突然始まる「現代素材探検隊」。ナゾの二人が気になる食品原料・添加物についてしゃべくります。
最初のお題は増粘多糖類
リョウ 「来たか。ごくろう」
タクヤ 「隊長、現代素材探検隊っていつ結成したんですか」
リョウ 「先週プリン買ったとき思い付いた」
タクヤ 「それと同時に私が隊員と」
リョウ 「左様」
タクヤ 「ではまず、読者のみなさまに自己紹介を……」
リョウ 「いいよそんなの。どうせ作者が思い付きでキャラ決めてんだから、紹介のしようもないよ」
タクヤ 「そんな。ミもフタもない……」
リョウ 「読者様に関係ないことなんだから、気にしなくてもよろしい」
タクヤ 「は。かしこまり」
リョウ 「で、調べてきたか? 今回のお題について」
タクヤ 「増粘多糖類、ですね。本読んで、専門家にも聞いてきました。でも何で増粘多糖類を探検することにしたんですか?」
糖だから甘いんじゃないのか
リョウ 「うむ。このプリンのラベルを見ろ。原材料名のところに『ゲル化剤(増粘多糖類)』と書いてある。デザートに買ったこっちのゼリーにも『増粘多糖類』とあるぞ。しかも、このゼリーはなんと『ゼラチン』が入っていない。たぶん、増粘多糖類というものが、このプリンとゼリーを固めているものだと思うんだが、プリンは卵で固めるもの、ゼリーはゼラチンで固めるものじゃなかったのか?」
タクヤ 「なるほど。プリンはデザートじゃないんですか?」
リョウ 「これは食い物なのか? 増粘多糖類っていうのは」
タクヤ 「表示から言えば食品添加物ですね。増粘多糖類にはいろんなものがあるんですが、だいたいは食べ物と言っていいでしょう」
リョウ 「多糖類って、糖類っていうぐらいだから甘いんだろう?」
タクヤ 「あー、そこ行きますか。最初から脱線っぽいな」
リョウ 「わからないことを聞いて悪いのか」
タクヤ 「ざっくり説明しましょ。甘い糖の代表は単糖と二糖というものです」
リョウ 「担当と二等か」
タクヤ 「字が違います。単糖はいちばん単純な糖で、ぶどう糖とか果糖とかがそうです」
リョウ 「スルーしやがった」
タクヤ 「二糖は単糖が2つくっついたもので、ショ糖に乳糖に」
リョウ 「初等。ケーキ入刀」
タクヤ 「聞いてます?」
リョウ 「ああ。聞いてる聞いてる。メーカーが『入ってるよ♪』と自慢するオリゴ糖ってあるけど、あれはどっちだ。一等か二等か」
タクヤ 「オリゴ糖は単糖でも二糖でもなくて、単糖が3~10個ぐらいつながったものです」
リョウ 「つまり、単糖は独身者、二糖はカップル、オリゴ糖はグループ交際みたいなもんだな」
タクヤ 「理科の人からツッコミが入りますから、テキトーなたとえはやめてください。グループ交際ってなんですか?」
単糖たくさんで激甘じゃないのか
リョウ 「ふ~ん。水あめはどれなのかな」
タクヤ 「スルーされた」
リョウ 「当ててやろう。あれはオリゴ糖だろう」
タクヤ 「ブブー違います。水あめは糖アルコールというものです」
リョウ 「うそつけ。水あめなめて酔っ払ったなんて話聞いたことないぞ」
タクヤ 「あ、隊長。アルコールの意味わかってないでしょ?」
リョウ 「アメリカのバイオ燃料作ってる工場のおっさんが『アルコールは酔っ払って頭が痛くなる物質だ。わかったか!』って言ってた。アルコールの意味っていうのはそういうことだ」
タクヤ 「ブブー。それはエチルアルコールのことです。アルコールというのは、エチルアルコールよりも範囲の広いある種の有機化合物の総称です」
リョウ 「メチルアルコールというのもあるな」
タクヤ 「酸素分子と水素分子が1個ずつくっついたOHを水酸基と言います」
リョウ 「おー!」
タクヤ 「その水酸基が入っている有機化合物をアルコールって言うんですよ」
リョウ 「あ! 台所洗剤で『高級アルコール系』って書いてあるのがあるな。どんな銘酒で作ってるんだと思ってたけど、あれってそういう意味のアルコールか」
タクヤ 「ピンポン♪ でぇ、糖の一部が水酸基になっているやつが、糖アルコールです」
リョウ 「ざっくり言ったけど、大丈夫か?」
タクヤ 「ははは(汗)。糖のカルボニル基を還元して水酸基になっているわけでして、カルボニル基というのは……」
リョウ 「あ、オレその先わかんないからいいや」
タクヤ 「まじか」
リョウ 「で、今日何の話だったっけ?」
タクヤ 「えー! 増粘多糖類の説明に来たんですけどぉ!」
リョウ 「あ、そうだった」
タクヤ 「糖についてちょっと説明しましたが、単糖がた~くさんつながったものが多糖というものです」
リョウ 「あ、それオレ知ってるゾ。オリゴ糖だろ」
タクヤ 「さっき説明したんだし。でも、オリゴ糖っていうのは、単糖が3~10個、って言いましたよね」
リョウ 「ああ」
タクヤ 「多糖というのは、それよりもっとたくさんつながったものです」
リョウ 「糖がたくさんだと、むちゃくちゃ甘そうだな」
タクヤ 「いえ、世の中そんな甘くないです」
リョウ 「『単糖連合・男威死苦!』と、書いてみた」
タクヤ 「うわ。うっとうしい」