国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.11(2013.05.29)を発表した。
注目記事
【EC】ミツバチの健康:EU全域での農薬の使用制限は12月1日に発効
ネオニコチノイド類の3種の農薬(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)の使用制限が欧州委員会で採択された。使用制限は2013年12月1日から発効し、新しい情報を得られた場合には直ちに、また少なくとも2年以内には、見直しを行う予定である。
※ポイント:ミツバチのコロニー減少は、数年前から世界中で問題になっています。原因は、ネオニコチノイド類などの農薬、寄生虫、ウイルスといったさまざまな要因が単独または複合的に作用するためではないかと疑われていますが、現時点では確実な原因はわかっていません。よって、今回の使用制限は1つの可能性として行われる措置です。使用制限は、ミツバチが受粉媒介者となる植物および作物にほぼ限られているため、3種のネオニコチノイド類を全く使用しなくなるというわけではない点に注意が必要です。
本号では、フィプロニルをトウモロコシの種子処理に使用した場合にミツバチに急性リスクになる可能性を指摘したEFSAの科学的意見も紹介しています。今後、EUで何らかの対応がとられることもあるかもしれません。
【EFSA】香料物質に安全上の懸念:3-アセチル-2,5-ジメチルチオフェンについて
欧州食品安全機関(EFSA)は、香料物質3-アセチル-2,5-ジメチルチオフェンについて評価を実施した。当該物質は、食品に焼けたナッツのような風味を付けるために使用され、天然にもゆでたり調理した肉に含まれている。EFSAの評価では、遺伝毒性が確認されたためにヒトの健康への安全上の懸念が指摘され、フードチェーンに意図的に加えられるべきではないとの結論が出された。ただし、当該物質の製造量および使用量は限られており、使用された食品を摂取した可能性がある消費者のリスクは極めて小さいとしている。
※ポイント:この評価結果を受けて、EUでは認可香料リストから削除される予定です。
【FDA】消費者向け情報:遺伝子組換え食品の安全性規制におけるFDAの役割
米国で栽培されている遺伝子組換え食品の概要、規制、米国食品医薬品局(FDA)の立場、表示などについて、消費者向けに紹介している。FDAは、遺伝子組換え(GE/Genetically engineered)植物について賛成と反対のいずれの立場でもない。FDAの最優先課題は、GE植物由来の食品も含めてすべての食品の安全性と法の遵守を確保することである。
※ポイント:米国の遺伝子組換え植物の規制は、FDA、農務省(USDA)、環境保護庁(EPA)と複数の機関が担当しているため複雑でわかりにくいのですが、FDAでは食品(添加物含む)および飼料に関連する遺伝子組換え植物の規制を行っています。最近はTPPとの関連もあって、米国での遺伝子組換え食品の安全性について心配する国内メディア記事もたびたび目にしますが、科学的に安全性が確認できない場合には食品への使用は認められないというのが国際的な合意なので、消費者にとって安全でないと考えられた遺伝子組換え食品は米国でも日本でも使用は認められていません。
(安全情報部第三室)
食品安全情報へのリンク
食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.11(2013.05.29)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2013/foodinfo201311c.pdf
今号の目次
【WHO】
1. 国際がん研究機関(IARC):世界がん報告書等
【EC】
1. ミツバチの健康:EU全域での農薬の使用制限は12月1日に発効
2. 食品獣医局(FVO)査察報告書:デンマーク
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. 香料物質に安全上の懸念
2. ミツバチの多数のストレス因子の総合リスク評価のための第18回EFSA科学会議
3. EFSAはフィプロニルによるミツバチへのリスクを評価
4. EFSAガイダンスはGM動物の環境リスク評価について段階的アプローチの概要を示す
5. 飼料添加物関連
6. 香料グループ評価
【FSA】
1. EUが3-アセチル-2,5-ジメチルチオフェンの禁止を評決
2. 理事会は放射能報告書について議論する
【ANSES】
1. 水の残留医薬品:ANSESは健康リスクを評価する一般的方法を発表
【FSAI】
1. Green IsleはHarvest Stir Fryをチョウセンアサガオの種子が混入している可能性があるためリコール
【FDA】
1. 消費者向け情報:遺伝子組換え(GE)食品の安全性規制におけるFDAの役割
2. 警告文書(2013年5月14日、21日公表分)
【CFIA】
1. ビスフェノールAを検査した全ての乳児用ミルク及び食品はBPAを含まず、摂取しても安全
2. コメのカドミウム検査は健康リスクがないことを明らかにする
3. Harper政権はカナダ人のための安全な食品行動計画を発表
4. モンサントカナダ社と Forage Genetics International LLCによるリグニン含量を減らした遺伝子組換え植物の新規食品及び家畜飼料としての使用、並びに環境放出に関する認可申請提出の通知
【FSANZ】
1. Heinemannらによる遺伝子サイレンシングを用いて開発されたGM作物の規制に関する主張への対応
2. 食品基準改正
3. 通知
【MFDS】
1. 2012年健康機能食品の生産実績の分析結果を発表
2. 国内農産物25種、コーデックス国際食品分類に登録
3. 都心道路沿いの野生の山菜をむやみに摂取しないよう呼びかけ
4. 天然精力剤?実は医薬品成分入りの違法食品
5. 新規の勃起不全治療剤類似物質を入れた違法食品を摘発
【AVA】
1. 台湾が未承認食品添加物により食品をリコール
2. マレイン酸を原因とする台湾産澱粉ベース製品のリコール
【FSSAI】
3
1. 情報:カシア(桂皮)とシナモン
【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
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