「大日本基準コクテール・ブック」
洋酒文化の歴史的考察

IV 赤くなかった“赤富士”(1)

「大日本基準コクテール・ブック」をついに実際に手にとって読むことができたとき、筆者はそのことに感激すると同時に、あるカクテルのレシピを見て愕然とした。ほかでもない、昭和8(1933)年、国際カクテルコンクールで佳作入選したJBA版「マウント・フジ」である。
洋酒文化の歴史的考察
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III 幻の「大日本基準コクテール・ブック」(2)

筆者が抄録ではなく「大日本基準コクテール・ブック」そのものをぜひ読みたいと考えるのにはわけがある。二次資料を無批判に信用すれば、誤った情報を残す連鎖に荷担することになるからだ。「マウント・フジ」にまつわる誤解などはよい例だ。しかし、問題はいかにその原典にたどり着くかだった。
洋酒文化の歴史的考察
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III 幻の「大日本基準コクテール・ブック」(1)

戦前のカクテルについて調べていると、「大日本基準コクテール・ブック」という書名がしばしば資料に登場する。日本バーテンダー協会が戦前に上梓した本だが、名前こそ知る人はいても、それを持っているどころか、目にしたことがあるという人には出会ったことがなかった。その本が現存するらしいということがわかった。
洋酒文化の歴史的考察

II スパイ・ゾルゲが愛したカクテル(8)

日本に洋酒文化が定着していったプロセスを読み解く第2シリーズ。重要情報を打電してほどなく、ゾルゲとそのグループは特高警察に一斉検挙される。彼がいた場所と、謎のスコッチ「カメオ」を探して、筆者は西麻布に足を運んだ。
洋酒文化の歴史的考察

II スパイ・ゾルゲが愛したカクテル(7)

日本に洋酒文化が定着していったプロセスを読み解く第2シリーズ。ゾルゲが飲んでいたと思われる3銘柄が浮上したが、このうちの一つは「なぜ?」と思わせるところがある。また、いま一つは、どのようなものであったかが全くわからない。
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II スパイ・ゾルゲが愛したカクテル(4)

日本に洋酒文化が定着していったプロセスを読み解く第2シリーズ。ゾルゲがクラウゼンに待ち合わせ場所として指定した「ブルーリボン」についての資料はほとんどない。しかし、同店が当代一流であったことを偲ばせる一言の証言がある。
洋酒文化の歴史的考察

I モダン・ガールは何を飲んでいたのか(8)

日本に洋酒文化が定着していったプロセスを追う本シリーズ。その手がかりとして最初にスポットを当てたのが、大正期から現れたモダン・ガールたちだ。この時期の日本にカクテルというものが登場したと前回述べたが、今回はより多くのモダン・ガールたちに親しまれていたリキュールを紹介する。