米欧が二枚貝管理同等性認める

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.23(2020.11.11)を発表した。

注目記事

【米国/欧州】FDAはEUの貝類安全対策を米国と同等と認定

 米国食品医薬品局(US FDA: US Food and Drug Administration)は、EUの生の二枚貝類(カキ、ハマグリ、ムラサキイガイ、ホタテガイなど)に関する食品安全対策が米国と同等レベルであると初めて認定した。

 これにより、スペインおよびオランダが米国に生の二枚貝類を輸出することが可能となる。FDAがEUと米国が同等レベルであると認定した理由は、スペインおよびオランダが生の二枚貝類に関するEUの食品安全管理対策システムを採用・実施し、さらに米国への輸出に特化した対策を追加することで、米国の食品安全対策と少なくとも同等の衛生レベルが確保されると判断したためである。FDAおよびEUは、2010年以降、生の貝類を輸入することを互いに許可していなかった。

 米国ではワシントン州およびマサチューセッツ州の一部の業者がEU市場に参入する。米国の他州の業者については、FDAおよびECが定めた効率化された方法によって近い将来検討される予定である。

【米国】米国8州の大腸菌O157:H7感染アウトブレイク

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、複数州にわたり発生している大腸菌O157:H7感染アウトブレイクを調査している。本アウトブレイクの感染源として具体的な食品はまだ特定されていない。本調査報告では、現在調査中の2件の大腸菌O157:H7感染アウトブレイクのうち1件目に関する情報を提供する。

 患者の発症日は2020年6月6日〜10月5日である。患者の年齢範囲は2〜75歳。情報が得られた患者16人のうち、溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症した1人を含む8人が入院した。ミシガン州から死亡者1人が報告されている。

 患者数人がレストランに関連した患者クラスターとして特定された。患者クラスターは、発症前1週間に同じレストランでの食事、同じ行事への参加、または同じ食料品店舗での食品の購入をしたことを報告し、かつ同居していない2人以上の患者と定義される。

 本アウトブレイクの原因株は、ロメインレタスに関連して2018年に発生した大腸菌O157:H7感染アウトブレイクなど、さまざまな食品に関連した過去の複数のアウトブレイクの原因株である。しかし、過去のアウトブレイクに関連したことがある食品という事実だけでは、別のアウトブレイクにおける当該株とその食品との関連を十分に立証することはできない。

 公衆衛生当局は患者への聞き取り調査を継続しており、FDAは農場の立ち入り検査、検体採取および追跡調査を行っている。

【米国】米国12州の大腸菌O157:H7感染アウトブレイク

 米国疾病予防管理センター(US CDC)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、複数州にわたり発生している大腸菌O157:H7感染アウトブレイクを調査している。本アウトブレイクの感染源として具体的な食品はまだ特定されていない。本調査報告では、現在調査中の2件の大腸菌O157:H7感染アウトブレイクのうち2件目に関する情報を提供する。

 患者の発症日は2020年8月17日〜10月8日である。患者の年齢範囲は5〜81歳。情報が得られた患者15人のうち、溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症した2人を含む10人が入院した。死亡者は報告されていない。

 患者は、葉物野菜などさまざまな食品の喫食を報告している。すでに聞き取りが行われた患者13人全員が、アイスバーグレタス(9人)、ロメインレタス(8)、袋入りレタスミックス(6)、ホウレンソウ(9)など、さまざまな種類の葉物野菜の喫食を報告した。

 本アウトブレイクの原因株は、ロメインレタスに関連して2019年に発生したアウトブレイクの原因となった大腸菌O157:H7株と同じ株である。しかし、過去の1件のアウトブレイクのみに関連した食品という事実だけでは、別のアウトブレイクにおける当該株とその食品との関連を十分に立証することはできない。

 公衆衛生当局は患者への聞き取り調査を継続しており、FDAは農場の立ち入り検査、検体採取および追跡調査を行っている。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.23(2020.11.11)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2020/foodinfo202023m.pdf

今号の目次

【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. 米国食品医薬品局(US FDA)が欧州連合(EU)の貝類の食品安全対策を米国と同等であると初めて認定 - スペインおよびオランダとの貝類の輸出入を再開

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 米国の8州にわたり発生している大腸菌O157:H7感染アウトブレイク(初発情報)
2. 米国の12州にわたり発生している大腸菌O157:H7感染アウトブレイク(初発情報)
3. クローバースプラウトに関連して発生した大腸菌O103感染アウトブレイク(最終更新)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:ペットのハリネズミに関連して発生しているサルモネラ(Salmonella Typhimurium)感染アウトブレイク(初発情報)

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. ツイッターを利用して公衆衛生上の脅威を早期に探知するための新しいツール:「epitweetr」
2. 公衆衛生に関する第16回世界会議において欧州疾病予防管理センター(ECDC)が討論会を主催 - 抗微生物剤耐性の発生の低減へ:なぜリーダーシップが重要か

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 一般家庭における食品由来感染症対策に関するFAQ(2020年9月9日付更新情報)

【オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)】
1. オランダのブロイラーにおける人獣共通感染症サーベイランス(2018〜2019年)