糖類の科学的助言の完成延期

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.15(2019.07.24)を発表した。

注目記事

【EFSA】大量のデータを評価するため糖類の意見の期限延長

欧州食品安全機関(EFSA)は、2017年に依頼された食事由来の糖類に関する科学的助言の作成について、当初の予定よりも延期することを発表した。これは、2018年のパブリックコメント後に評価に含まれる研究が拡大したためであり、著しい進歩が見られたものの、非常に多くの研究評価のための時間が必要になったことによる。

EFSAは、入手可能なデータで、可能であるなら、糖類/添加糖/無糖の耐容上限摂取量を設定しようと試みている。この作業の2021年の最終化を視野に入れて、2020年末にパブリックコメント募集案を用意することを目指している。

※ポイント:2015年のWHOガイドライン発表以来、現在も遊離の糖の摂取に関する各国政府の新たな対応がときどき報告されています。EFSAは2010年に砂糖を含む炭水化物と食物繊維の食事摂取基準(DRV)についての助言を提示しましたが、そのときは根拠不十分で添加される糖の上限量を設定できませんでした。その後、新しい科学的根拠が明らかになってきたことやWHOの助言を受けて、2017年に改めて糖類の摂取に懸念されているさまざまな健康影響を考慮して上限量を設定することになりました。EFSAの科学的助言が決定したら、糖類の摂取に関するEU全体としての方針が提示されることでしょう。

【ANSES】食用植物と有毒植物:採集時の混同を避ける

死亡事例2件(ドクゼリ、トリカブト各1件)を含む数件の重症中毒の報告を受けて、フランス食品・環境・労働衛生安全庁(ANSES)と中毒管理センターネットワークは有毒植物と食用植物の誤認リスクに注目している。

有毒植物には食用植物と似ているものがあり、野生のものだけでなく庭や菜園でも混同されることがある。2012年以降、ANSESは中毒管理センターからの報告を集めるトキシコビジランス計画を通して年間250件以上の植物の誤認事例を記録しており、2018年までの間に1,872事例の植物の誤認が記録されていた。昨年5月には、中毒管理センターがイヌサフラン(Colchicum autumnale)とラムソン(Allium ursinum)、あるいは多年生ネギ(Allium polyanthum)とを間違えた20件の中毒事例を報告した後に、フランス東部地域保健局が警告を発した。

※ポイント:日本でも4、5月頃になると有毒植物を食べられる植物と誤認したことによる食中毒が報告されています。日本では近年はスイセン、バイケイソウ、イヌサフランを原因とする事例が多いですが、フランスでは球根(不特定)、トチの実、非食用カボチャ、サトイモ科植物を原因とする報告が多いようです。

年間250件以上の事例が報告されているのは、もともとの発生件数も多いのかもしれませんが、トキシコビジランス計画の効果が大きいでしょう。それと、ANSESの助言に「採取した植物の写真を撮っておこう」というのがありました。これは中毒が発生したときの原因究明に非常に役立ちますので、今後の注意喚起に取り入れるとよいと思いました。

【FAO/WHO】Codex

2019年7月8日〜12日、スイス・ジュネーブにて第42回総会(CAC: Codex Alimentarius Commission)が開催された。報告書が公開されている。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.15(2019.07.24)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2019/foodinfo201915c.pdf

今号の目次

【WHO】

1. 世界の飢餓は3年経ってもまだ減らず肥満はなお増え続けている-国連報告
2. WHO/欧州地域事務所の研究はベビーフードの砂糖が多く赤ちゃんに不適切にマーケティングされていることを発見
3. 国際がん研究機関(IARC)

【FAO】

1. 今後10年、農業生産増加は食糧価格を低く維持し続けるだろうが多くの不確実性がある
2. 食品と農業に関連するSDG指標の前進を追跡する
3. Codex

【EC】

1. 査察報告書
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】

1. 粒度分布のパラメーター追加に関する二酸化チタン(E171)のEU規格の改訂案に関する科学的意見
2. 遺伝子組換え関連
3. 生態毒性学において一般的に繰り返される問題に関する農薬ピアレビュー会議の結果
4. 香料グループ評価
5. 農薬関連
6. 大量のデータを評価するため糖類の意見の期限延長

【FSS】

1. Loch Lomond Brewery は過度な炭酸化のため、危害になる可能性があるとしてペールエール3製品をリコール措置

【PHE】

1. ベビーフード業界はより良い製品と明確な表示が必要

【NHS】

1. Behind the Headlines

【ASA】

1. ASA裁定

【BfR】

1. ミルクのマイクロRNA:健康リスクはありそうにない
2. 国の研究所の科学的研究にも著作権はあてはまる
3. オーダーメイド遺伝子:消費者はどう考える?

【RIVM】

1. 農地や畜産用地にPFASを含む土壌や浚渫土壌を使う場合の土壌リスク限度

【ANSES】

1. 食用植物と有毒植物:採集時の混同を避ける

【FSAI】

1. 未認可物質のTHCのため、EUPHORIA CBD Full Spectrum Oil製品のリコール措置

【FDA】

1. FDAは塩化カリウムの別名に関するガイダンスの意見募集期間を延長
2. 熱帯低気圧Barryによる洪水地域の食糧生産者向けリソース
3. FDAの新しい歴史展示で過去から未来を考える
4. キシリトールには(肉球は)触らない;イヌにとって危険
5. 警告文書

【USDA】

1. APHISは遺伝子組換え(GE)小麦の検出について更新情報を提供
2. 加工肉や家禽製品に、これらを頻繁に食べると結腸がんのリスクが上がるという警告を表示することを要求するCSPIからの請願へのFSISの最終対応
3. フードデータセントラル

【FTC】

1. FTCはGerber Products社に対して規定命令和解を認める

【CFIA】

1. CFIAクロニクル-2019年夏
2. カナダ政府は不純なハチミツ約12,800kgがカナダ市場に流入するのを防ぐ
3. 食品安全性検査報告
4. 食品リコール警告‐特定の太平洋カキは麻痺性貝毒の中毒を引き起こすマリンバイオトキシンのため安全でない可能性がある

【FSANZ】

1. カフェイン粉末とカフェイン含量の多い食品の安全性
2. 乳幼児用食品中オリゴ糖に意見募集

【APVMA】

1. スプレードリフト

【TGA】

1. 一般に広告する場合の「natural(天然)」表示
2. 州及び地域政府はオーストラリアでのフッ素添加飲料水を引き続き規制する
3. 成分ガイドライン:レスベラトロール
4. 殺菌剤,滅菌剤、衛生用製品

【香港政府ニュース】

1. メカジキのサシミに基準値超過の水銀を検出
2. 上海ヌードルに基準値超過の保存料を検出
3. 食品安全センターは淡水ハタにマラカイトグリーンを検出
4. 違反結果

【MFDS】

1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2.「食品の基準及び規格「一部改訂告示(案)行政予告
3. 偽のボスウェリア(Boswellia)その他加工品、固形茶製品の摘発
4. 消費者が好きな組み合わせで健康機能食品の小分け・包装を可能に
5. 食品医薬品安全処-韓国消費者院、危害情報活用のための業務協約を締結
6. 食品医薬品安全処、「脱毛」効能標榜製品広告の点検結果を発表
7. 夏の高温多湿の天候にカビ毒素注意して下さい
8.「健康機能食品の基準及び規格」の一部改訂告示(案)行政予告
9. 回収措置

【FSSAI】

1. メディアから:ジャンクフードには警告表示が必要

【その他】

・食品安全関係情報(食品安全委員会)から

・(ProMED-mail)硫化水素 フランス:(ブルターニュ)致死 アオサ

・(ProMED-mail)有毒藻類-カナダ:(ニューブランズウィック)犬

・(ProMED-mail)殺鼠剤中毒-ノルウェー:アカギツネ

・(EurekAlert)依存や痛みの治療に使われているハーブサプリメントは安全でないことが研究者によって発見された

・(EurekAlert)中国の塩摂取量は過去40年間世界で最も高い部類