日本フードサービス協会(JF)は2020年5月外食産業市場動向調査を発表した。全体(事業社数208、店舗数38,059店=98.6%)合計の売上高は67.8%と際立って大幅な縮小。客単価は際立って上昇し、客数は62.5%と際立って大幅な減少。
洋風ファストフードのみが前年同月をクリアし、むしろ2桁増という結果を出した。ファストフードでは、持ち帰り米飯/回転寿司、和風、その他が1割〜2割の売上減で、他業態に比べると打撃は少ないと言えるが、麺類ファストフードは5割減と痛手を受けた。
最も深刻な打撃を受けたのは、前年同月比が1割を切ったパブ・ビアホールと同1割程度の居酒屋。ほかに、ディナーレストラン、喫茶、和風ファミリーレストラン、洋風ファミリーレストランが前年同月比で5割以上の減少となった。
ファミリーレストランでは中華ファミリーレストランが前年同月比6割程度と、比較的打撃が少なかった。
JFによる概況は以下のとおり。
5月も、新型コロナウイルスの影響により深刻な事態が続いた。4月に全国に発令された「緊急事態宣言」は5月14日には39県で解除されたものの、大阪圏は21日、東京圏は25日まで解除が延期されたことで、多くの外食店舗では営業時間の短縮や臨時休業が続いた。解除後も繁華街立地、夜の時間帯、休日等では客足の戻りは鈍く、5月の外食全体の売上は前年比67.8%と、4月よりいくぶん回復したものの大幅な減少となった。「持ち帰りの有無」と、「休業店舗の多少」が、業態間の明暗を分け、テイクアウトに強みのあるFFではむしろ好調なところのある一方で、休業せざるを得ず、持ち帰り対応に不向きな飲酒業態などは4月に続き、壊滅的な打撃を受けた。
事業社数 | 店舗数 | 売上高(前年比) | 店舗数(前年比) | 客数(前年比) | 客単価(前年比) | ||
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全体 | (N=208) | (N=38,059) | 67.8% | 98.6% | 62.5% | 108.5% | |
ファストフード | 合計 | (N=54) | (N=21,703) | 90.7% | 98.5% | 73.9% | 122.6% |
洋風 | (N=17) | (N=6,239) | 110.9% | 99.3% | 77.4% | 143.3% | |
和風 | (N=16) | (N=5,147) | 84.8% | 100.7% | 84.3% | 100.6% | |
麺類 | (N=20) | (N=3,359) | 50.6% | 100.0% | 46.1% | 109.7% | |
持ち帰り米飯/回転寿司 | (N=15) | (N=4,350) | 90.0% | 93.7% | 84.9% | 106.0% | |
その他 | (N=9) | (N=2,608) | 78.8% | 98.5% | 63.2% | 124.7% | |
ファミリーレストラン | 合計 | (N=56) | (N=10,753) | 50.6% | 99.4% | 48.0% | 105.4% |
洋風 | (N=23) | (N=5,335) | 48.1% | 98.6% | 45.3% | 106.2% | |
和風 | (N=28) | (N=2,502) | 40.5% | 97.8% | 41.1% | 98.5% | |
中華 | (N=14) | (N=1,485) | 74.2% | 102.3% | 65.1% | 114.0% | |
焼肉 | (N=16) | (N=1,431) | 50.9% | 102.3% | 53.9% | 94.6% | |
パブ/居酒屋 | 合計 | (N=35) | (N=2,332) | 10.0% | 95.7% | 11.6% | 86.0% |
パブ・ビアホール | (N=9) | (N=328) | 4.1% | 96.8% | 3.4% | 122.6% | |
居酒屋 | (N=30) | (N=2,004) | 11.5% | 95.6% | 14.4% | 79.9% | |
ディナーレストラン(計) | (N=32) | (N=1,182) | 28.5% | 97.0% | 27.0% | 105.5% | |
喫茶(計) | (N=16) | (N=1,886) | 33.2% | 99.8% | 31.6% | 105.0% | |
その他(計) | (N=15) | (N=203) | 67.9% | 103.6% | 51.3% | 132.3% |
凡例:10%以上のプラス/5%以上のプラス/前年同月未達(四捨五入で100.0%となっているものを含む)/5%以上のマイナス/10%以上のマイナス。
※前年同月比は税抜比較で行っている。
※ファストフード、ファミリーレストラン、パブ/居酒屋の各業態の内訳に関しては、重複する事業社があるため合計の数値は必ずしも内訳の累積に一致しない。
ファストフード
ファストフード全体の事業社数は54、店舗数は21,703店(98.5%)。客単価は2桁アップと大幅に上昇し、客数は73.9%と2桁の大幅減。売上高は90.7%と縮小。
洋風ファストフード(事業社数17、店舗数6,239店=99.3%)は、客単価は2桁アップと大幅に上昇し、客数は77.4%と2桁の大幅減。売上高は110.9%と2桁の拡大。
和風ファストフード(事業社数16、店舗数5,147店=100.7%)は、客単価は前年並みながら、客数は84.3%と2桁の大幅減。売上高は84.8%と2桁の縮小。
麺類ファストフード(事業社数20、店舗数3,359店=100.0%)は、客単価は際立って上昇し、客数は46.1%と2桁の大幅減。売上高は50.6%と2桁の縮小。
持ち帰り米飯/回転寿司ファストフード(事業社数15、店舗数4,350店=93.7%)は、客単価は際立って上昇し、客数は84.9%と2桁の大幅減。売上高は90.0%と2桁の縮小。
その他ファストフード(事業社数9、店舗数2,608店=98.5%)は、客単価は2桁アップと大幅に上昇し、客数は63.2%と2桁の大幅減。売上高は78.8%と2桁の縮小。
ファミリーレストラン
ファミリーレストラン全体の事業社数は56、店舗数は10,753店(99.4%)。客単価は際立って上昇し、客数は48.0%と2桁の大幅減。売上高は50.6%と2桁の縮小。
洋風ファミリーレストラン(事業社数23、店舗数5,335店=98.6%)は、客単価は際立って上昇し、客数は45.3%と2桁の大幅減。売上高は48.1%と2桁の縮小。
和風ファミリーレストラン(事業社数28、店舗数2,502店=97.8%)は、客単価は下降したが、客数は41.1%と2桁の大幅減。売上高は40.5%と2桁の縮小。
中華ファミリーレストラン(事業社数14、店舗数1,485店=102.3%)は、客単価は2桁アップと大幅に上昇し、客数は65.1%と2桁の大幅減。売上高は74.2%と2桁の縮小。
焼肉ファミリーレストラン(事業社数16、店舗数1,431店=102.3%)は、客単価は際立って下降したが、客数は53.9%と2桁の大幅減。売上高は50.9%と2桁の縮小。
パブ・居酒屋
パブ/居酒屋全体の事業社数は35、店舗数は2,332店(95.7%)。客単価は2桁ダウンと大幅に下降したが、客数は11.6%と2桁の大幅減。売上高は10.0%と2桁の縮小。
パブ・ビアホール(事業社数9、店舗数328店=96.8%)は、客単価は2桁アップと大幅に上昇し、客数は3.4%と2桁の大幅減。売上高は4.1%と2桁の縮小。
居酒屋(事業社数30、店舗数2,004店=95.6%)は、客単価は2桁ダウンと大幅に下降したが、客数は14.4%と2桁の大幅減。売上高は11.5%と2桁の縮小。
ディナーレストラン
ディナーレストラン全体(事業社数32、店舗数1,182店=97.0%)は、客単価は際立って上昇し、客数は27.0%と2桁の大幅減。売上高は28.5%と2桁の縮小。
喫茶
喫茶全体(事業社数16、店舗数1,886店=99.8%)は、客単価は際立って上昇し、客数は31.6%と2桁の大幅減。売上高は33.2%と2桁の縮小。
その他の業態
その他全体(事業社数15、店舗数203店=103.6%)は、客単価は2桁アップと大幅に上昇し、客数は51.3%と2桁の大幅減。売上高は67.9%と2桁の縮小。
●日本フードサービス協会
http://www.jfnet.or.jp/data/data_c.html