学校給食で、ときどきプリンが出た。今も出ているだろう。その形が気に入らない。
あれを、器にひっくり返して食べる人は、クラスの中に2~3人しかいなかった。たいていの子は、カップからそのまま食べていた。
みんなせっかちなのか、皿が汚れるのが嫌なのか、ひっくり返すのにしくじるのが嫌なのか。アイスクリームやヨーグルトも、そのままカップから食べるのだから、プリンの場合に特別に器にあけるというのが、奇妙に思えたからかもしれない。
皿にひっくり返して食べようとする子がいると、「あー(わざわざ)そうしたんだ(ご苦労さん)」など、面白がられたものだ。
「食育」とか言って、「プリンは必ずお皿にひっくり返して食べなさい」と教えるというなら、話は別だ。でも、ほとんどの子がカップからそのまま食べている現状で、あの形のプリンはおかしい。
プリンのカラメルソースは、上からかかっていないと、プリン本体にからまない。これが下にあると、特にカップに入ったままで下にあると、ソースがからまないままのプリンを全部食べてしまってから、ソースが出て来てこんにちはということになる。それではソースの意味がない。
食品メーカーの人は、これがおかしいと思わないのだろうか。何も工夫せずとも、給食でドカンと売れるので、何か考えるのは損だと思っているのかもしれないが、それでは食べ物屋さんの心意気というものは、子供には伝わりようがない。
給食用の正しいプリンの形は、右の写真のように、フタを開けたときに、プリン本体の上にソースがあるという形だ。こう作らなければならない。
ただし、この形にする場合は、プリンが固まってからソースをかけなければならない。伝統的なプリンのように、カップの底にカラメルソースをしいておいてプリンを固めるというわけにはいかない。
「だから無理」と言うのだろうが、手はある。固まってからソースをかけてフタをする。ソースを別添えにする。などなど。
コストがかかるというのなら、いっそのことカラメルを廃止すればいいのだ。どうせあの味を正しく味わえていないのだから。それが嫌なら、ほんのりとカラメルソースが混ざった味に、プリンを仕上げることを考える。
いずれにせよ、あのままでは、子供に何も考えないことがいいことだと教えているようで、甚だ迷惑に感じる。
※このコラムは個人ブログで公開していたものです。