子供が包んだギョーザ。やれやれ、可愛さも味のうちか……
食の損得感情

ギョーザの内食化が進むのは外食の黄色信号

同業者のことをあげつらうのはあまりやりたくないことだが、新聞、テレビ、週刊誌のむき出しのセンセーショナリズムには、いよいよぞっとさせられる。中国製冷凍ギョーザの中毒事件に関して、最初は「中国産」「農薬」「毒」が見出しに躍っていたかと思えば、この1週間は「テロ」の2文字を入れるのが流行になっている。現在の段階では、分別に欠ける、危険な言葉の使い方と感じる。
国産の焼きギョーザ(記事とは直接関係ありません)
食の損得感情

中国産ギョーザで傷ついたのは誰?

中国産ギョーザによる健康被害の問題は、中国産商品が今後、日本の消費者と企業からどのように扱われるかを決する、重要な分岐点となるだろう。これまでに、中国産の農産物や食品でも、「日本向けに作られている商品は安心できる」とする論調があったが、これに冷や水が浴びせられた格好だ。私自身、それに概ね賛成していたので、考えさせられることが多い。もちろん、今でも中国産がすべてだめというつもりはさらさらないが、消費 […]
ラッカセイの乾燥
食の損得感情

天日乾燥で5倍の値を付ける「天空米」

子供に飽きるほどの雪を見せてやろうと考えついて、15年ぶりにスキーに行った。越後湯沢からタクシーで目的地へ向かう途中、石打丸山スキー場が見えて、「天空米」という商品があることを思い出した。リフトを運営する日本リフトサービス(新潟県魚沼市、鈴木一彦社長)の100%子会社JLC(同)が販売しているもので、スキー場のリフトに、根もとから刈ったイネをハサガケ(ハセガケ)のようにつるして天日乾燥したコメだ。
圃場で作物を前にすれば外食と農業の壁を越えて話も弾む
交叉する外食と農業の未来

国産農産物に、いま猛烈なフォローの風が吹いている(2)

一方、食品メーカー、小売業、外食業などの需用者は、買うのが上手と言えるでしょうか。それぞれの会社に、農産物の目利きはいるかもしれません。市場で野菜を上手に選んでくる料理人もたくさんいます。でも、本当に使いたいものを生産地に入り込んで作ってもらうことができる人は少ないものです。
圃場で作物を前にすれば外食と農業の壁を越えて話も弾む
交叉する外食と農業の未来

国産農産物に、いま猛烈なフォローの風が吹いている(1)

風害に対して、県などの行政も指をくわえて見ているわけにはいかないということになり、最近は農家に冬場の麦作を呼びかけたり、緑肥といって、実の収穫を目的にするのではなく、青刈りして圃場にすき込んで肥料とすることを目的に麦類などの作物を育てることを推進し、このために無料で緑肥作物の種子を配布するということも行っています。
圃場で作物を前にすれば外食と農業の壁を越えて話も弾む。
交叉する外食と農業の未来

畑の土が消えていく(2)

戦後、化学肥料が普及すると、堆肥を作ったり撒いたりすることが減っていきました。もともと、堆肥作りはたいへんな手間と時間がかかります。しかも、圃場に均等に撒く作業も、機械化しづらい作業だったためたいへんでした。そこへ、粒状などで撒きやすい化学肥料が登場したので、農家は仕事がラクになるといってとても喜びました。
いわゆる“古代米”の稲穂(記事とは関係ありません)
食の損得感情

コシヒカリBLは、コミュニケーション戦略のミス

さてさて、温厚な松永さんを怒りで震えさせてしまったというのは、ただごとではない。だが、誤りの指摘や反論ならありがたいのだが、「違和感」という感情、「怒り」という情動だけ報告され、その原因に言及されないというのは、私としては困惑するばかりで、生産的でない。それを残念に思う。とはいえ、このことはコシヒカリ新潟BLを「コシヒカリ」として売るべきではなかったということを考える上で、よいヒントとなっている。
圃場で作物を前にすれば外食と農業の壁を越えて話も弾む。
交叉する外食と農業の未来

畑の土が消えていく(1)

私から見ると、多くの外食関係者あるいは都市生活者の農家や農業に対するイメージは、現実とかけ離れているように見えます。そして、それによって自社が損をしたり、お客様に損をさせたり、あるいは生産者を苦しめたりすることが多いようです。この稿が、みなさんが農家や農業に対して抱いているイメージを、少しでも考え直してみるきっかけになればと思います。
コメの収穫作業(茨城県)
食の損得感情

コシヒカリ新潟BLの販売方法は「情報隠し」か

新潟県の泉田裕彦知事は、JAなどがコシヒカリ新潟BLを在来コシヒカリと区別せず売っていることを批判した。朝日新聞などによれば、知事は2007年12月4日に、「消費者の信頼を獲得するため、なるべく情報を開示する方向でやったほうがいい」と発言。11月30日の県議会の委員会でも、「在来品種と新品種の違いを分からないようにして売ってしまおうという戦略。『情報隠し』だ」と言ったという(ともに朝日新聞の報道) […]
肉中温度計。ある種のチェーンレストランでは、商品の温度にノウハウが凝縮され、人間の体温のように、商品の温度で異常が見付かる
食の損得感情

ミシュランの覆面調査員とは違うが、気になる存在――ミステリーショッパー

19日の「ミシュランガイド」の発表から、周囲はその格付けに納得するかしないか、妥当と思えるか思えないかなどの話題でかまびすしいこと、一通りではない。なににせよ、食に関して世間の関心が高まるのは悪いことではない。私はと言えば、発表された店は行ったことのないところばかりで、我が身を省みて大いに笑ってしまった。もちろん殿上人の世界のことにはなんら意見する材料を持たないのだが、ニュースで触れられる「覆面調 […]
食べる智恵

野川で上海蟹をとり逃がす

東京には野川という川がある。大きな川ではないけれど、一級河川(国が管理しているということ)だ。国分寺市が源流で、小金井市、調布市、三鷹市、狛江市、世田谷区を流れ、仙川と合流し、多摩川に注ぐ。
オートメションの製造工程を見せることを売りの一つにしている「クリスピー・クリーム」
食の損得感情

「生産のポルノグラフィー化」でいいのか?

鹿島茂氏のエッセーで、「メリヤスの逆説」という面白いキーワードに出会った(「ア・プロポ」:中公文庫「クロワッサンとベレー帽」所収)。メリヤスは1本の糸を編んで作る編み物のこと。また、機械編みの衣料品を指す(ちなみに、縦糸と横糸の2本の糸で作るのは織物)。ところが、今日、メリヤスは「専門の業者以外には口にしない死語になってしまっている」。鹿島氏自身、メリヤスは素材のことと思い込んでいたという。
食べる智恵

グラパラが呼び覚ました古い記憶

先週、母が「友達にもらった」とグラパラを持ってきた。トゲのないアロエのような、細長いカネノナルキの葉のような、熱帯植物園で見たことがありそうな肉厚の葉。パンフレットではカルシウムの吸収のよさを強調している。
伊勢神宮の御手洗場がある五十鈴川。赤福の波形はこの川の流れを模したとか。なんともおそれ多い話
食の損得感情

赤福は倫理観だけでなく販売予測技術も低レベルだったか

「赤福」が非常な勢いでたたかれている。テレビも新聞もニュースサイトも、同じような見出しを立てていて、さながら掲示板やブログの“祭り”にも似て見える。どうも、玄人が素人と一緒になって大騒ぎしているようで、観ていて小恥ずかしい――と、ここに書くのだから、私もたちの悪い野次馬の一人なのには違いない。