再考・ワイン物流改善

攪拌による品質劣化――清水健一氏の水クラスターによる説明から考える

酒販店を経営してきた経験とテイスティングなどの実験から、攪拌した酒類の品質は低下することは間違いないと言える。知りたいのはそのようになるしくみだが、この解明はまだなされていない。その中で、清水健一氏の著書にある熟成の説明に糸口がありそうに見ている。さらに多くの方が関心を持ち、検証・実験・考察を行っていただきた。
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縦箱正立輸送が普及すれば評価されるワインが変わる

縦箱正立輸送と平箱横臥輸送でワインの品質はどう変わるか。ブルゴーニュのヴァン・ド・ターブルをそれぞれの梱包で輸入して実験してから10年後、地下セラーにあった、実験の最後のセットを観察し、テイスティングした。結果は初回から3年後までの比較のときよりも大きな違いを生じていた。ワイン業界の方には、この実験について、追試を行ってもらいたいとお願いしている。
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縦箱正立と平箱横臥の差を確かめる

ワインを縦箱に収めて正立輸送した場合と、平箱に収めて横臥状態で輸送した場合とで、輸送荒れはどれほどに違うものか。国内での簡易実験の後、実際にフランスの産地から日本への輸送過程での実験を模索したが、これには障害があった。というのは、縦箱正立輸送の場合、コルクが乾燥萎縮してワインがダメージを受けずに済むには45日以内の輸送ができなければならないが、実験を考えた当時、それが困難な状況になってきていたのだ […]
最近のワイン用コルク栓の例。左の2点は右の1点とは色合いが異なり、とくに赤ワインと接していた部分の着色のしかたに特徴がある
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天然コルク栓は本来ワイン・ボトルに適したものではない

そもそもコルクは通気性を持っており、ワイン・ボトルの栓として適当なものではない。しかし、その欠点を取りつくろうために、「ワインは呼吸する」などの風説が流されたと考えられる。半面で業界ではコルク栓の欠点は自覚されており、コーティングなどのさまざまな改良が行われている。
中央が一般的なシャンパン用コルク栓。上部が集成コルクで底部にコルク板が2層あることがわかる
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シャンパン用コルク栓は天然コルク栓の気密性の証明にならない

近年、ワイン・ボトルを縦置きしている売場を多くみかけるようになった。おそらくは“コルク栓の気密性は高い”とするマット・クレイマー氏の主張に影響されたものだが、天然コルク栓ボトルでは適切な陳列方法とは言えない。同氏はその主張の例としてシャンパン用コルク栓の気密性を挙げているが、実はこれは天然コルク栓ではない。
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高級ワインの平箱が“輸送荒れ”を起こしている

“輸送荒れ”を起こしたワインは、1~2カ月程度静置すれば回復するとされていたが、私はそれが本当かどうかを確かめたかった。そこで国内での簡易的な実験を考えて実験を行った。その後、輸送時にワインを収めるケースが、そもそも“輸送荒れ”を起こしやすい構造になっていることに気付いた。
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デカンティングとスワリングの意味と効果を再検証する

デカンティング(デカンタシオン)をする際に守るべき作法と、通常行われるワイン・グラスに注ぐ注ぎ方とには矛盾がある。また、今日誰もがワイン・グラスをぶん回すスワリングを行うが、それの効果が何であるのかは理解されていない。それらのことを再検証する。
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コルク栓ワインを抜栓したらボトル内壁を拭き取る

前回は、コルクを打栓したボトルのワインは、コルクが接していた瓶口内壁にワインの香味を損なう不快物質が付着していることを説明した。これによる汚染を防ぐには、抜栓後に瓶口内壁を拭き取ることと、ワイン・ボトルを回転させながら1杯目を注ぐことだ。その方法について説明する。
最初の1杯から順に、それぞれのグラスのワインの味の違いを確かめる
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注ぎ方でブショネは回避できるが

同じワインを複数の人がテイスティングすると、評価が分かれることがよくある。これは個人差によるものと思いがちだが、その原因をある視点で考えると単純なメカニズムから必然的にそうなることがわかる。ただし、これは既存レストラン業界にとっては絶対に認めたくない事実でもある。
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コルク栓を使う限りブショネの解決は望めない

ブショネ(コルク臭)は2~3%のボトルに発生することは致し方ないとされてきた。しかし、これによるレストラン経営の圧迫は無視できない。コルク栓を使う限りこの問題はつきまとうが、抜栓時にその影響を抑える方法はある。それを説明していくが、その前に推薦図書を数冊紹介する。
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ソムリエ下野隆祥氏の不満と願い

赤提灯で、下野隆祥氏が私に国産ワインのテイスティングをさせたのは、ダメージのない健康なワインを切望する心を語るためだった。ワインのリーファー輸送が業界にさまざまな波紋を呼ぶことを予想して躊躇する気持ちがあった私だったが、その夜の出来事をきっかけにその成功を誓うこととなった。