1985年8月12日当日を含めれば、日本航空123便墜落事故から30回目の夏の日となります。あの事故で520名の生命が失われました。
航空機の事故率は他の交通機関よりも低いと言われますが、事が起こったときの損害規模が大きいために人々に強い印象を与えます。
旅客機は金のかかる大がかりな装置です。では、いちどきに数百名の生命にかかわるような事故は、そうしたビッグビジネスだけのものでしょうか。
520名と言えばファミリーレストラン1店の1日来店数ぐらいでしょう。あるいは、たとえば40席程度で2回転する中小飲食店であれば1週間(6日間)の来店数です。
農家であれば、8個詰めのキャベツ65ケースでその数になります。1人1合の米飯をまかなうなら、生米150gとして、5kg詰めの米袋16袋分程度です。
なお、このほど静岡市で発生したO157集団食中毒事故は、7月26日に開催された安倍川花火大会の露店で売られた冷やしキュウリを原因とするもので、発症者数は467名を数えます(8月11日15時、静岡市保健所)。
500というのは身近な、大きな数字なのです。
商業で考えれば、日ごろ、その500なりの人数からいかに笑顔をもらうかというようにも考えるでしょう。もちろんそうした努力も経営上大切なこととではあります。しかし、何事もなく、当たり前に、特別な感謝の言葉もかけてもらうでもなく、ただ普通に代金をいただいて、無事に帰っていただくということも、とても大切なことだと思います。
そして、一人ひとりにとっては、500など言わず、たった一つだけの生命で、これ以上ないほどに重大なものです。
※このコラムはメールマガジンで公開したものです。