茶はチャノキの葉や茎を原料として作られる飲料である。中国で栽培が始まったが、喫茶が普及したのは唐代(618〜907年)初期とされる。日本への伝来は奈良時代(710〜794年)と考えられている。
茶の成分
中国では茶が解毒剤として使われていたという記録がある。日本でも、普及初期には薬として飲まれていた。
事実、茶はいくつかの機能性成分を含んでいる。その筆頭に挙げられるのがカフェインである。疲労感や眠気を除去する覚醒作用などがあることがよく知られている。また、ポリフェノールの一種であるカテキンは、体脂肪や血中コレステロールを低下させる機能が認められている。そして、アミノ酸の一種テアニンはリラックス効果が、GABA(γ-アミノ酪酸)は血圧低下作用が、知られている。ビタミン類は豊富とは言えないが、ビタミンC、ビタミンB2、葉酸などを含む。これらのいくつかは、トクホ(特定保健用食品)や機能性表示食品の関与成分として活用されている。
中国茶の種類と製造方法
摘み取った茶葉には酸化酵素が含まれる。酸化反応させる場合は、酸化の程度により、白茶、黄茶、青茶、紅茶が製造できる。このうち青茶が一般的な烏龍茶に該当する。
一方、酵素を加熱によって速やかに失活させたものが緑茶である。酵素の失活方法として、中国では乾熱(釜炒り)が行われるが、日本では蒸気による加熱が一般的である。
なお、他に黒茶というものがあるが、これは茶葉の酵素による発酵とは別の、微生物による発酵が加わった茶である。その有名なものに普洱(プーアル)茶がある。
中国茶の分類は、これら白茶、黄茶、青茶、紅茶、緑茶、黒茶の6分類が一般的だが、その他にジャスミンなどの花を加えた花茶が存在する。
日本において、中国茶が注目されたのは1970年代である。アイドル歌手のピンク・レディーが美容のために烏龍茶を愛飲していることが話題になり、これを契機に認知度が高まった。伊藤園はその頃から烏龍茶茶葉の輸入を始めていたが、1981年に缶入り飲料化の開発に成功し、サントリーも参入。これがストレートな飲用だけでなく、焼酎やリキュール等の割材にも用途を広げた。
割材としては他の茶を使ってもよさそうだが、筆者の感想としては、確かに緑茶や紅茶を合わせてもイマイチなのである。
さて、烏龍茶の日本市場への定着につれて、産地への関心・認識も高まった。
茶の入れ方と喫茶作法
日本には茶道という茶の儀式が存在する。鎌倉時代の禅寺における喫茶に起源がある。茶会のあり方として、室町時代の
中国には
- まず、各種の茶器に湯を注いで温めた後、茶壷(日本でいう急須)に茶葉を入れて熱湯を注ぐ。
- 茶壷から茶杯(湯呑み)に茶を注ぐが、茶器が温まれば茶を茶盤(茶器を載せる台。木箱にすのこ状の蓋を載せた形で、こぼれた湯を溜める構造になっている)にこぼしてしまう。1煎目は茶葉を洗うことが目的である。
- 改めて、高い位置から茶壷へ湯を注ぐ。このとき、茶壷の表面に泡が立てば、茶杓で除去する。
- 2煎目の茶は
聞香杯 に注ぎ、その上から茶杯を伏せて蓋として被せる。 - 聞香杯と茶杯をしっかり押さえて天地を反転し、香りを閉じ込めた状態でお客へ供する。
工夫茶は茶の香りを大切にしている。茶を飲むときは、聞香杯を持ち上げて、中の茶を茶杯に移す。続いて、聞香杯を鼻に近づけ、茶の香りをゆったりと楽しむ。その後、茶杯で茶を味わう。3煎目以降は聞香杯は使わず、茶杯で茶を楽しむ。中国茶で特に重視されているのが香りであることがわかる。
中国市民の生活に中国茶は深く浸透している。仕事場には専用の蓋ができる茶杯が常備されている。外出時には水筒を持参することが多い。普段飲むときには、上記のような作法を全く意識することなく茶を楽しむ。ただし、夏季でも温かい状態で飲むことが原則である。
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英国の紅茶作法についても、簡単に触れておこう。まず、入れ方だが、使用する水は軟水が好ましく、手順は以下のとおりである。
- 湯を沸騰させる。
- この湯でポットとカップを温める。
- ポットに茶葉を入れて湯を注ぎ、3分程度抽出する。
- ポットの中をスプーンで軽く攪拌後、茶こしを用いながらカップに注ぐ。
喫茶時の作法にはいくつか配慮すべき点がある。ポットやカップは片手で持つ、レモンを入れた場合、数秒で取り出すなどである。また、美しく見える振る舞いがよいとされる。不勉強で紅茶の作法は知らなかった。正式な場では注意したい。