北海道に、「八列とうもろこし」という古い品種のトウモロコシが伝わっている。収穫したままの実物は見たことがないのだけれど、細長く、断面を見るとトウモロコシの粒の列が8列しかないため、この名で呼ばれている。
柴田書店時代の先輩の深江園子さん(私は浪人してますし、中途入社ですので、先輩といっても私より年齢が上とは限りませんよ)から教わった。北海道でかなり以前から栽培されている品種で、今もこの品種を守っている農家がいるとのこと。
スローフードの「味の箱舟」にも選ばれている。ところが、なかなか難しい代物らしい。収穫してすぐに、どんどん硬くなってしまうので、茹でて食べてもおいしさが伝わらないことがままあるという。
北海道の農家は、トウモロコシについて鮮度第一ということを言うために「お湯を沸かしてから取りにいけ」と言うことがある。それを聞いて、「そんなオーバーな」と思っていたけれど、どうもこの「八列とうもろこし」などが主流の時代に言われた言葉らしい。
正体は「ロングフェロー」あるいは「札幌八列」というフリント種のトウモロコシ。生食用よりも、粉に挽いて食べるものではと伝えると、深江さんもちょうど製粉を考えていたとのこと。道具をどうしようかと悩んでいたら、ついに生産者の方が製粉機を購入された由。
その粉を送っていただいた(まだレポートを送っていなくてすみません)。挽きぐるみで、こういうコーングリッツは国内ではなかなか手に入らない。これはとても面白いことになりそう。
コーンブレッドを焼いてみた。野性味が出過ぎるのではと思っていたら、考えていたよりもずっと上品な感じ。香りがよく、粒々の食感もほどよい。今日は恐る恐る市販のコーングリッツと半々にして焼いたけれど、次は八列とうもろこしだけで焼いてみよう。
北海道名物に育ちますように。
※このコラムは個人ブログで公開していたものです。