国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.17(2017.08.16)を発表した。
注目記事
【EU/EU諸国】フィプロニル
欧州委員会は2017年7月20日にRASFF通知から、主に産卵鶏家禽農場でのワクモ(Dermanyssus gallinae)対策としてフィプロニルが違法に使用されたことを知り、直ちに事態のコントロールのための対応をとっている。フィプロニルは食料生産動物への使用が禁止されている。
関連農場は主にオランダとベルギーにあるが、ドイツの4農場とフランスの1農場も関係する。2017年1月以降に問題の処理会社が処置を行った全ての農場は直ちに当局によりブロックされ、これらの農場由来の卵や鶏肉は最早EU市場にはなく、EU以外の国に輸出されてもいない。
司法調査が行われている。既に販売されていた卵や鶏肉はリコールされている。問題の農場はこれらの農場由来の卵や鶏肉がEUの規制に完全に従うことが確認された場合にのみブロックが解除されるだろう。
※ポイント:回収は食品安全上の懸念ではなく、食料生産動物に使用することが認められていないことによるとしていますが、卵の輸出量の多いオランダで確認されたためEU諸国での大規模回収が行われています。EU諸国からは関連記事が連日公表されており、とくにBfRがQ&Aや健康評価など最も詳しい情報を発表しているので参考にしてください。
【EU】グリホサート
EUは、グリホサートの現状をまとめたウェブサイトを公開した。欧州化学品庁(ECHA)がグリホサートのハザード評価の結果を2017年6月15日にECへ提出したため、グリホサートの現行の認可は2017年12月15日までが期限となる。2017年7月20日、ECと加盟国との議論が再開した。
※ポイント:EUでのグリホサート認可の更新については結論が出ず延長されていましたが、公式に現行の認可期限が示されたので本年12月には決定されるようです。専用ウェブサイトが開設されたので、今後の議論の状況はここでフォローできます。
【FDA】Balguti Kesariaアーユルベーダ医薬品:FDA警告――高濃度鉛
FDAは両親や保護者に対し、鉛中毒のリスクがあるため「Balguti Kesaria(あるいはKesaria Balguti)アーユルベーダ医薬品」を使用しないよう警告している。この製品はインドのKesari Ayurvedic Pharmacyを含む複数企業が製造し、乳幼児向けとして販売された。ミシガン保健福祉省はこの製品により子供二人の鉛濃度が高いことを通知している。
※ポイント:アーユルベーダ製品による鉛中毒の報告は珍しくなく、以前から度々報告されています。子供だけでなく若者、高齢者、妊婦の症例もあるので注意しましょう。
【FDA】FDAのガイダンスはある種のFSMA例外について説明する
FDAの低酸性缶詰食品規制、ジュースHACCP及びシーフードHACCPはFDA食品安全近代化法(FSMA)が最終化されるよりはるか以前に実施されている。これを踏まえ、FDAはFSMAにおいて当該製品についてはいくつかの例外を設けており、その内容を理解できるようにするための事業者向けガイダンスを発表した。
(安全情報部第三室)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.17(2017.08.16)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2017/foodinfo201717c.pdf
今号の目次
【EC】
1. グリホサート
2. 会議:農業における現代バイオテクノロジー-責任ある革新のための道をつくる
3. 一部の家禽農場でのフィプロニルの違法使用へのEU対策に関する情報通知
4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. 水産養殖に使用される色素
2. ペット、他の食品を生産しない動物と魚用のアルギン酸ナトリウム及びカリウムの安全性と有効性
3. 第49回コーデックス残留農薬部会(CCPR)に向けたEUの見解の準備のための科学的支援
4. 新規食品としての合成N-アセチル-d-ノイラミン酸の安全性
5. 農薬の最大残留基準改訂についてのEFSAの理由付き意見の不確実性解析に関するパイロットスタディ
6. 遺伝子組換え植物リスク評価を支えるデータをつくるための信頼できるサンプリングアプローチの開発と統一
7. 透明性とデータの質:一言でいえば新しい分野横断EFSAガイダンス
8. 活性炭での物理的ろ過による魚油のダイオキシン及びダイオキシン様PCBsの除染工程の評価
9. 全綿実の遊離ゴシポールの存在
10. 食品添加物:11月にEFSAのワークショップと公開本会議
11. 飼料添加物関連
12. 健康強調表示関連
【FSA】
1. 卵のフィプロニルについて更新
2. FSAは2017年4~7月のインシデントリストを発表
【NHS】
1. Behind the headlines
【ASA】
1. ASA裁定
【BfR】
1. ベルギーの動物由来食品に検出された個々のフィプロニルの健康評価
【AFSCA】
1. フィプロニル
【RIVM】
1. 卵のフィプロニル
【ANSES】
1. ANSESは職業暴露限界の新しい助言を発表
2. 医薬品Lytos(クロドロン酸ナトリウム四水和物)と食品サプリメントLithos(クエン酸カリウムマグネシウム)の混同に注意
【FSAI】
1. リコール情報
【FDA】
1. Balguti Kesariaアーユルベーダ医薬品:FDA警告-高濃度鉛
2. FDAはマカダミアナッツと冠動脈性心疾患のリスクに対する限定的健康強調表示申請のレビューを完了
3. FDAのガイダンスはある種のFSMA例外について説明する
4. ある種のチーズの限外濾過牛乳の使用と表示について執行の自由裁量を行使する
5. FDAは2017 Burkholderia cepacia汚染について更新
6. リコール情報
7. 警告文書
8. 公示
9. ダイエタリーサプリメントが心配?FTCとFDAに報告を
【FTC】
1. FTCは購入者を欺くオンラインマーケティング手法を告訴
【FSANZ】
1. 食品基準通知
2. 食品アレルゲンポータル(リソース)
【APVMA】
1. ナチュラルウマ用製品-あなたの責任を知る
2. 農業用化学物質製造業者は汚染除草剤の代価を払う
3. オーストラリアにおけるグリホサートの規制
4. オーストラリアの動物の抗菌剤耐性に取り組む新しい報告書
【TGA】
1. 安全性警告
2. 2017年5月23日の補完医薬品助言委員会ACCMの会議の結果
【NSW】
1. 食品表示について
【香港政府ニュース】
1. メカジキ商品が安全確認で不合格
【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 食品医薬品安全庁、食品に使用された液体窒素の安全管理対策報告
3. リュヨウンジン食品医薬品安全処、食品添加物の使用管理強化!
4. 輸入食品の賞味期限・重量偽造・変造行為ワンストライクアウト制度導入
5. 2017年上半期の輸入食品の動向を発表
6. 回収措置
【その他】
・(アイオワ州アルコール飲料部)アルコール飲料を提供するのに銅のマグを使うことについて
・(ProMED-mail)フィプロニル汚染-テーブルエッグ:オランダ、ベルギー、ドイツ、リコール
・(ProMED-mail)フィプロニル汚染 卓上卵(第2報)フランス、オランダ、ベルギードイツ、リコール
・(ProMED-mail)フィプロニル汚染 卓上卵(第3報):ヨーロッパ、アジア(香港)
・(ProMED-mail)鉛汚染-米国(ミシガン):アーユルベーダレメディ
・(EurekAlert)The Lancet:毒性の高い農薬:安全な貯蔵ではなく禁止
・(NASEM)新しい報告書は慢性疾患に基づく食事摂取基準を導出するための基本原則の方法とガイドを助言する
・(Natureニュース)最初の遺伝子組換えサケがカナダで販売される
・(Scienceニュース)ビタミンB3が先天性欠損症を予防するのに役立つかも
・(SMC UK)ヨーロッパのフィプロニル汚染卵スキャンダルへの専門家の反応
・(SMC UK)ビタミンB3サプリメントとマウスの出生時欠損への専門家の反応
・(SMC UK)チアメトキサムの使用とマルハナバチ集団への影響を調べた研究への専門家の反応
・(Berkeleywellness)アルコールとエナジードリンク:悪い組み合わせ
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