全業態客数減。焼肉にも打撃

日本フードサービス協会(JF)は2021年8月外食産業市場動向調査を発表した。全体(事業社数229、店舗数37,603店=96.3%)合計の売上高は91.4%と縮小。客単価はやや低めの前年並みながら、客数は91.9%と減少。

 洋風ファストフードは対前年同月で6.0%伸ばした。持ち帰り米飯/回転寿司も前年同月をクリアした。

 すべての業態で客数は前年同月を下回っており、洋風ファストフードと持ち帰り米飯/回転寿司もテイクアウトの客単価上昇で売上高を確保した形。

 引き続きパブ/居酒屋の客数減が厳しいが、一般に夏場に強い焼肉ファミリーレストランや、和風ファミリーレストランなどの会食系も打撃が大きい。

 JFによる概況は以下のとおり。

8月は新型コロナ感染症の爆発的拡大により「緊急事態宣言」および「まん延防止措置」の適用が全国的に拡大し、外食の営業規模はますます縮小した。本来ならば夏の最大の書き入れ時であるはずのお盆休みも期待できず、台風や前線の停滞による大雨の影響が追い打ちをかけ、全体売上は“新型コロナ元年”の前年をも下回った(対前年比91.4%)。業態別では、ファーストフード(FF)洋風の堅調とは対照的に、営業時間短縮と酒類提供制限の影響をもろに受けたパブ・居酒屋業態は依然として深刻な状況である。

売上高と店舗数の伸び率推移(〜2021年8月)

売上高と店舗数の伸び率推移(〜2021年8月)

外食産業市場動向調査2021年8月度全店データ
事業社数 店舗数 売上高(前年比) 店舗数(前年比) 客数(前年比) 客単価(前年比)
全体 (N=229) (N=37,603) 91.4% 96.3% 91.9% 99.4%
ファストフード 合計 (N=62) (N=21,556) 101.0% 98.5% 96.2% 105.0%
洋風 (N=19) (N=6,350) 106.0% 99.2% 97.4% 108.9%
和風 (N=18) (N=5,173) 99.9% 99.1% 98.8% 101.1%
麺類 (N=22) (N=3,246) 88.4% 97.2% 88.5% 99.9%
持ち帰り米飯/回転寿司 (N=20) (N=4,391) 101.1% 98.6% 98.5% 102.7%
その他 (N=9) (N=2,396) 91.8% 97.0% 90.0% 102.0%
ファミリーレストラン 合計 (N=65) (N=10,305) 79.4% 94.6% 83.1% 95.6%
洋風 (N=31) (N=5,061) 81.0% 92.6% 83.7% 96.7%
和風 (N=33) (N=2,654) 75.3% 94.7% 79.6% 94.5%
中華 (N=15) (N=1,154) 87.1% 99.8% 87.0% 100.0%
焼肉 (N=19) (N=1,436) 73.4% 98.0% 79.1% 92.8%
パブ/居酒屋 合計 (N=37) (N=2,503) 31.2% 88.0% 38.1% 81.9%
パブ・ビアホール (N=12) (N=465) 26.4% 90.8% 31.1% 84.8%
居酒屋 (N=28) (N=2,038) 33.0% 87.4% 41.2% 80.0%
ディナーレストラン(計) (N=27) (N=940) 75.5% 91.0% 82.9% 91.1%
喫茶(計) (N=21) (N=2,100) 91.5% 96.9% 90.5% 101.1%
その他(計) (N=17) (N=199) 92.6% 92.6% 93.1% 99.5%

凡例:10%以上のプラス5%以上のプラス前年同月未達(四捨五入で100.0%となっているものを含む)5%以上のマイナス10%以上のマイナス

※前年同月比は税抜比較で行っている。

※ファストフード、ファミリーレストラン、パブ/居酒屋の各業態の内訳に関しては、重複する事業社があるため合計の数値は必ずしも内訳の累積に一致しない。

ファストフード

ファストフード全体の事業社数は62、店舗数は21,556店(98.5%)。客単価は際立って上昇し、客数は96.2%と前年同月を下回った。売上高は101.0%と前年同月を上回った。

洋風ファストフード(事業社数19、店舗数6,350店=99.2%)は、客単価は際立って上昇し、客数は97.4%と前年同月を下回った。売上高は106.0%と拡大。

和風ファストフード(事業社数18、店舗数5,173店=99.1%)は、客単価は上昇し、客数は98.8%と前年同月を下回った。売上高は99.9%と未達ながら前年同月並み。

麺類ファストフード(事業社数22、店舗数3,246店=97.2%)は、客単価はやや低めの前年並みながら、客数は88.5%と2桁の大幅減。売上高は88.4%と2桁の縮小。

持ち帰り米飯/回転寿司ファストフード(事業社数20、店舗数4,391店=98.6%)は、客単価は上昇し、客数は98.5%と前年同月を下回った。売上高は101.1%と前年同月を上回った。

その他ファストフード(事業社数9、店舗数2,396店=97.0%)は、客単価は上昇し、客数は90.0%と2桁の大幅減。売上高は91.8%と縮小。

ファミリーレストラン

ファミリーレストラン全体の事業社数は65、店舗数は10,305店(94.6%)。客単価は下降したが、客数は83.1%と2桁の大幅減。売上高は79.4%と2桁の縮小。

洋風ファミリーレストラン(事業社数31、店舗数5,061店=92.6%)は、客単価は下降したが、客数は83.7%と2桁の大幅減。売上高は81.0%と2桁の縮小。

和風ファミリーレストラン(事業社数33、店舗数2,654店=94.7%)は、客単価は際立って下降したが、客数は79.6%と2桁の大幅減。売上高は75.3%と2桁の縮小。

中華ファミリーレストラン(事業社数15、店舗数1,154店=99.8%)は、客単価は前年並みながら、客数は87.0%と2桁の大幅減。売上高は87.1%と2桁の縮小。

焼肉ファミリーレストラン(事業社数19、店舗数1,436店=98.0%)は、客単価は際立って下降したが、客数は79.1%と2桁の大幅減。売上高は73.4%と2桁の縮小。

パブ・居酒屋

パブ/居酒屋全体の事業社数は37、店舗数は2,503店(88.0%)。客単価は2桁ダウンと大幅に下降したが、客数は38.1%と2桁の大幅減。売上高は31.2%と2桁の縮小。

パブ・ビアホール(事業社数12、店舗数465店=90.8%)は、客単価は2桁ダウンと大幅に下降したが、客数は31.1%と2桁の大幅減。売上高は26.4%と2桁の縮小。

居酒屋(事業社数28、店舗数2,038店=87.4%)は、客単価は2桁ダウンと大幅に下降したが、客数は41.2%と2桁の大幅減。売上高は33.0%と2桁の縮小。

ディナーレストラン

ディナーレストラン全体(事業社数27、店舗数940店=91.0%)は、客単価は際立って下降したが、客数は82.9%と2桁の大幅減。売上高は75.5%と2桁の縮小。

喫茶

喫茶全体(事業社数21、店舗数2,100店=96.9%)は、客単価は上昇し、客数は90.5%と減少。売上高は91.5%と縮小。

その他の業態

その他全体(事業社数17、店舗数199店=92.6%)は、客単価はやや低めの前年並みながら、客数は93.1%と減少。売上高は92.6%と縮小。

●日本フードサービス協会
http://www.jfnet.or.jp/data/data_c.html