前年超えも前々年比縮小幅拡大

ホットペッパーグルメ外食総研による外食市場調査の2022年2月度調査結果では、外食市場規模は1,603億円で前年同月比117.7%だった。

前々年比では前月よりマイナス幅が拡大

 2022年2月の外食市場規模は、3圏域合計で1,603億円。前年同月比(以下、前年比)は+241億円。市場規模は3カ月連続で前年比プラスとなったが、前々年比(2020年2月)は52.4%と、前月(2020年1月)の同61.5%よりマイナス幅が拡大している。外食実施率(52.5%)・頻度(3.24回/月)・単価(2,328円)の3指標ともに前年比では伸び、前々年比では、前月よりマイナス幅が拡大した。

 コロナ禍以外の状況では、土日祝日の日数は前年と変わらず、天候的にも大きな差はなかったと思われる。一方、コロナ禍関連状況では、前年は多くの地域に2回目の緊急事態宣言が発出され、今年は多くの地域にまん延防止等重点措置という状況であった。前年は休業していた店が、今年は時短営業する等の変化で前年の実績はクリアした可能性がありそうだ。

 食事主体業態・計(前年比119.1%、前々年比63.1%)、飲酒主体業態・計(同115.9%、31.5%)、軽食主体業態・計(同97.8%、51.2%)と軽食主体業態以外は前年比ではプラス、前々年比では全セグメントマイナスとなっている。前々年比は全体の市場規模同様に、全セグメントで前月よりもマイナス幅が広がっている。

2022年2月の外食実施率は52.5%

前月比増減−3.8pt、前年比増減+4.2pt。

外食実施率(2022年2月)

2022年2月の外食頻度は3.24回/月

前月比増減−0.30回、前年比増減+0.07回。

外食頻度(2022年2月)

2022年2月の外食単価は2,328円

前月比増減−161円、前年比増減+144円。

外食単価(2022年2月)

2022年2月の外食市場規模は1,603億円

前月比増減−404億円、前年比増減+241億円。

外食市場規模(2022年2月)

前々年比超える業態は現れず

 業態別では、主要16業態中、13業態で市場規模が前年比プラスとなった。とくに「和食」(市場規模前年比+63億円)、「焼き肉、ステーキ、ハンバーグ等の専業店」(同+40億円)、等で伸びたが、それでも2020年同月比では「和食」で59.1%、「焼き肉、ステーキ、ハンバーグ等の専業店」で68.3%にとどまっている。延べ外食回数でも「和食」(前年比増減+115万回)と「ファミリーレストラン、回転すし等」(同+102万回)が前年実績を大きく超えた。外食単価では「カラオケボックス」(前年比増減+1,365円)、「フレンチ・イタリアン料理店」(同+630円)等、13業態で前年比プラスとなっている。延べ外食回数・単価ともに前年超えしたのは、主要16業態中10業態あった。

 市場規模を2年前の2020年2月比で見ると、コロナ禍前の実績を超えている業態はなく、「ファミリーレストラン、回転すし等」の71.8%が最高となっている。

前年比プラス業態

「和食料理店」「中華料理店」「レストラン、食堂、ダイニング、洋食店」「フレンチ・イタリアン料理店」「アジアン料理店」「焼肉、ステーキ、ハンバーグ等の専業店」「お好み焼き、鉄板焼き等の専業店」「ファミリーレストラン、回転すし等」「ラーメン、そば、うどん、パスタ、ピザ等の専業店」「居酒屋」「バー、バル、ワインバー、ビアホール、パブ」「カラオケボックス」「スナック、ナイトクラブ、キャバレー」

前年比±0の業態

なし

前年比マイナス業態

「すき焼き、しゃぶしゃぶ、鍋、おでん等の専業店」「ファストフード」「牛丼、カレー等一品もの専売業態」

※ホットペッパーグルメ外食総研「外食市場調査」(2022年2月度)
https://www.hotpepper.jp/ggs/research/article/marketing/202202

ホットペッパーグルメ外食総研・外食市場調査

 ホットペッパーグルメ外食総研・外食市場調査は、株式会社リクルート(東京都千代田区、北村吉弘社長)の外食に関する調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」が行っている調査。毎月、首都圏・東海圏・関西圏の約9,000~1万人を対象に「外食市場調査」を実施している。

 この「外食市場調査」では、圏域内の生活者による毎日の夕方以降の食事や飲酒について、外食と中食の内容(場所、相手、単価など)をヒアリングし、毎月の外食市場の動きを継続的に可視化している。3圏域限定で朝食・昼食は含まない市場調査ではあるが、飲食店などの事業所ヒアリングではなく、生活者に直接ヒアリングを行っていることから、性年代別や相手別の消費動向がわかり、外食している街や業種の情報が取得できていることが特徴。

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About 稲垣昌宏 56 Articles
ホットペッパーグルメ外食総研上席研究員 いながき・まさひろ 市場調査をメインに消費者動向から外食市場動向を分析・予測。また、観光に関する調査・研究、地域振興機関である「じゃらんリサーチセンター」研究員も兼務し、「食」と「観光」をテーマに各種委員会活動や講演などを行っている。肉より魚を好む、自称「魚食系男子」。