国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.12(2020.06.10)を発表した。
注目記事
【イギリス】英国食品基準庁が飲用の生乳の生産管理を強化
英国食品基準庁(UK FSA: Food Standards Agency, UK)は、生乳生産者協会(RMPA:Raw Milk Producers Association)およびその他の重要な関係者と緊密に協力し、喫飲用生乳による健康リスク低減の問題に取り組んでいる。
喫飲用生乳とは、動物から搾られた後に有害細菌を死滅させるための殺菌処理が施されず、そのまま喫飲用とされている乳である。喫飲用生乳の販売量が近年増加しており、これに関連する疾患アウトブレイクが増えていることを受け、「喫飲用生乳に関するガイダンス文書(raw drinking milk guidance document)」(https://www.food.gov.uk/business-guidance/raw-drinking-milk-guidance)が作成された。
このガイダンスには、喫飲用生乳の生産業者が実施しなければならない安全対策が概説されている。製品の安全性に悪影響を及ぼす恐れのある問題を評価してそのような問題の発生防止対策を特定する安全システムを構築し、実施することを法的に義務付けている。
また、FSAは、乳中に存在している可能性がある特定の病原体、衛生指標菌および疾患の指標を検出するために推奨されている定期的な検査を生産業者が実施することを期待している。FSAの乳製品衛生検査官は、喫飲用生乳を生産している農場で適切な手順が行われているかどうかを確認するために6カ月ごとの立ち入り検査を行っている。
FSAは、妊婦、乳幼児、高齢者、および健康上の問題から免疫機能が低下している人は喫飲用生乳を喫飲すべきでないという助言を続けている。
【米国】ブラックベリーに関連の可能性があるA型肝炎
米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、汚染された生鮮ブラックベリーへの曝露に関連して複数州にわたり発生したA型肝炎アウトブレイクを調査した。当該ブラックベリーは、食料品チェーンFresh Thyme Farmers MarketもしくはWoodman’s Marketの店舗で2019年9月に販売された。
疫学・追跡調査から得られたエビデンスは、生鮮ブラックベリーが本アウトブレイクの感染源である可能性が高いことを示した。
FDAは追跡調査を終了したが、慣行栽培の当該生鮮ブラックベリーに共通する単一の供給元を特定することはできなかった。
2020年2月19日をもって本アウトブレイク調査は終了した。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(微生物)No.12(2020.06.10)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2020/foodinfo202012m.pdf
今号の目次
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 小規模飼育の家禽類との接触に関連して発生しているサルモネラ(Salmonella Hadar)感染アウトブレイク(初発情報)
2. 生鮮ブラックベリーに関連した可能性があるA型肝炎アウトブレイク(最終更新)
【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:Rosemountブランドの加熱済み角切り鶏肉に関連して発生したリステリア感染アウトブレイク(最終更新)
【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)
【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. 英国食品基準庁(UK FSA)が喫飲用生乳生産の管理を強化
【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は食品や物を介して伝播し得るか? (5月27日更新)
2. コロナウイルス感染症(COVID-19)のリスクは依然として深刻に受け止められている
【オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)】
1. オランダでの食品由来アウトブレイクの発生状況に関する報告書(2006〜2017年)
【ProMED mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報2020(04)