業務による出張で、しばしば中国にうかがっている。行ったことのある都市は北京を筆頭に、上海、青島、広州、深セン、桂林、南寧、香港などである。
肌で感じる中国の文化と暮らし
スケジュールが空いていればその都度滞在を数日延長している。その滞在費は自己負担のため、安価なホテルに移動するのだが、近年はネットで海外ホテルを簡単に検索して予約できるので便利な時代になったと思う。
滞在を延長したときには、近隣の名所や博物館・美術館などに足を運ぶことが多い。また、街中をできるだけ独りで歩くようにしている。中国の人々の暮らしを肌で感じたいためである。日本との違いに気がつくことは当然である。一方、日本独自の文化と感じていたものが、中国由来とわかることも少なくない。
東南アジアや欧米にうかがうことがある。米国では人の多い表通りでも道端で物乞いにあうなど身体の不安を感じたことがあったが、他の国ではそのような経験はなく、中国も同様である。道に迷ったときには、タクシーが気楽に利用できる。日本と異なり安価なためである。バスはさらに格安だが、目的地が終点の場合に限る。地名が案内されても聞き取れないためだ。その点、地下鉄(メトロ)は漢字の地名が目視できるため、安心して利用できる。
地名の漢字は音読みができるかなと思っていたが、大間違いだった。日本に伝わった時代により差があるようだ。筆者は麻雀を好むが、これで使う言葉は現代の中国読みに近い。東南西北を日本の麻雀では「トン、ナン、シャ、ペイ」と発語するが、現代中国語なら「ドン、ナン、シー、ベイ」といった具合だ。役(ヤク)の平和「ピンフ」は「ピンヘ」となる。
スマホなしで歩く
筆記による意思疎通は有効である。かなり前に中国本土は簡体字に変更した。初めは戸惑うが、慣れてくれば問題なく読めるようになる。また、日本の漢字表記も伝わることが多い。なお、香港や台湾では、旧字体の使用を継続している。
そして、中国で使われる多くの単語が日本で使われているものと同じだと気づくだろう。中国の近代化の中で、日本の表現をそのまま導入したためと聞く。
筆者はある程度英語を話せるが、これが中国で通じるかどうかは地域や人により大差がある。成人よりむしろ学生の方が通じる可能性は高い。最近、自動翻訳機を使っている。Wi-Fiが通じていることが条件だが、一般的な街中なら問題ない。課題は翻訳精度だが、専門性が低い一般的な会話であれば、十分に使えるという実感がある。
以降、FoodWatchJapanの記事では、テーマを「食」に絞って記す。一口に食といっても範囲は広い。カテゴリーを示すなら、料理、食材、加工品、調味料、酒類、飲料、販売店などになるだろう。
歩くとき、服装は現地の人に近い状態になるよう工夫する。目立ちたくないためである。筆者はスマホを使わないから、紙の現地地図と磁石は必需品だ。そうそう、水筒を忘れてはいけない。歩きやすい靴をはいて、小さなリュックを背負えば、準備完了。——さあ、街に出かけよう。
※編集部より:中国ひとり