即席麺は日清食品の創始者である安藤百福氏が開発し商品化したものであることはよく知られている。氏は世界に大きな影響を与えた人であり、氏の活躍をモデルとしたNHK朝ドラ「まんぷく」(2018年度)を、筆者も毎回欠かさず観ていた。
さて、現在、中国の即席麺は生産と消費で、世界一である。
即席麺需要の4割は中国
まず、世界の即席麺の状況を俯瞰しておこう。世界ラーメン協会によると、即席麺は20021年に世界で1181.8億食が消費され、増加傾向が継続している。このうち中国/香港が需要の4割を占め、これに同1割のインドネシアが追随する。さらに、ベトナム、インド、日本、アメリカ、フィリピン、韓国、タイ、ブラジルと続く。世界的に需要は伸びていると思っていたが、やはりアジア圏だけで需要の8割を占めている。
需要トップの中国だが、2014年以降は市場が縮小していた。これには、ネット活用によるデリバリーや外食の発達の影響も大きいだろう(本連載第31回参照)。だがその後、中国の即席麺需要は2018年に約400億食超まで回復し、2020年には約463億食まで拡大が続いた。
中国内で大きなシェアを持つ即席麺メーカーには、康師博、白象集団、今麦郎、統一などがある。このうち、康師博と統一には日本資本も入っている。
訴求するのは具の種類
筆者は中国の即席麺にお世話になってきた。中国へはコンサルタントとして訪れるが、自費で滞在を延長することがある。その場合の朝食にはカップ麺を食べることが多かった。3〜5元(1元=約19円、2023年4月)と格安なためである。それもあって、できるだけコンビニが近くにあるホテルを選択していた。
中国のカップ麺の場合、大・小2種類のサイズがあることが多い。中国の人たちは概して食べる量が多い。しかし、筆者が選ぶのは小である。
カップ麺を開けると、日本同様にスープとかやくの小袋が入っているが、折り畳みのフォークまたは箸が付いているのが中国のカップ麺の特徴と言える。また、かやくは日本の一般的なものよりもかなり量が多いと感じる。そして、「牛肉麺」「排骨麺」「鶏肉麺」というように、メインのかやくを商品名に付与することが一般的である。日本では「みそ」「とんこつ」などスープの種類を訴求している商品が多いが、文化の違いと言えるだろう。
焼きそばタイプもある。ただし、日本で一般的なソース焼きそば的なものは見かけたことがない。筆者も中国式の焼きそばタイプカップ麺を試してみたが、馴染みのない味で、筆者にとっては好みとは言えない味だった。
パッケージも、日本では二重シールを剥がして湯切りをするものが一般的になっているが、中国ではそれとは異なるものだった。考えれば、いろいろな方法があるものだ。