国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.06(2018.03.14)を発表した。
注目記事
【FDA】消費者向けの新しい食品栄養成分表示の速やかな実施に向けてのFDAの新たな取り組みに関するFDA長官Scott Gottlieb医師の声明
食品の新しい栄養成分表示(Nutrition Facts Label)の導入に向けて、FDAは事業者向けの実践的なガイダンス文書をいくつか公表した。公表したのは、食物繊維、添加糖類、1食分の表示に関連するもの。新しい表示の遵守期限は年間1千万ドル以上の売り上げがある食品製造業者に対しては2020年の1月1日に、それより小規模の製造業者に対しては2021年1月1日に延長されている。
※ポイント:消費者が情報を与えられた上で自ら健康的な食事や食品を選択できるようにするためにFDAは栄養表示の規制を大幅に見直しました。しかしその移行は容易でないため、FDAは事業者が適切に移行できるように表示の項目毎にガイダンスを作成しています。
その中でも興味深いのが、「食物繊維」の定義に見合うために示す必要がある有益な生理学的影響の科学的根拠に関するガイダンスで、ヒト介入試験や観察試験を行う際の原則や評価の基準が書かれています。
【FDA】FDA、EUの貝類の安全性計画が米国のシステムと同等であると認定する案を公表
生の二枚貝の輸出入について、EUは米国からの輸入を2010年に禁止し、米国は1980年代からEU諸国からの生の貝類の輸入を中止している。双務貿易を再開するため、FDAとECは2010年に同等性評価を合意(Veterinary Equivalency Agreement:VEA)のもとで開始した。FDAはEUからの二枚貝の輸入に向けて、EUにおける安全管理システムがFDAのものと同等であると認定する案を公表し、パブリックコメントを募集する。
※ポイント:水産物の安全性管理の水準はEUや米国の方がずっと厳しいです。日本では食品輸出が推進されていますが、水産食品業者の方々には、EUや米国の規制に合わせるのは非常にハードルが高いことを理解して、念入りに準備することをオススメします。
【EFSA】農薬関連:ネオニコチノイド:ミツバチへのリスクを確認
欧州食品安全機関(EFSA)は、ネオニコチノイド類(クロチアニジン、イミダクロプリドおよびチアメトキサム)を農薬として使用した場合のミツバチへのリスクの評価結果を公表した。これは2013年の評価結果を更新するもので、野生ミツバチと養蜂ミツバチの両方への影響について、3つの暴露経路について評価した。
※ポイント:暴露経路によってリスクの大きさは変わるようですが、Q&Aでも指摘しているように「全体的」にはネオニコチノイド類がミツバチにリスクがあるという結論になっています。この評価結果を受けて、次はECではリスク管理(規制等)の見直しが開始します。
- 【参考】ミツバチコロニー消失の関連記事
- http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/chemical/bee-pest/bee-pest.pdf
(食品安全情報で過去に紹介した関連記事をまとめて紹介しています)
(安全情報部第三室)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.06(2018.03.14)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2018/foodinfo201806c.pdf
今号の目次
【WHO】
1. WHO紀要
【EC】
1. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. 科学的評価における不確実性分析に関するガイダンス
2. 直接消費用又は食品原料として使用するピーナッツおよびその加工品における「総アフラトキシン」の最大基準値を4μg/kgから10μg/kgに引き上げることによる一般市民の健康への影響
3. トロパンアルカロイドへのヒトの急性暴露評価
4. ヘキサン抽出と魚油の置換による魚肉からのダイオキシン及びPCBsの汚染除去工程の評価
5. 魚油の置換による魚肉からのダイオキシン及びPCBsの汚染除去工程の評価
6. 食品と接触する材料関連
7. 遺伝子組換え関連
8. ECDC とEFSA、人畜共通細菌の抗菌剤耐性はヒト、動物、食品で依然として高水準であることを指摘
9. 遺伝毒性の評価に関するいくつかの側面を明確化する意見案についてのパブリックコメント募集結果
10. 農薬関連
11. 様々な種類の食品におけるグルコシル化ステビオール配糖体類の食品添加物としての使用の安全性
12. フモニシン及びモディファイドフモニシンについて健康影響に基づくガイダンス値を設定することの妥当性
13. 香料グループ評価
【FSA】
1. AKM Foods 社はローダミンBを含むためZaiqa GoGoパンマサラマウスフレッシュナーをリコール
2. 北アイルランドでは推奨一日カロリー摂取量を知っている男性は女性より少ない
【NHS】
1. Behind the Headlines
【RIVM】
1. 食品中有害物質の規制対策の社会経済的帰結の推定
2. オランダの家庭排水由来スツルバイトに関連する残留医薬品、病原体、抗菌剤耐性
3. 地表水中の植物保護製品品質基準指標:フロラスラムとインドキサカルブのリスク限度案
【FDA】
1. 消費者向けの新しい食品栄養成分表示の速やかな実施に向けてのFDAの新たな取り組みに関するFDA長官Scott Gottlieb医師の声明
2. 食品・栄養計画の近代化に尽力するとのFDA長官の声明
3. FDA、EUの貝類の安全性計画が米国のシステムと同等であると認定する案を公表
4. 警告文書
【FTC】
1. FTCは消費者から報告された苦情の年次まとめを発表
【US GAO】
1. 食品の安全性と栄養:FDAは既存の取り組みに基づいて進捗状況の評価と重要な活動が実施できる
【FSANZ】
1. 新しい育種技術に関する意見募集書を発布
2. 食品事業者や消費者にアレルゲン表示がより明確になるようにするための提案
【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 説明資料(ニュース1「韓国、福島県産水産物禁輸紛争に敗訴、日本側歓迎」記事関連)
3. 卵の殻を見ると卵の情報が得られる!!
4. リスク評価検証システムの強化
5. 農産物の残留農薬管理を厳正化
6. 残留農薬が基準を超過して検出された輸入「にんにくの芽」の回収措置
7. 委託販売所・共同販売場の競売において流通水産物の有害物質検査を強化
8. 食品医薬品安全庁、旧正月の食品・医薬品安全情報を提供
【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(EurekAlert)何故一部のキノコは「マジック」なのか?
・(EurekAlert)研究者らが淡水有毒藻類の大発生のより完全な図を描く
・(EurekAlert)カルシウムサプリメントは異常な腸の増殖(ポリープ)リスクを増やすかもしれない