国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.17(2018.08.15)を発表した。
注目記事
【EFSA】紅麹のモナコリンの安全性に関する科学的意見
欧州食品安全機関(EFSA)は、紅麹(RYR)に含まれるモナコリンの安全性に関する科学的意見を発表した。
ラクトン型のモナコリンKは、EUで高コレステロール血症の治療用として承認された複数の医薬品の有効成分であるロバスタチンと同じものと考えられる。入手可能な情報から、フードサプリメントからのRYR由来モナコリンKへの推定暴露量はロバスタチンの治療用量の範囲内となる可能性がある。
RYR由来モナコリンKへの暴露は横紋筋融解症を含む筋骨格系や肝臓に深刻な健康影響を及ぼす可能性がある。いくつかの不確実性により、健康への有害影響の懸念が生じないRYR由来モナコリンの食事摂取量は設定できなかった。
※ポイント:紅麹製品による健康リスクは何年も前から欧米で問題視されています。米国では、10年程前に米国食品医薬品局(FDA)が紅麹のダイエタリーサプリメントの販売業者に対して、製品から未承認医薬品(ロバスタチン)が検出されたという理由で宣伝・販売の中止を要請する警告文書を出しています。
一方EU域内では、紅麹製品に健康強調表示が認められていることもあり、現在もフードサプリメントとして販売されています。しかし、フランス食品・環境・労働衛生安全庁(ANSES)が20人以上の健康被害報告をまとめて発表するなど、加盟国から有害影響を懸念する声が上がっているため、欧州委員会が紅麹の食品への使用制限や禁止の検討を始めており、その根拠としてEFSAが評価を行ったという流れのようです。
【BfR】グリホサート:がんの症例とグリホサートを含有する農薬の使用との関連性がないことが新規の疫学調査から明らかになった
グリホサート含有植物保護製品の使用と農業従事者におけるがんの症例との間に関連性があるのかについて、11年間にわたる米国2州の農薬使用者を対象にした疫学調査結果がThe Journal of the National Cancer Instituteに報告された。この報告を受け、ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)が、その調査結果の概要を紹介し、改めてグリホサートの発がん作用を示す根拠はないことを強調した。
【FSSAI】ガイダンス:安全なスパイス粉末
スパイスにはしばしば異物が混入されている。インド食品安全基準局(FSSAI)は、消費者向けの啓発文書(信頼できるブランド品を買う、FSSAI登録番号を確認する、通常品よりも色が鮮やかな場合は買わない、等)を公表した。スパイスは高価で、しばしば粉末あるいは挽いたものが販売されているため経済的利益が目的の異物混入がおこりやすい。
※ポイント:最近、FSSAIが積極的に規制やガイダンスを発表している印象があります。お国柄もあり、ときどき思いも寄らない興味深い記事があります。
今回はスパイスの異物混入と卵にまつわる神話(例:プラスチック卵が存在する)でした。FSSAIは、スパイスは信頼できる製品を購入するよう呼びかけています。夏休み時期で旅行に出掛ける方もいらっしゃることでしょう。お土産を購入する際にはお気をつけくださいね。
(安全情報部第三室)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.17(2018.08.15)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2018/foodinfo201817c.pdf
今号の目次
【FAO】
1. 健康的な食事についてどのくらい知っている?
【EC】
1. 健康的で持続可能な食品システムの優良実施例募集
2. 食品偽装との闘い:違法な処理を施したマグロ45トンをスペインで押収
3. 査察報告書
4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. ヒマワリ粕に含まれるダイオキシン類およびPCB類のためのヘキサン抽出による無毒化処理を評価するための科学的支援
2. 食品摂取量調査(外部委託調査):ベルギー、キプロス
3. 第50回コーデックス残留農薬部会(CCPR)会合におけるEUポジションを準備するための科学的支援
4. 紅麹のモナコリンの安全性に関する科学的意見
5. 食品添加物としてのケイ酸カルシウム(E 552)、ケイ酸マグネシウム(E 553a(i))、三ケイ酸マグネシウム(E 553a(ii))、タルク(E 553b)の再評価
6. 食品添加物としての使用によるローズマリー抽出物(E 392)の詳細暴露評価
7. 植物油と牛乳、黄色脂肪及びクリームベースのスプレッドにおいて最大30%(w/w)とする使用拡大に関するアランブラキア種子油の安全性
8. 乳児のビタミンD耐容上限量の改訂
9. 2016年に実施された残留農薬分析に関する国家概要報告書
10. 農薬リスク評価関連
11. 国家データ提供機関とEFSAとの間の試験的な包括連携協定への助成合意
12. 食品接触材料関連
13. 食事による糖の耐容上限量に関する科学的意見を導出するための手順書
【FSA】
1. 消費者意識追跡調査結果発表
【FSS】
1. FSSはDNPの危険性の警告を発表する
【DEFRA】
1.「7大」スーパーマーケットでのプラスチックバッグの販売は5pの課金以降86%低下
2. 例外的な天候の中で農業汚染を予防するためのガイダンス
【HSE】
1. 食品中残留農薬:2017年四半期報告
2. PRiF年次報告書
【NHS】
1. Behind the Headlines
【ASA】
1. ASA裁定
【BfR】
1. グリホサート:がんの症例とグリホサートを含有する農薬の使用との関連性がないことが新規の疫学調査から明らかになった
2. アルミニウム合金でできたコートされていない食品接触物質からの食品及び食品模倣品へのアルミニウムとタリウムイオンの放出
3. 科学的視点から見たドイツにおける母乳哺育
【RIVM】
1. 国際プロジェクト
【ANSES】
1. 海藻摂取:ヨウ素過剰摂取リスクに注意
2. アプリコットカーネルはシアン化物中毒のリスクがある
【FDA】
1. 警告文書
【USDA】
1. 消費者がコンビニ食品を買う理由は?
2. ARS:交配の革新的アプローチは収量が多くより良い作物を意味するかもしれない
【FSANZ】
1. 食物アレルゲン情報ポータル更新-食物アレルギーを持ちながら生活する人々にとっての前進
【TGA】
1. 安全性助言
【MPI】
1. 貝のバイオトキシン警告(延長)-Taranaki及びWaikato地方
2. Little Angels ブランドのピュアベビーフード
【香港政府ニュース】
1. 違反情報
2. マカオ政府より‐ マカオの基準値を超える二酸化硫黄がfa. e. fa® SonghengブランドのSour Pickled Green Mustardから検出された
【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射線検査の結果
2.「食品等の表示基準」の一部改訂告示
3. 食品医薬品案全処、輸入食品の検査結果の情報公開拡大
4. リュヨウンジン食品医薬品安全処長、健康機能食品メーカーの現場訪問
5. お年寄りがかみ砕いて飲み込みやすい高齢者向け食品の新設
6. 回収措置
【FSSAI】
1. ガイダンス:安全なスパイス粉末
2. 卵の品質と安全性 プラスチック卵という神話を否定する
【その他】
・(ProMED-mail)食中毒 ペルー:(AYACUCHO)致死、通夜、情報求む
・(ProMED-mail)赤潮-米国(第二報):(フロリダ)
・(ProMED-mail)乳児ボツリヌス症 米国:(テキサス)
・(EurekAlert)塩をとって:研究は平均的摂取が心臓の健康に安全であることを発見
・(EurekAlert)The Lancet:減塩計画はナトリウムの摂取量が非常に多い地域にのみ適切であるかもしれない
・(EurekAlert)OTC医薬品、ダイエタリーサプリメント、その検査結果への影響