そろそろ今年を振り返る頃になってきました。もちろんまたいろいろなことがあったのですが、自分の経験ではなくひとから聞いただけで心に受けたインパクトの大きかった話の一つはこんなものです。
レストランを経営している友人がこの春北海道の離島へ旅行しました。親戚の結婚式に出るためだったそうです。この友人の親戚である新郎が離島に暮らしていて、東京から新婦を迎えたとのこと。
それで、友人がお祝いを述べたあと、ところでと花嫁に聞いたそうです。愛があるとはいえ、東京に暮らしていた人がここで暮らすのに不自由は感じなかったのですかと。なにしろこの花嫁さんは、けっこう凝ったものを作る料理好きな人で、レパートリーにはエスニック系のものもある。友人は素朴な疑問として、珍しい食材や新しい調理器具などを探して手に入れる、そういう楽しみはどうするのだろうと思ったわけです。
ところがご本人は全く心配ないとにっこり――「Amazonですぐ届きますから」。
「トム・ピーターズの起死回生」(”The Circle of Innovation” http://amzn.to/1zLLewT)に「距離は死んだ」という見出しを見つけて、「まあね、昔に比べればそうでしょ」なんてつぶやいていたのが16年前。しかし、今度ばかりは本当にそうなっているんだとわかりました。
国が地方再生とまたぶつぶつ言っていますが、本当の変化は官が起こすものではなく、民間で、自然に、そして突然雪崩を打つように起きるものなのでしょう――10年後、いや5年後、あなたはどこに住んで何を食べていると思いますか?
※このコラムはメールマガジンで公開したものです。