国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.11(2019.05.29)を発表した。
注目記事
【EFSA】RASFF通知に関連する食品の化学汚染物質のリスク評価
EU規則No.16/2011に従い、基準超過など規制の枠組み(欧州/国)における違反のみでは“食品および飼料に関する緊急警告システム(RASFF)”通知のきっかけとはならない。通知を出すべきかどうかを決めるには、リスクの大きさについての評価が必要である。 欧州食品安全機関(EFSA)は、食品に含まれる汚染物質(食品接触物質からの移行物質、薬理活性成分、その他の食品汚染物質)について、リスクに基づきRASFF通知の要否を決定するための方法論とツールを考案した。リスクは毒性学的特性と食事暴露により評価し、「リスクなし」「有害健康影響の可能性が低い、あるいは公衆衛生の懸念が少ない」「リスクの可能性あり」「リスクあり」に分類できた。 ※ポイント:物質の種類に応じて分類のためのさまざまな決定木が紹介されています。決定木は、検出された汚染物質が規制対象であるか、基準値を超過したか、遺伝毒性や発がん性はあるか、急性参照用量(ARfD)や耐容摂取量(TDI等)といった健康影響に基づくガイダンス値(HBGV)はあるか、そして推定暴露量とHBGVのどちらが大きいか、といった質問にYes/Noで順番に回答していくとリスクの大きさに応じて分類される仕組みです。 他に毒性学的懸念の閾値(TTC)、無毒性量、ベンチマーク用量、パネルが導入している毒性学的スクリーニング値なども利用されていますが、重要なのはどの決定木でも必ず暴露量を考慮している点です。付属書にいくつかの物質の例が掲載されています。食品の検査や管理を担当する方には、ぜひ参考にしていただきたい資料です。
【FDA】FDAは製造品質基準の重大な違反で消費者にリスクを与えるホメオパシーと表示する製品の製造業者に警告する
米国食品医薬品局(FDA)は、医薬品適正製造基準(CGMP)規則の重大な違反をしている、ホメオパシーと表示する製品を製造する5企業に対し警告文書を掲載した。ホメオパシーと表示する製品はFDAによりいかなる使用にも承認されておらず、安全性、有効性および品質に対する現代の基準を満たさない可能性がある。 これらの未承認医薬品は、不適切に製造されていると、汚染を引き起こす原因になり、重大かつ回復できない被害さえ引き起こす可能性だけでなく、十分検査されていない、あるいは患者に開示されていない有効成分を含んでいる可能性がある。 ※ポイント:2017年末にFDAは、ホメオパシーと表示する医薬品に関するガイダンス案とともに、リスクに基づき製品にヒトへの健康に安全上の懸念がある場合には法的措置を行うつもりであるという消費者保護の強い意志を示す宣言を発表していました。
【DEFRA】政府はプラスチックのストロー、かき混ぜ棒、綿棒を禁止するための対応をする
Michael Gove環境大臣は、圧倒的な世論の支持を受けて、イングランドではプラスチックのストロー、飲料用かき混ぜ棒、プラスチック軸の綿棒を禁止すると確認した。例外措置として、医学的理由で必要な人には薬局で購入できるようにする。
(安全情報部第三室)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.11(2019.05.29)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2019/foodinfo201911c.pdf
今号の目次
【FAO】 1. 世界ミツバチデー 2. 食糧と農業のための世界の生物多様性の現状 【EC】 1. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF) 【EFSA】 1. 残留動物用医薬品:コンプライアンスは高いまま 2. フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)が行った食品添加物二酸化チタン(E 171)への暴露に関するリスクのレビューについてのEFSAの声明 3. EFSAは加盟候補国での初のフォーカルポイント会議を通して協力を推進する 4. RASFF通知に関連する食品の化学汚染物質のリスク評価 5. 食品と飼料中のキノリジジンアルカロイド―草案に意見募集 6. 食品酵素関連 7. 遺伝子組換え関連 8. 食品と接触する物質関連 9. 香料グループ評価 10. 飼料添加物関連 【DEFRA】 1.「食事を進化させる」ために主要プレイヤーが食品廃棄チャンピオンに結集 2. 政府はプラスチックのストロー、かき混ぜ棒、綿棒を禁止するための対応をする 【NHS】 1. Behind the Headlines 【ASA】 1. あなたの「アレルギー」広告を(春の)大掃除 【BfR】 1. 乾燥及び急速冷凍のスパイスとハーブのピロリジジンアルカロイド濃度は高過ぎる 【ANSES】 1. ネコにペルメトリンはダメ 【FSAI】 1. オクラトキシンAのため、Holland and Barrett Lucky liquorice rootsの回収措置 2. 輸出入 【FDA】 1. FDAは製造品質基準の重大な違反で消費者にリスクを与えるホメオパシーと表示する製品の製造業者に警告する 2. FDAの栄養革新戦略は初年度大きな進展をした 3. 抗菌石鹸?必要ない、普通の石鹸と水を使用しよう 4. FDAは食品表示上のPotassium Chloride(塩化カリウム)に代わる名称の使用に関するガイダンス案を発表する 5. FDAは消費者へのアウトリーチのためのメニュー表示ソーシャルメディアキットを利用可能にする 6. Voice:2019年春季統一計画にFDAの継続性及び一貫性を反映する 7. リコール情報 8. 警告文書 【NTP】 1. 2018年次報告 【USDA】 1. アメリカ人が食品に払ったお金はどこに行く? 2. USDAは動物ゲノミクスの新しい展望を発表 【NIH】 1. 医療関係者向けファクトシート更新:銅 【FSANZ】 1. 食品基準通知 【TGA】 1. 広告:苦情と結果 2. リコール:Hair Tonic and Hairpro capsules‐肝臓障害の恐れ 【香港政府ニュース】 1. 生の牛肉サンプルが二酸化硫黄を含むことを確認 2. マカオ民政総署大楼(IACM)の食品安全センター(CSA)及びカリフォルニア州公衆衛生局(CDPH)より‐米国のカリフォルニア産Purely Elizabethのグラノーラバーに異物混入汚染(プラスチック、石、ガラス)のため回収措置 3. 食品安全センターはソウギョのサンプルに微量のマラカイトグリーンを検出 4. 違反情報 【MFDS】 1.日本産輸入食品の放射能検査の結果 2. リサイクルPET食品容器の製造可否の実態調査 3.「共に食品安全、健康的な大韓民国」 4. 5月7〜21日、食品安全週間、様々な国民参加行事用意 5. 5月の家庭の月迎え食医薬安全情報の提供 6. 国民請願安全検査制「ノニ粉・丸製品」の調査結果 7. 天然香料レシピに発酵、酵素処理方法の追加 8. 健康機能食品の安全基準の強化及び合理的制度改善 9. 食品医薬品安全処、生活の中の有害物質の安全情報提供 10. 輸入ビールなどグリホサート(Glyphosate)の検査結果 11. WTO紛争解決機関、日本産輸入食品の紛争最終判定を採用(共同配布) 12. 重金属が基準を超過して検出された農産物「牛膝」製品の回収措置 【HSA】 1. HSAは他国で発見された不良健康製品に関する情報を更新(2019年1〜2月) 【FSSAI】 1. メディアコーナーから 【その他】 ・食品安全関係情報(食品安全委員会)から ・(ProMED-mail)イチジク中毒 インド(KARNATAKA)牛 ・(EurekAlert)社会経済的地位の高い家族は化学物質暴露リスクが高い ・(EurekAlert)グルコサミンサプリメントは心血管系疾患リスク低下と関連するかもしれない ・(EurekAlert)偏食の子どもが十代になると何がおこる?