アプリコットの生の仁にシアン化物中毒の危険

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.25(2013.12.11)を発表した。

注目記事

【BfR】欧州における食の安全性――誰が何をするのか?

 ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)が、EU食品安全年鑑の第3版を発表した。これは、BfRが、フードチェーン全体にわたる安全性という概念のもと、消費者保護を保証するための全欧州規模の食品安全担当機関ネットワークを必要としていることを受けて発行したものであり、欧州35カ国における食品安全関連組織の体制およびその役割について概要がまとめられている。

※ポイント:各国政府機関のどの組織がどのような役割を担っているかは、なかなかわかりにくいものです。BfRが発表した本報告には、35カ国のみではありますが、国別に各々の食品安全担当機関の役割が組織図とともに紹介されているのでとても参考になります。

【FSANZ】消費者向け情報更新 アプリコットカーネル(生)

 アプリコットカーネルは生鮮アプリコットの種子の中にあるナッツ様のものであり、シアン化物が含まれるため、喫食すると体内で青酸が生成する可能性がある。オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、英国、欧州において、生のアプリコットカーネルを喫食して中毒になったという報告がある。

 オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)は、成人については1日に3個以上のアプリコットカーネル(生)の喫食は安全でなく、子どもについては1つも喫食すべきではないと改めて助言した。ただし、アプリコットカーネル由来の加工食品(アマレッティビスケット、アーモンドフィンガービスケット、アプリコットジャム、アプリコットネクター等)は、加工や調理によりシアン化物が安全なレベルまで減少するため、リスクとはならないとしている。

※ポイント:バラ科植物のウメ、アンズ(アプリコット)、ビワ、モモおよびサクランボ等の種子の中にある仁には、「アミグダリン(別名:ビタミンB17、レトリル)」というシアン配糖体が含まれているため、摂取するとシアン化物中毒と同様の症状を生じる可能性があります。過去にアミグダリンに抗がん作用があるかもしれないと言われたことがあったことから、その後の研究で効果が否定されたにもかかわらず、現在も抗がん作用と関連があるかのような宣伝のもとアプリコットカーネルやビワ種子等の製品が販売されています。

 アプリコットカーネルの摂取量については、英国毒性委員会(COT)もシアン化物中毒になることを懸念し、安全なのは1日に1~2個であると述べています。我が国でもインターネットなどで関連商品を購入できるようですので、ご注意ください。

※参考:独立行政法人国立健康・栄養研究所
「アミグダリンについて」
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail678.html

※参考:食品安全情報No.8/2006(2006.04.12)
FSAはビターアプリコットカーネルを食べることのリスクについて警告
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2006/foodinfo200608.pdf

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.25(2013.12.11)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2013/foodinfo201325c.pdf

今号の目次

【EC】
1. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 食品に使用されるエフェドラ種の安全性評価に関する科学的意見
2. EFSAは累積リスク評価についての業務を拡大
3. ハチの多様なストレス要因のリスク評価の総合的アプローチに関するEFSA第18回科学会議
4. 申請者向けインフォセッション―健康強調表示―健康強調表示の科学的立証のためのヒト試験の報告に関する技術的会合
5. EFSAの第三者に開かれた科学会議:ガイドライン&登録
6. FEEDAP パネルは第100回本会議を記念する
7. β-アミロイド誘発性神経毒性の増強とジアセチルに関する科学論文の評価
8. EFSA第19回科学討論会:EU農業生態系のための環境リスク評価保護目的としての生物多様性
9. 規制(EC)No 1829/2003に基づく遺伝子組換え植物の認可申請提出についてのガイダンス
10. 助言フォーラムは第50回記念会合を迎える

【FSA】
1. アスパルテームについてのCOTのポジションペーパー発表
2. 新規食品成分申請
3. 多動と関連する色素を含まない製品更新
4. 警告:未承認施設で加工された燻製魚製品
5. Marks & Spencerは摂取と関連する病気の可能性があるため3種のイガイ製品をリコール

【BfR】
1. BfR長官はホルモン活性物質についての消費者からの質問に答える
2. 欧州における食の安全性 ― 誰が何をするのか?

【ANSES】
1. 意見:2013年食品中残留農薬サーベイランス計画について
2. 化学物質混合物暴露:研究とリスク評価の課題
3. 新規食品成分認可申請についてのANSESの意見:微少藻類Schizochytrium sp.由来DHA-EPAの多い油

【FDA】
1. 回収情報
2. 警告文書(2013年11月25日、12月3日公表分)

【CDC】
1. 成人の極めて高い血中鉛濃度-米国2002~2011年

【CFIA】
1. モンサントカナダ社からの昆虫耐性遺伝子組換え植物の新規食品・家畜飼料としての認可と商用栽培の環境安全認可の申請通知

【FSANZ】
1. 消費者向け情報更新 アプリコットカーネル(生)
2. 翻訳版ファクトシート
3. 食品基準改定通知

【TGA】
1. 警告

【MPI】
1. マヌカハニーについてのQ & A

【香港政府ニュース】
1. 肉、チーズ検体は食品検査に合格

【MFDS】
1. 説明資料(京郷新聞「日本産食品の放射能基準を緩和しようとする食品医薬品安全処」報道関連)
2. エネルギードリンクの過剰摂取に注意!
3. 「2013年加工食品のナトリウム低減化ガイドライン報告会」開催

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(EurekAlert)エネルギードリンクとアルコールとの混合飲用は公衆衛生の脅威