外食市場規模は前年比4割台に

ホットペッパーグルメ外食総研による外食市場調査の2021年1月度調査結果では、2021年1月の外食市場規模は前年比45.1%。前月(前年比55.7%)からは10.6ポイント後退となった。

外食市場規模は前年同月比−1,794億円

 2021年1月の外食市場規模は、3圏域合計で1,472億円。前年同月比(以下、前年比)は−1,794億円で、3カ月連続して前年比マイナス、かつ、マイナス幅が拡大した。前年比は45.1%で、12月の同55.7%から10.6ポイント後退した。

 外食実施率(46.9%、前月55.8%)、外食頻度(3.37回/月、前月3.75回/月)、外食単価(2,288円、前月2,636円)の主要3指標は、3カ月連続で3圏域ともすべて前年比マイナスとなった。また、1月の数値としてはいずれの指標も2013年の調査開始以来最低値を記録した。

 圏域別の市場規模の前年比は、首都圏で43.7%(前月55.0%)、関西圏で47.4%(同56.6%)、東海圏で46.2%(同57.4%)と全圏域で4割台と低迷した。ただし、前回の緊急事態宣言(2020年4月7日以降、順次エリア拡大)の4月の市場規模前年比は前年比22.5%とさらに影響が大きかった。2回目の今回(2021年1月8日以降、順次エリア拡大)は、初月のマイナス幅が1回目よりは小さく抑えられている。

 飲食店の営業時間短縮要請が20時までということで、休業した飲食店が多かった2020年4月・5月の緊急事態宣言時よりは影響が小さく済む可能性もありそうだ。

2021年1月の外食実施率は46.9%

前月比増減−8.9pt、前年比増減−28.4pt。

外食実施率(2021年1月)

2021年1月の外食頻度は3.37回/月

前月比増減−0.38回、前年比増減−0.57回。

外食頻度(2021年1月)

2021年1月の外食単価は2,288円

前月比増減−348円、前年比増減−391円。

外食単価(2021年1月)

2021年1月の外食市場規模は1,472億円

前月比増減−777億円、前年比増減−1,794億円。

外食市場規模(2021年1月)

飲酒主体業態の売上げは前年水準の3割を下回る

 業態別では、「居酒屋」(前年比増減−504億円)、「和食料理店」(同−305億円)、「焼肉、ステーキ、ハンバーグ等の専業店」(同−136億円)等、11カ月連続して主要16業態すべてで市場規模が前年比マイナスであった。食事主体業態・計が前年比53.1%(前月:64.5%)、飲酒主体業態・計が同28.3%(同:40.3%)、軽食主体業態・計が同50.8%(同:67.8%)と、飲酒主体業態を中心に大きな影響が出ている。

 主要16業態中でマイナス影響が少ないのはお一人様利用がやや多そうな「ラーメン、そば、うどん、パスタ、ピザ等の専業店」が前年比72.3%、「お好み焼き、鉄板焼き等の専業店」が同66.1%などとなっている。

 延べ外食回数が前年を上回った業態はなく、一方、単価については前年実績を上回った業態が「カラオケボックス」「ファストフード」「ラーメン、そば、うどん、パスタ、ピザ等の専業店」などの6業態であった。

前年比プラス業態

なし

前年比±0の業態

なし

前年比マイナス業態

「和食料理店」「中華料理店」「レストラン、食堂、ダイニング、洋食店」「フレンチ・イタリアン料理店」「アジアン料理店」「焼肉、ステーキ、ハンバーグ等の専業店」「お好み焼き、鉄板焼き等の専業店」「すき焼き、しゃぶしゃぶ、鍋、おでん等の専業店」「ファミリーレストラン、回転すし等」「ラーメン、そば、うどん、パスタ、ピザ等の専業店」「居酒屋」「バー、バル、ワインバー、ビアホール、パブ」「カラオケボックス」「スナック、ナイトクラブ、キャバレー」「ファストフード」「牛丼、カレー等一品もの専売業態」

※ホットペッパーグルメ外食総研「外食市場調査」(2021年1月度)
https://www.hotpepper.jp/ggs/research/article/marketing/202101

ホットペッパーグルメ外食総研・外食市場調査

 ホットペッパーグルメ外食総研・外食市場調査は、リクルートライフスタイル(東京都千代田区、淺野健社長)の外食に関する調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」が行っている調査。毎月、首都圏・東海圏・関西圏の約9,000~1万人を対象に「外食市場調査」を実施している。

 この「外食市場調査」では、圏域内の生活者による毎日の夕方以降の食事や飲酒について、外食と中食の内容(場所、相手、単価など)をヒアリングし、毎月の外食市場の動きを継続的に可視化している。3圏域限定で朝食・昼食は含まない市場調査ではあるが、飲食店などの事業所ヒアリングではなく、生活者に直接ヒアリングを行っていることから、性年代別や相手別の消費動向がわかり、外食している街や業種の情報が取得できていることが特徴。

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About 稲垣昌宏 56 Articles
ホットペッパーグルメ外食総研上席研究員 いながき・まさひろ 市場調査をメインに消費者動向から外食市場動向を分析・予測。また、観光に関する調査・研究、地域振興機関である「じゃらんリサーチセンター」研究員も兼務し、「食」と「観光」をテーマに各種委員会活動や講演などを行っている。肉より魚を好む、自称「魚食系男子」。