外食市場蒸発。KFCは独走

2020年4月のフードサービス（株式公開企業。コンビニエンスストアを含む）の業績。既存店売上高では、113件のデータのうち、前年同月をクリアしたのは7件のみで、106件が前年割れとなった。全店売上高では、82件のデータのうち、前年同月をクリアしたのは3件のみで、79件が前年割れだった。

4月7日に政府が7都府県に緊急事態宣言を発令し、17日には全国へ拡大する中、外食産業が破滅的な打撃を受けていることは明らかだったが、数字ではっきり示された形だ。

なお、従来月次業績データを公表していた企業のうち、5月19日までに4月分の月次業績データを公表していないか、月次業績データ公表の中止を発表した企業が13社を数える。公表された既存店データ件数は前月（3月）149から36件減り、全店データは同113件から31件減った（いずれも当編集部把握分）。

月次業績データの公表を中止した企業には、全店が営業を中止しているためデータがないケースと、通常との開きが大きすぎて比較に適さないためなどとしているケースとがある。いずれにせよ未曾有の事態と言える。

ケンタッキー独り勝ち

既存店売上高がとくに好調だったのは、日本KFCHD（133.1％）で、客単価が2割程度上昇し、客数も1割近く伸ばした。テイクアウト需要を旺盛に捉えている様子がうかがわれる。

また、20店規模だが、小僧寿しデリバリー事業（デリズ）（129.1％）も既存店売上高を大きく伸ばした。

そのほか、ローソンローソンストア100事業（108.4％）、小僧寿し持ち帰り寿し事業（小僧寿し+茶月）（107.6％）、日本マクドナルドHD（106.5％）、モスフードサービス「モスバーガー」（103.7％）、プレナス「ほっともっと」（101.9％）が、既存店売上高が前年同月をクリアした。

新店を含む全店売上高でも、日本KFCHD（120.6％）は絶好調。日本マクドナルドHD（106.7％）も好調で、モスフードサービス「モスバーガー」（102.0％）も前年同月をクリアした。

居酒屋壊滅。ファミレス売上も半減

居酒屋は客単価2,000円台と4,000円台と価格レンジを問わず大打撃を受け、既存店で前年同月より6割以上を落とし、前年同月比1桁というケースもある。

ファミリーレストランも既存店で前年同月より5割以上落としたところが多い。

コンビニエンスストアではセブン-イレブンが既存店で前年同月比95.0％、ミニストップが同93.2％と被害軽微だが、ローソンとファミリーマートは既存店で前年同月より1割以上落とした。

一般に、テイクアウトに強い業態は持ちこたえている感があるが、オフィス街など、ダウンタウン、アーバン方面の立地が多い場合は売上が伸び悩んでいると考えられる。

主要なフードサービスの2020年4月の業績一覧

各社発表データによる。一部に速報値を含む。売上高、客数、客単価のパーセンテージは前年同月比。

※ローソンの訂正発表を反映させました（2020年6月23日）。

※きちりHDのデータを追加しました（2020年6月5日）。「2020年４月よりデリバリー/テイクアウト事業がスタートしている為、前年と同条件での既存店売上高の比較が難しいことから本資料の開示を控えさせていただいておりました。しかしながら、今後デリバリー/テイクアウト事業の重要性が高まることを踏まえて改めて開示ポリシーを検討した結果、既存店売上高の対象は従来の店舗での売上高のみとし、デリバリー/テイクアウト事業にかかる売上は新規事業としてカテゴライズすることと致しました。尚、全店ベースの売上高には、デリバリー/テイクアウト事業にかかる売上を含んでおります」（同社）

※SRSHDの訂正発表を反映させました（2020年7月21日）。

凡例：10％以上のプラス／5％以上のプラス／前年同月未達／5％以上のマイナス／10％以上のマイナス。順不同。