スクリーンの餐
「南極料理人」の食べ物
日ごと寒さのつのる時期に恐縮ですが、今回は南極を舞台にした作品に登場する食べ物についてのお話です。 氷点下57度の食卓 「南極料理人」(2009)は、南極観測隊の調理担当として働いた体験を元にした西村淳のエッセー「面白南極料理人」を新鋭、沖田修一の脚本・監督で映画化した作品である。ロケは実際の南極ではなく、西村の出身地でもある冬の北海道網走市で撮影された。 海上保安庁の巡視船で厨房担当として勤務 […]
「石松三十石船」のすしは何ずしだったのか?
ずっと気になっていることがある。森の石松が三十石船で江戸っ子に勧めたすしとはどんなものだったのか? 食いねぇ食いねぇすし食いねぇ 幕末から明治にかけて活躍した実在の侠客の親分、清水次郎長(本名・山本長五郎、1820~1893)とその子分たちの物語は、講談や浪花節の題材として明治から昭和にかけて大衆に親しまれ、とくに二代目広沢虎造の謡う浪曲は彼独特のダミ声の節回しが人気を博した。彼の数多い演目の中 […]
「時計じかけのオレンジ」の中の食べ物と飲み物
今年もあと一カ月と少し。今回は師走の風物詩であるベートーヴェンの交響曲第九番が劇中で使用された作品の中に登場する食べ物と飲み物を取り上げる。
「夫婦善哉」の中の昭和大阪グルメ
織田作之助の原作を豊田四郎監督、森繁久彌・淡島千景主演で映画化した「夫婦善哉」(1955)を紹介する。「くいだおれの街」大阪をこよなく愛した原作者の食べ歩きの経験を反映していると思われる描写が随所に見られる。
張芸謀作品の中の酒と餃子
今年度のノーベル文学賞は、村上春樹氏優位の下馬評を覆し中国の莫言(モー・イエン)氏が受賞した。私は莫言の小説を読んだことはないが、彼の原作を映画化した「紅いコーリャン」(1987)を観てその作品世界の一端を知った。今回はこの映画の監督で2008年の北京オリンピックで開会式と閉会式の演出を務めた張芸謀(チャン・イーモウ)の作品に登場する酒と料理を紹介する。
ビクトル・エリセ作品の中の果物
収穫の秋、色とりどりの果物が店頭に並ぶ季節である。今回はスペインのビクトル・エリセ監督の作品に登場する果物を見てゆく。
アニメーション映画の中の食べ物
セルアニメからCG、切り絵、人形を使った作品まで、アニメーション映画の中でも食べ物が印象的に使われている作品は数多い。今回はその中から3本の作品を選んで紹介する。
「ゴッドファーザー」三部作の中の食べ物
「ゴッドファーザー」(1972)はアメリカの裏社会に君臨するイタリア・マフィアの抗争を描いたマリオ・プーゾのベストセラーをフランシス・フォード・コッポラが監督した映画史に残る名作である。一作目のヒットによって「Part II」(1974)、「Part III」(1990)も製作され三部作となった。イタリア系移民の家族がストーリーの中心なので、劇中ではイタリア料理をはじめとする食べ物が多数登場するが […]
「男はつらいよ」シリーズの中の食べ物
お盆は過ぎてしまったが、筆者が子供の頃の盆正月の映画の定番と言えば、松竹の「男はつらいよ」シリーズをおいて他になかった。筆者の周りにも他の映画を劇場で観に行くことはなくてもこれだけは一家揃って年二回盆正月に観に行くことを年中行事にしている家庭が多くあり、まさに「国民的」映画シリーズという形容が相応しかった。「男はつらいよ」シリーズの食のシーンを紹介したい。
SF映画の中の食べ物
今夏公開の目玉作品もほぼ出揃ったなか、洋画は今年もコミック原作を含めSF映画がその大多数を占めている。今回は過去のSF映画で登場した未来の食の姿を見ていこうと思う。
喜劇映画の中の食べ物
今回から趣向を変え、映画のジャンルや監督、俳優といったカテゴリー別に劇中に登場する食べ物を見ていこうと思う。最初は「喜劇映画」である。
映画の中の氷菓「三月のライオン」ほか
いよいよ夏本番。アイスクリームや氷菓のおいしい季節である。映画の中でも「ローマの休日」(1953)のスペイン広場でオードリー・ヘップバーン扮するアン王女が食べるジェラートをはじめとして、さまざまなシーンで氷菓が印象的な使われ方をしているが、今回は異色作と言える2本を紹介する。 ※以下「R18+」の作品を取り上げます。18歳未満の方の閲覧を禁止します。
映画の中のパン「ブラック・ブレッド」
昨今のヨーロッパ金融危機でも話題になることの多いスペインだが、20世紀にはそれとは比較にならない苦難の歴史があった。今回はそうしたスペインの歴史を背景にした作品の中で、現在公開中のパンが重要な意味を持つ作品を取り上げる。
映画の中の豚「ブタがいた教室」「豚と軍艦」
冷しゃぶやゴーヤーチャンプルーなど夏のメニューも豊富な豚肉料理。今回は豚が登場する新旧の日本映画を2本紹介する。