国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.16(2018.08.01)を発表した。
注目記事
【EFSA】食品中の農薬:最新の数値も従来と変わりなく
欧州食品安全機関(EFSA)は、EUに流通する食品中の残留農薬のモニタリング結果に関する2016年次報告書を発表した。残留結果に基づく短期・長期暴露のリスク評価では、消費者への健康リスクはありそうにないと結論した。さらにEFSAは、報告書の内容について国ごとおよび食品の品目ごとに主な要点をわかりやすく説明したグラフィックツールと、詳細データをまとめた「ダッシュボード」を新たに公表した。
※ポイント:報告書の発表は例年通りですが、今回は詳細データの公開とグラフィックツールを用いた国毎・品目毎の要点の視覚化が新しい取り組みとして発表されました。視覚化されたものは、単純、カラフル、綺麗で、しかもデータに合わせて動くので面白く、こんな見せ方もあるのかと学ぶことが多かったです。ぜひアクセスしてみてください。
- ダッシュボード
- http://www.efsa.europa.eu/en/microstrategy/pesticides-dc-2016
- データ視覚化
- http://www.efsa.europa.eu/en/interactive_pages/Pesticides_report_2016
【FDA】乳製品の同定に関するFDAの基準をレビューし近代化するためにFDAがたどっているプロセスについて
米国では、コメや大豆などの植物性食品を主原料とした食品が「ミルク」「ヨーグルト」「チーズ」といった用語が付けられて乳製品の代わりに市場に出まわっている。これらの代替品は、「ミルク」の規格基準に沿ったものではないが、連邦食品医薬品化粧品法(FD&CAct)の制定よりずいぶん前から国民に「ミルク」として知られているものである。
米国食品医薬品局(FDA)は、ミルク等の用語を植物由来代替品に使用することについての消費者の意識や理解について意見を募集し、来年にはその改善に向けて新たな規制方針の公表や業界向けガイダンスの作成を予定している。
※ポイント:FDAが食品を管理する上で、食品が安全で食すのに適しているかどうかに加えて、「消費者を誤解させない」ということをとても重視しています。今回の場合は、植物由来の食品について、呼び名に「ミルク」が付いているために動物由来の乳と同等のものであるかのような誤解させ、場合によっては栄養上の健康リスクをもたらすと判断したことによる取り組みです。
【BfR】消費者がテイクアウト用コーヒーのために自分専用のリフィルできるカップを使用することに関するよくある質問
「テイクアウト用コーヒー」のために自分専用のリフィル(再補充)できるカップを使用する消費者の行為は、かなり広くいきわたったものとなった。ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、その利用について、健康上のリスクが生じるのを避けるために利用者が留意すべきことをFAQs形式でまとめた。
※ポイント:日本でも利用している方をときどき見かけます。FAQsの要点は、①清潔にしておくこと、②カップの素材や特性を知りそれに合った使い方をする、ということです。
当たり前のことですが、FAQsではそのことを具体的に優しく丁寧に説明しています。
(安全情報部第三室)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.16(2018.08.01)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2018/foodinfo201816c.pdf
今号の目次
【WHO】
1. 各国が抗菌剤耐性対策に前進
【FAO】
1. コーデックス
【EC】
1. 査察報告書
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. 汚染化学物質への食事暴露量の推定に用いるデータセットで報告された定量下限値へのカットオフ値の利用について
2. EFSAに通知され、意図的に食品や飼料に添加される生物(biological agents)で、QPSを適用して評価することが推奨される生物のリストの更新第8回: 2018年3月までにEFSAに通知された分類単位の適切性
3. Openfoodtox: EFSAの化学物質ハザードデータベースに300以上の化合物を追加
4. 食品中の農薬:最新の数値も従来と変わりなく
5. 食品添加物関連
6. 内分泌かく乱物質同定のガイダンスについて様々に実施された意見募集の結果
7. 更新: 動物由来食品中に未承認の薬理活性成分を検出した際の規制のための参照基準を設定する場合に考慮すべき方法論的原則および科学的方法
8. 食品および飼料における新興リスク同定–EFSAの手順の検証
9. 農薬関連
10. 新規食品関連
11. 食品接触材料関連
12. 香料グループ評価
13. 健康強調表示
14. 遺伝子組換え関連
15. 飼料添加物関連
【FSA】
1. Health Leads UK Ltd は高濃度のシアン化水素酸(シアン化物)を含むとしてビターアプリコットカーネルを回収措置
2. Bradbury & Son(Buxton)は乳が表示で強調されていないためLo-Colを回収措置
【ASA】
1. 誤解を招く宣伝を避けるための6つの重要なコツ
【BfR】
1. 食品中のミネラルオイル成分についてのQ&A
2. 消費者がテイクアウト用コーヒーのために自分専用のリフィルできるカップを使用することに関するよくある質問
【FSAI】
1. 2017年の残留検査の結果から基準の遵守が依然として高い水準であることが示された
【FDA】
1. 乳製品の同定に関するFDAの基準をレビューし近代化するためにFDAがたどっているプロセスについて
2. リコール情報
3. 警告文書
【FSANZ】
1. 食品添加物としてのラカンカ抽出物:パブリックコメント募集
【NSW】
1. リコール:Loving Earth のココナッツチョコレートバター
【MPI】
1. 貝のバイオトキシン警告-Taranaki及びWaikato地方
2. 消費者の食品安全‐貝類及びサバ科類似魚類
【香港政府ニュース】
1. 違反情報
2. マカオ政府より‐ GB基準値を超える鉛が検出された中国本土からのJiabao Preserved Mandarin Peel(佳寶九制陳皮)に対して警告
3. 生の豚肉に二酸化硫黄が検出された
4. 生の牛肉に二酸化硫黄が検出された
【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 農薬ポジティブリスト制度施行の時前点検と円滑な施行のための方策論議
3. レッドドラムをニベと偽って売ることはできない
4. 海外製造事業者の登録、更新期間の到来
5. 食品衛生規定を繰り返し違反した業者の点検結果-23ヶ所摘発
6. カドミウムが基準を超過して検出された輸入「ホタテ」の回収措置
7. 貝毒発生および検査現況
【AVA】
1.日本からの食料品輸入の要件変更
【HSA】
1. HSAは他国で発見された不正な健康製品に関する情報を更新(2018年3月-4月)
2. 警告:オンラインで販売されている「Li Da」と「Chapter Plus」は禁止物質シブトラミンを含むことが分かった
【FSSAI】
1. 魚のホルマリンについてのガイダンスノート
【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(EurekAlert)オメガ3サプリメントの心臓や血管の健康への利点はほとんどあるいは全くない
・(EurekAlert)アマチュアウエイトリフターが強力な組み合わせステロイド使用後心疾患を発症