今年も食を広くとらえながら、バイオテクノロジーとリスクコミュニケーションに関する話題を振り返ってみました。
- サナテックシード設立
- ゲノム編集の相談窓口開く
- 山崎製パンの呼びかけで“不使用表示”自粛
- 豚コレラ、アフリカ豚コレラ名称変更
- ラウンドアップ使用停止を求める声
- 遺伝子組換えの表示
- SDGs(持続可能な開発目標)
- 反ワクチン運動
- アレルギー食品表示推奨品目に「アーモンド」が追加される
- webサイト「バイオステーション」が開設される
1. サナテックシード設立
筑波大学で開発した、ゲノム編集でつくられた高GABAトマトの実用化をめざし、バイオベンチャーがつくられました。
2. ゲノム編集の相談窓口開く
厚生労働省、農林水産省にゲノム編集技術を用いた農林水産物の食品としての安全性、環境影響評価に関する事前相談窓口がスタートしました。
3. 山崎製パンの呼びかけで“不使用表示”自粛
山崎製パンは、イーストフードや乳化剤と同じ機能を持つ成分を使用したパンについて「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示をすることを取り止めるべきという意見表明を行いました。その後、日本パン工業協会、日本パン公正取引協議会は不使用表示を自粛するという自主基準を策定しました。
※「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示について
https://www.yamazakipan.co.jp/oshirase/0326.html
4. 豚コレラ、アフリカ豚コレラ名称変更
豚コレラ、アフリカ豚コレラの名称が、ヒトのコレラと混同して風評被害が出ないようにということで、農林水産省はCSF(Classic Swine Fever)とASF(African Swine Fever)という呼称を使い始めました。
ところが、12月24日の毎日新聞によると、農水省は「豚コレラ(CSF)の名称を『豚熱』に変更するとして、来年の通常国会に家畜伝染病予防法の改正案を提出する方針を明らかにした」そうです。「アルファベットの略称では法律上の名称とするのは困難との見解が法制局から示されたため」だそうです。
5. ラウンドアップ使用停止を求める声
非選択的(双子葉植物にも単子葉植物にも効果がある)除草剤ラウンドアップの使用禁止を求める運動が起こり、日本にも禁止を求める署名活動が国内外で行われました。
なお、使用禁止を求めている団体は、ラウンドアップが使用されている穀物の輸入の是非には言及していないようです。
6. 遺伝子組換えの表示
遺伝子組換え食品の表示制度について、消費者庁は4月にパンフレットを作成し、消費者に理解を促しました。分別管理(IDハンドリング)した原料を用いた食品の任意表示の制度が2023年4月に施行されるが、供給者サイドの動きと消費者の受け止めがどのようになっていくのか、気になるところです。
※知っていますか? 遺伝子組換え表示制度
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/quality/genetically_modified/pdf/genetically_modified_190425_0003.pdf
7. SDGs(持続可能な開発目標)
2030年までに達成すべき17の目標SDGsが、いろいろな場面で言われるようになりました。11年ぶりに出された「バイオ戦略」において重視されているバイオエコノミーの考え方も注目されています。
8. 反ワクチン運動
先進国で副作用を恐れてワクチン接種をしない運動が起こっています。日本では厚生労働省が2013年以降、子宮頸がん予防ワクチンについて「積極的な接種勧奨の一時差し控え」という姿勢を続けています。
9. アレルギー食品表示推奨品目に「アーモンド」が追加される
消費者庁は、9月19日、「アーモンド」がアレルギーを起こす可能性があるとして表示を推奨する「特定原材料に準ずるもの」に追加しました。
10. webサイト「バイオステーション」が開設される
内閣府の第2期戦略的イノベーション創造プログラム(SIP2)において「バイオテクノロジーに関する国民理解の増進と技術動向等の調査研究」を推進している参画機関をメンバーとする「最新育種ネットワーク」が、9月、ポータルサイト「バイオステーション」を開設しました。
※バイオステーション
https://bio-sta.jp