スティックサラミのサルモネラ

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国でスティックサラミに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ感染アウトブレイクが発生した。欧州食品安全機関は家禽の衛生にとって脅威となる伝染病の原因である抗菌剤耐性菌の評価を行い、EU域内で最も重要な抗菌剤耐性菌は大腸菌と腸球菌2種としている。

注目記事

【米国】サルモネラ汚染の疑いのあるスティックサラミ

 米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS: Department of Agriculture, Food Safety and Inspection Service)は、Euro Foods社(ペンシルベニア州 Freeland)が製造したイタリアンスタイルのRTE(そのまま喫食可能な)スティックサラミ製品にサルモネラ汚染の可能性があるとして、公衆衛生警報を発している。

 当該スティックサラミは2021年10月25日より前に製造された。

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)は、スティックサラミに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ感染アウトブレイクに関する更新情報を発表した。

 2021年10月28日付更新情報 疫学データは、Citterio ブランドのスティックサラミ「Premium Italian-Style Salame Sticks」がサルモネラに汚染されている可能性があり、本アウトブレイクの感染源となっていることを示している。

 患者の年齢範囲は2〜75歳。情報が得られた患者18人のうち6人が入院した。死亡者は報告されていない。

 聞き取りが行われた患者15人全員がスティックサラミの喫食を報告し、このうち14人が Citterioブランドの「Premium Italian-Style Salame Sticks」の喫食またはその可能性を報告した。この14人のうち13人は小売りチェーンTrader Joe’sの店舗で、1人は小売りチェーンWegmansの店舗で当該サラミ製品を購入していた。

 詳細が明らかになるまで、Trader Joe’sは全米の店舗で当該製品の販売を自主的に停止している。現在、Citterio社と協力し、他にも汚染された可能性のある製品があるかどうか、さらなる調査が進められている。

【欧州】家禽の抗菌剤耐性菌による動物疾患の評価

 欧州食品安全機関(EFSA: European Food Safety Authority)は、家禽の衛生にとって脅威となる伝染病の原因である抗菌剤耐性菌の評価を行った。本意見書には以下の細菌に関する世界の状況が示されている:Avibacterium(Haemophilus)paragallinarum(伝染性コリーザの原因菌)、Bordetella avium、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、腸球菌2種(Enterococcus faecalis、E. cecorum)、豚丹毒菌(Erysipelothrix rhusiopathiae)、大腸菌、Gallibacterium属菌、Mycoplasma synoviae(鶏マイコプラズマ病の原因菌)、Ornithobacterium rhinotracheale、Pasteurella multocida(パスツレラ症の原因菌)、Riemerella anatipestiferおよび黄色ブドウ球菌。

 入手可能なエビデンスにもとづき、EFSAは、欧州連合(EU)域内における最も重要な抗菌剤耐性菌は、上記の細菌のうち大腸菌および腸球菌2種(E. faecalis、E. cecorum)であるとした。最も重要なこれらの細菌が動物衛生に及ぼす影響、および動物衛生法枠組み(Animal Health Law Framework)へのリストアップと分類の適格性については、別の科学的意見において評価される予定である。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.23(2021.11.10)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2021/foodinfo202123m.pdf

今号の目次

【世界保健機関(WHO)】
1. 国際保健規則2005(IHR2005)の施行に関する能力の評価:年次報告書および合同外部評価のデータの比較

【米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)】
1. サルモネラ汚染の可能性により米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)がスティックサラミ製品に関する公衆衛生警報を発表

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. スティックサラミに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella I
4,[5],12:i:-)感染アウトブレイク(2021年10月28日付更新情報、23日付初発情報)
2. タマネギに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella
Oranienburg)感染アウトブレイク(2021年10月29日付更新情報)
3. Jule’s ブランドのチーズ代替品 cashew brie に関連して複数州にわたり発生したサルモネラ(Salmonella Chester、S. Duisburg、S. Typhimurium、S. Urbana)感染アウトブレイク(2021年7月7日付最終更新)
4. 野生の鳴禽類に関連して発生したサルモネラ(Salmonella Typhimurium)感染アウトブレイク(2021年5月28日付最終更新)

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 抗菌剤耐性菌による動物疾患の評価:家禽

【英国保健安全保障局(UK HSA)】
1. 英国の微生物学的調査の基準( UK SMI:UK Standards for Microbiology
Investigations)に関するガイダンス(科学的情報)

【ProMED-mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(40)(39)