国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.08(2021.04.14)を発表した。
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【ドイツ】公共施設における食品由来感染症を防ぐ
ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR: Bundesinstitut für Risikobewertung)は、とくに健康被害を受けやすい人に定期的に料理を提供している公共施設での食品調理について、推奨事項を収載したリーフレットの改訂版を発行した。
小児、妊婦、高齢者および病気の人は、食品由来感染症による被害を特に受けやすい。BfRのHensel所長は、「食品を選択・調理する際の過失は、特に健康被害を受けやすい人々に深刻な結果をもたらす可能性があり、死につながることさえあり得る。BfRは、今回改訂したリーフレット”Safe Food”により、公共施設がこれらの人々にとっても安全な食品を提供できるよう支援したい。」と述べている。
健康被害を受けやすい人に料理を提供する際は、サルモネラ菌やリステリア菌などの病原菌による汚染を防ぐことがとくに重要である。衛生管理を適切に行い、原材料・調理法を正しく選択することで食品由来感染症は低減する。食品の適切な品質、適切な保存・調理方法および従業員の教育も不可欠である。
果物・野菜は十分に洗浄すべきであり、可能であれば皮をむく。酸度が低い果物、野菜および葉物サラダは、カット後すぐに喫食するか、喫食するまで冷蔵する必要がある。
リステリア症予防のためには、生の食品だけでなく加熱済み食品やready-to-eat(そのまま喫食可能な)食品についても提供前に再加熱することが望ましい。
調理の際に食品全体を72℃で2分以上加熱することで、ほとんどの病原体は死滅する。安全な食品を調理するためにはこの要件を遵守すべきである。
細菌は加熱により死滅するが、細菌が形成する芽胞は高温下でも生残できる。これらの芽胞は発芽することが可能で、増殖性の細菌は増殖して毒素を産生する。加熱した食品は、提供するまで全体を60℃以上で保温することで芽胞の発芽や細菌の増殖を防ぐことができる。
とくに健康被害を受けやすい人々に定期的に料理を提供する施設は、従業員の人選について特別な責任がある。従業員は、能力が高く経験豊富でなければならず、定期的に研修を受けるべきである。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(微生物)No.08(2021.04.14)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2021/foodinfo202108m.pdf
今号の目次
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 野生の鳴禽類に関連して発生しているサルモネラ(Salmonella Typhimurium)感染アウトブレイク(初発情報)
2. ペットのハリネズミに関連して発生したサルモネラ(Salmonella Typhimurium)感染アウトブレイク(最終更新)
【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:ペットのハリネズミに関連して発生したサルモネラ(Salmonella Typhimurium)感染アウトブレイク(最終更新)
【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)
【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 欧州委員会(EC)指令2003/99/ECおよび施行に関する決定2013/652/EUの枠組における2020年の抗微生物剤耐性データの報告マニュアル
【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. サルモネラ症患者に関連しているパン粉付き冷凍生鶏肉製品の調理方法について英国食品基準庁(UK FSA)が再び助言を発表(2021年3月12日付の助言)
【アイルランド食品安全局(FSAI)】
1. アイルランド食品安全局(FSAI)の相談窓口が2020年に対応した食品関連の苦情は2,772件
【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 安全な食品:公共施設における食品由来感染症を防ぐために
【オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)】
1. オランダでの感染症の発生状況(2018年)
【ProMED-mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(05)