カリフラワーとブロッコリーはキャベツの仲間で、アブラナ科アブラナ属の一年生植物である。よく似た花野菜で、どちらも冬季が旬であるが、中国でよく見るのは圧倒的にカリフラワーの方である。
カリフラワーの方がブロッコリーより人気
カリフラワーは中国では花椰菜(ファーエーサイ)といい、ブロッコリーは西兰花(シーランファー)という。中国の生産量はカリフラワーとブロッコリー合計で1,011万t(2016年)である。全世界の4割を占め、ダントツの世界一の生産量である。ちなみに2位はインドの809万t(同)で、日本は16万tで13位(同)である。
カリフラワーとブロッコリー合計の数字になっているのは、似た作物同士のため統計上は一緒にされることが多いためだ。日本では1989年以降、これらの数字が分離された。1989年はカリフラワー4万tに対し、ブロッコリー7万tと後者が2倍弱だった。これが2016年には、前者2万tに対し、後者13万tと6倍以上の大差が生じている。これにはいくつかの理由があるが、栄養面が一因だろう。ブロッコリーは緑黄色野菜である。ビタミンCは大差がないが、βカロテンは50倍になる。また、ブロッコリーはトップの頂花蕾だけでなく、脇芽(側花蕾)も収穫できる利点がある。
一方、中国の内訳の数字は不明だが、店頭では冒頭述べたように圧倒的にカリフラワーが多い。ブロッコリーも存在するが、少数派である。理由は不明だが、清廉な白色が好まれるのだろう。また、巨大に育つカリフラワー品種の存在も一因と推測する。カリフラワーの大きさは日本ではせいぜい十数cmだが、中国では25cmを超えるものが一般的である(連載第3回「大きく安価な野菜が豊富に並ぶ」参照)。
ほかに、近縁のロマネスコの栽培が近年増えてきたのは日本と同様である。全体と部分の形が同じになるフラクタル感一杯の品種である。
コリコリ食感の炒めものが一般的
中国のカリフラワー料理は炒め物が一般的である。食べやすい大きさにブツ切りにする。これにいくつかの食材を加えて強火で炒める。味付けは醤油がメインだが、いくつかの香辛料も加えているようだ。シンプルな料理だが、芯の固さが少し残る程度の加熱が好ましい。コリコリッとした食感を楽しむためである。
キクラゲと油揚げと炒めたメニューが菜花溜豆腐である。副食材の黒と茶色が、主役となるカリフラワーの白さを引立たせる。トマトも一員に加わることがあるが、赤色の色彩にほのかな酸味と軟らかさが加わり、悪くない。
緑色のブロッコリーにも触れておこう。記憶している料理では、魚介類との炒め物があった。こういうものが出て来ると、日本人であれば「おー、お前もいたのだなっ!」という感慨が湧き上がる。それでも、食べてしまえば、大差ないというのが実感である。どちらであっても、おいしいのである。