費者動向から外食市場動向を分析・予測。また、観光に関する調査・研究、地域振興機関である「じゃらんリサーチセンター」研究員も兼務し、「食」と「観光」をテーマに各種委員会活動や講演などを行っている。肉より魚を好む、自称「魚食系男子」。