ロシアのSF作家アレクサンドル・ベリャーエフの小説「永久パン」が、日本・フランスの合作で映画化される。今年はベリャーエフ没後70年。生誕130年となる2014年の公開を目指す。
《この記事はエイプリルフールの“ネタ”でした》
「永久パン」は、空気中から栄養をとって自然に増殖する食用の生物の発明にまつわる物語。発明は当初飢餓や貧困を救うものとして歓迎され、政府がその製造を独占する。しかし、やがてその増殖を止められなくなって町や村が永久パンに押しつぶされる被害が多発。発明者は逮捕され、永久パンの増殖を阻害する研究を強いられる。
小説では最終的に増殖を止めることに成功し、発明者らが労働の尊さを確認し合う。しかし今回の映画では、それとは異なるエンディングを用意するという。
プロジェクトは製作委員会方式で、幹事会社が日仏の企業から出資を募る。現在両国の3社(金融、アパレル、食品)が名乗りを挙げているが、今後8社程度に広げた上でクランクインしたい考え。監督以下制作メンバーは決まっていないが、アニメ作品も含めて選定するという。主な舞台は日本国内とする意向。
幹事会社は現時点では非公表だが、個人の資産家が今回のプロジェクトのために設立した会社。上映時に名前を公表し、自身の半生と制作の狙いについて説明したいとしている。
実際の制作では、いくつか障害も予想されている。
一つは「永久パン技術」の問題。現在、ロシア、アメリカ、日本を含む複数の国で永久パンに類似の研究が行われており、それぞれの研究機関が周辺技術の特許を出願している。一方、永久パン本体は酵母と緑藻類の組み合わせと考えられているが、その実際の生物種は秘匿されいずれも特許出願されていない。もしこの映画がその正体を暴露ないし示唆した場合は、何らかの対応を取らざるを得ないとする匿名の警告文が幹事会社に送られているという。
幹事会社の代表は「正直なところ、永久パン技術を公開することこそが、この映画を作る目的の一つ。技術を持つ企業だけでなく、穀物業界筋、石油業界筋からの妨害も予想している。しかし、いかなる脅しにも屈せずに完遂したい」と話している。
ベリャーエフは1884年ロシア生まれ。ソビエト連邦最初の“職業SF作家”。1942年にプーシキン市で死亡した後、ナチスが原稿や資料を探しに来たと伝えられている。作品の「ドウエル教授の首」「両棲人間」はすでに映像化されている。