子供がいたずらした市販のコロッケ。肉は、見えない
食の損得感情

ミートホープが売っていたものは「食べ物」だったのか?

「ミートホープ、今日家宅捜索へ」という新聞記事を読んだのは、その24日朝、東京から広島へ向かう飛行機の中だった。豚肉など牛肉以外の肉や内臓肉、水で増量、着色したものを牛ミンチとして売っていたという。「つぶしてしまえば肉の味などわからない」という元幹部のコメントには返す言葉もない。いや、大いに考えさせられる。
巨大なカントリー・エレベーターの前で、グローバル・マーケットの中のローカルなビジネスを語る
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ラウンドアップレディ・アルファルファ――栽培禁止に困惑する米国農家

Indiana州では、10の牛舎に約3万頭の牛を飼う巨大な酪農場と、それに隣接するカントリー・エレベーターを訪ねた。このカントリー・エレベーターを経営する会社は、トウモロコシ、大豆、小麦、ライ麦、アルファルファなどを生産、貯蔵し、地域の酪農場などに供給している。ここで聞いた話から、日本の消費者がほとんど気付いていないグローバリゼーションの何たるかを思わずにはいられなかった。
Indianapolis 500。パワー、スピード、勝利に多くの人々が注目し、賞賛、あこがれを生む
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バイオ燃料は「食糧か燃料か」の争いの元になるのか

前回触れた米国でBIO Internationalに出席した後、インディアナ州に移動し、世界3大レースの一つと言われるIndianapolis 500(日本では通常「インディ500」と呼ばれる)の真っ最中のIndianapolis Motor Speedway(IMS)に行って来た。今年から、Indianapolis 500を含むThe IndyCar Seriesでの使用燃料が、従来のメタノール […]
The 2007 BIO International Convention
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BIO Internationalで考えたこと

世界最大のバイオ産業見本市、The 2007 BIO International Conventionが、2007年5月6日~9日の4日間の会期で、米国ボストンで開催された。Biotechnology Industry Organization(BIO)の主催。1900を超える企業、60の国・地域が出展。来場者は2万2366人で対前年約15%増を記録。うち3分の2は合衆国外からの参加だ。筆者は、遺 […]
タケヤマの高松求氏。近年はタケの形、表面の色や蝋の状態も格段に良くなり、タケノコの色と味もさらに向上した。品質向上に、消費者の声が影響した部分もあるのかも知れない
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言うことより買うことが、生産を変える

毎年4月ごろになると、茨城県牛久市の農家高松求氏のタケヤマ(竹を栽培する圃場)にタケノコを掘りに行く(高松求氏については、2005年8月18日の「『オカルト』を乗り越えて見聞せよと叱責されたものの」でも触れた)。高松氏のお話をうかがい、タケノコを掘るという作業を通じて、植物のこと、農という循環システムのありさま、働くことの意義、仕事の段取りの付け方、地域社会での生き方などなど、教わることが多い。独 […]
シシリアンルージュ。見た目は普通の中玉トマトだが、鍋の中で演じることに価値がある
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「シシリアンルージュ」に育種の潮流を見る

「シシリアンルージュ」という調理用トマトが、イタリアンのシェフや、料理好きの消費者を中心に話題になっている。細長い中玉のトマトで、生食しても味は悪くない。ところが、これをカットしてソテーパンで温めると面白い。みずみずしい果実が見る間にとろけ出し、数分ですっかりトマトスープのようになってしまう。
「セブン-イレブン」のそうざい商品のラベル。コンビニ業界に与えた影響は大きかったが、表示は控えめ
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セブン-イレブンに感動できない人に社会は変えられない

桜の開花のニュースが続々と届く季節になった。貴族や武家の習慣であった花見が大衆化したのは、8代将軍徳川吉宗が町人にこれを奨励したことに始まるという。財政再建を進める中、人々に娯楽を与えてストレスを解消させ、消費も刺激する狙いがあったとか。当時世界最大だったという説もあるほどの大都市ならではの、都市経営の秘策の一つと言える。
機械抜きに現代の農業を語れば、それは虚構と言うほかない。多くの新しい種苗、化学工業製品である多くの資材についても、同じことが言えるのだが
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手植えでは農業の勉強にはならない

ほとんどの地域で田植えは5月のこととは言え、水田農家はそろそろ今年の作業の準備を具体的に考え始めている頃だ。新しい機械や資材の利用、イベントを行うなどのアイデアがある人なら、早くも忙しくなってきているという人も多いに違いない。イベントというのは、例えば都市生活者や地元の子供たちを水田に呼んで、田植えを体験させるなどのことだ。今年もまた、ゴールデンウイークの前後には、「○○小学校の生徒○人が、田植え […]
展示会でのプレゼン風景。研究から技術が生まれ、商品が作られ、販売される。販売までかかわる研究者もいれば、研究室から出ようとしない研究者もいる
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“先生”のビジネス

「病気にならない生き方/ミラクル・エンザイムが寿命を決める」(新谷弘実著、サンマーク出版)の続編が出て、これもなかなか好調に売れているようだ。感心して、著者新谷弘実氏のホームページを見て、また感心した。トップページの上部の目立つ位置に、Dr.シンヤ推奨商品販売サイトのバナーが付いている。リンク先は、健康食品などを売るeEコマース・サイトで、「エンザイムX BIO(シンヤ酵素)」という健康食品が主力 […]
毒?(過ぎてしまえば笑い話だが、過ぎるまでが長い……)
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見えないリスクに人がとる不可解な行動

このサイトの読者のみなさんにこのようなことを打ち明けるのは恥ずかしいことだけれども、私は今も牛肉を元気よく食べる気にはなれないでいる。国産牛の管理の厳重さ、米国産牛を食べた場合に変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)に感染する確率の低さ、あるいはそもそもvCJDとBSEとの関連は未解明である、などなどの説明を聞いても、どうしても積極的になれない。説明自体にはうなずきもするので、これは全く個人 […]
地面に落ちた食べ物は、ハトに任せる。拾って食べない
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不二家をもって他山の石とすべき人々(2)

1月下旬の週末、よく行くスーパーマーケットで買い物をしていたところ、男性の従業員が売り場で台車に乗って作業をしているのに出くわした。シャーシの両端に垂直の支柱部分があり、好みの高さにステンレスの天板を付けられる多段式の台車だ。男性従業員は、キャスターがロックされていない台車の上、腰の高さに取り付けた天板に、サーフィンをするように腰を落として危なっかしく立ち、床からは手が届かないシェルフの上部の品物 […]
「かわいいと思っていたら、大間違い」と言われないように
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不二家をもって他山の石とすべき人々(1)

不謹慎な言い方になるが、「不二家」の不祥事には意外性があり、マスコミにとっては格好の素材となっている。不二家のブランド・イメージは、ペコちゃんによる「親しみ」「かわいい」、パッケージ製品のメーカーの一方、市中に洋菓子店も展開していることによる「手作り」、そして明治創業という歴史による「老舗」などの言葉で表現できるだろう。それが消費者を裏切っていたというのだから、「犬が人をかんだ」話ではなく、「人が […]
イチゴショートとシュトーレン。20年後、30年後のクリスマスの食卓に並ぶ食べ物は、子供たちにどんな感動をもたらすだろうか
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クリスマスケーキの甘みを増したのは科学だが

日本でクリスマスケーキと言えば、イチゴショートにいろいろな飾りが付いたものが一般的だが、ドイツならシュトレンという質素な見た目の甘いパンのような菓子を焼くし、フランスならビッシュドノエルという、丸太状のケーキを食べるという。シュトレンはトンネルの意味らしい。一方、ビッシュドノエルは、「クリスマスの丸太」。つまり、「食べるクリスマスツリー」というわけだ。なぜ、クリスマスに木を飾ったり、木をかたどった […]
サンフランシスコで見た「NO MSG」(グルタミン酸ナトリウム不使用)の看板。現地のガイドは、「不景気になると、東洋人差別が始まる。その一環」と言っていたが、それでは日本でのうまみ調味料忌避の流行を説明できない
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“妖怪化”する自然科学と近代的工業技術

以前、味の素の広報の方が漏らしていた。「最近は、世界的に化学(chemistry)、酸(acid)という言葉の受けが悪い。悪いものの代表のように使われているケースが目立つ。1960年代までは、この二つの言葉は、世界を良くする夢のキーワードだったのに……」。かつて”夢の言葉”だったから、「化学調味料」という言葉が使われたのも、自然なことだった。そう考えてみると、「うまみ調味料 […]
このどれかを割ると、中から出てくるのは……
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「そんなはずない」に振り回されない運営

生卵を割ろうと手に取ったとき、なぜかは分からないが妙に嫌な予感がした。見た目は普通の鶏卵。おかしなところは何もないように見えた。テーブルに打ち付けて割り、小鉢の上で開けると、その瞬間強烈な悪臭が広がった。出てきたのは、ドブのような臭いを発する濃褐色の液体だった。