中国の朝食は外食が一般的である。共働きが多いということが、大きな原因だろう。また、そもそも朝食を摂れる店が多く、安価なこともある。通勤や通学途上で、気楽に摂ることができるのだ。
中国の朝食事情
朝食を提供する店舗はいろいろあり、早朝6時から営業するケースが多い。具体的には、個人小店舗(本連載第2回参照)や食品市場(本連載第5回参照)、露店(本連載第11回参照)が挙げられる。大都市ならば、コンビニエンスストア(本連載第14回参照)も選択肢になる。一方、自宅で朝食を済ますのは、余裕がある裕福な家庭と聞く。
具体的な料理を紹介しよう。主食系で一般的なのが、油条(ヨウテャオ)という棒状の揚げパン(長さ30cmで1.5元。およそ22円)である。これに煎餅果子(ジェンビングォズ)という中国風クレープが続く。さらに、点心系の肉まん(大1個が1.8元。およそ27円)や麺類が選択できる。もちろん、日本人が普通にイメージするお粥もある。
タンパク質系の惣菜として、茶葉蛋(チャーイエダン)がある。ゆで卵を茶葉や醤油、香辛料とともに煮込んだものだ。これに、液体に富む惣菜系として、豆乳(トンユー)や豆花(ドウホワ。一鉢2元。およそ30円)を一緒に頼むことが多い。豆乳は日本の豆乳と異なり、かなり甘い。豆花は日本のおぼろ豆腐にあたり、豆腐花(ドウフーフア)や豆腐脳(ドウフナオ)と称されることがある。どちらも毎日自家製で、消費期限は当日正午程度だ。
中国ホテルの朝食
中国の一般的な高級ホテル(酒店:ジュージエン)で提供される朝食を紹介しよう。
筆者が利用したホテルでは朝食の開始時間が6時30分だった。
中国料理がメインだが、洋食にも配慮していた。ただし、レベルは高くない。パンは問題ないが、ハム・ソーセージの品質が明確に低い。デンプンが大量に加えてある感覚である。一度口にすれば、二度と食べたくないと思う。欧米系の方もかなり泊まっていたが、彼らがハム・ソーセージを皿に載せていたのを見たことがない。
主食系は上記に加え、チャーハンや焼きうどんがある。また、肉まんや焼売などの点心類も充実している。筆者は一通り試した後、お粥を選択していた。身体に合う気がしたためである。粟をメインにしたものと米に小豆を加えたものとがある。その日の気分で選択した。
惣菜系はかなり多彩で、ピーマンやキクラゲ、レンコン、フキをメインにして炒めた料理がある。ゆで卵や目玉焼きもあり、食べられる範囲で皿に取る。
スープ類はトマトを主材としたものに加え、ワカメと溶き卵によるものなど、毎日2種類程度が準備されていた。
この他に豆類や果物類(キンカン、スイカなど)に加えて、ミニトマトやレタスを並べているコーナーがあった。生野菜はミニトマトまでは皿に取ったが、葉物のレタスは躊躇した。農場の衛生管理が信頼できなかったためである。また、コーヒーや紅茶、牛乳のコーナーもあった。お国柄で、すべてホットである。
不満な点もあるが、総合評価では満足といえるレベルだった。