日本では普通「オーナーシェフ」と言いますが、これは英語とフランス語の混成で作った和製外来語で、フランス語で統一するならシェフパトロン(chef-patron)が正しいようです。
シェフ(chef)も英語では chief ですから、もともとは管理者の一人ですが、patron はオーナー、出資者です。
そこで気付くわけです。いわゆるオーナーシェフつまりシェフパトロンは一人三役、3つの顔を持つ複雑な人であると。すなわち、料理の技術者=職人であり、厨房を采配を取る管理者であり、しかもその全体の資本を握る資本家であるということです。
一般に、企業の中で社員、役員、出資者というのは対立する宿命を持ちます。そして、そこをうまくまとめて組織が円満に活動するように働きかける才能と習慣が根付いた会社が優良企業となるわけです。
その対立と融和を一人の人間が演じる。ですから、シェフパトロンとはとても奥深い仕事のように思われるわけです。
その実際のところがどのようであるか。El Poniente(大阪・北浜)の小西由企夫シェフと、TERAKOYA(東京・小金井)の間光男シェフをお迎えし、お二人にシェフパトロンの仕事をたっぷりお話しいただくセッションを、第5回世界料理学会 in HAKODATEの2日目(2015年4月21日)に予定しています。
※このコラムはメールマガジンで公開したものです。