8月に香港で開催された第30回フード・エキスポは、出展者数が過去最大だったが、来場したバイヤー数が減った。ただし、商談では成果が上がったという声がある。一般市民は土日を中心に客足が鈍かったが、45万人を集めた。
香港貿易発展局(HKTDC)主催の食品・食材の総合見本市、第30回フード・エキスポが、2019年8月15日~19日、香港コンベンション&エキシビション・センターで開催された。
今回は折からの2019年逃亡犯条例改正案を巡るデモが長期化する中での開催となり、とくに会期直前の8月12日から13日にかけてはデモの影響で香港国際空港発着の全便が欠航するという出来事もあり、開催への影響も懸念された。しかし、蓋を開けてみるとすべてのプログラムが問題なく進行し、会期中にデモによる直接的な支障はなかった。
ただし、バイヤーおよび一般客の数に影響が出たことは否めない。当局の発表と編集部の調べによれば、今回の出展者数は1,578で過去最大だったが、来場したバイヤーの数は17,924で、前回より3,700人ほど少なかった。これは2012年と2013年の水準の間ということになる(下のグラフと表参照)。
実際、初日には日本からの出展者の間から「来場しているバイヤーが少ないようだ」といった不安の声は聞かれた。とは言え、情報筋によれば、日本パビリオン全体で設定していた成約目標数は会期終了を待たず2日目には達成したという。また、当編集部の聞き取りでも、初日に不安を漏らしてた複数社から、3日目の商談期間終了時には満足のいく結果が得られたという声が聞かれた。
また、フード・エキスポはBtoBの商談会(トレードホール)と一般市民向けの展示即売会(パブリックホールおよびグルメゾーン)が並行して開催されるが、その一般来場者数は450,000という発表で、昨年より概算で約6万人減となった(下表参照)。この一般向け展示はもともと土日に来場者が多いが、デモはとくに土日に計画され、地下鉄の運行に影響が出ることもあるため、来場を見送った市民がいたことが影響したようだ。
ちなみに、香港立法会占拠といった事象や白Tシャツ団による襲撃事件などもあってデモ関連のニュースが増加した7月にも、同じ会場で「Hong Kong Book Fair 2019」が問題なく開催された。こうしたビジネス関連のイベントは、市民の間でも香港にとって重要なことと認識されており、今後もデモによって展示会等の開催に支障を来すことはあまりないのではないかと考えられる。
香港フード・エキスポの出展者数と来場者数の推移
2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 |
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741 | 888 | 1,110 | 1,145 | 1,182 | 1,192 | 1,391 | 1,542 | 1,562 | 1,578 |
12,117 | 12,854 | 16,627 | 19,668 | 20,075 | 20,452 | 20,717 | 20,932 | 21,668 | 17,924 |
371,524 | 382,500 | 390,138 | 410,000 | 460,000 | 470,000 | 490,000 | 500,000 | 510,000 | 450,000 |
中段:バイヤー数
下段:総来場者数
香港貿易発展局およびJETRO発表のデータから編集部でまとめた。