国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.04(2013.02.20)を発表した。
注目記事
【PHAC】カナダの沿海州およびオンタリオ州のO157:H7
カナダ公衆衛生局(PHAC: Public Health Agency of Canada)によると、カナダの沿海州の一部(ニューブランズウィック州、ノバスコシア州)およびオンタリオ州で大腸菌O157:H7アウトブレイクが発生し、計30人の患者が報告された。直近の患者の発症日は2013年1月9日で、それ以降新たな患者の報告はなく、本アウトブレイクは終息したと考えられる。
調査により、FreshPoint社が主にKFCおよびKFC-Taco Bellの複数のレストランに納入した刻みレタスが感染源である可能性が最も高いことが示された。
【EFSA】胚移植に伴う古典的スクレイピー伝播のリスク
欧州食品安全機関(EFSA: European Food Safety Authority)の生物学的ハザード(BIOHAZ)パネルは、欧州委員会(EC)より、ヒツジでの生体由来受精胚移植に伴う古典的スクレイピー伝播のリスクに関して科学的意見を発表するよう要請された。
パネルは2010年に本リスクについて発表した意見以降の科学文献をレビューし、小型反芻動物で古典的スクレイピーの垂直伝播が起こり得るとの見解は、現在の関連知見によってさらに強化されると結論づけた。垂直伝播の可能性は前回の意見ですでに検討されていたため、胚移植に伴う古典的スクレイピー伝播のリスクに関する結論については見直す必要はない。
【BfR】ドイツにおけるBSE検査対象牛の最低月齢変更に関するQ&A
BSE検査の緩和につながるEU規則が施行され、2013年1月以降、加盟25カ国ではウシのBSE検査を無作為抽出した検体のみでよいとされた。ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、BSE検査に関するEU規則の変更を機会に新しいQ&Aを発表した。その一部は以下のような内容。
Q 他のEU加盟国で屠畜前のウシのBSE検査が無作為抽出検体のみで行われているのはなぜか
A 現在、EU域内ではBSE症例はほとんど見つかっておらず、新しいEU規則では、BSE検査の義務付けが緩和されている。2013年1月以降、加盟25カ国ではウシのBSE検査を無作為抽出検体のみで行ってもよいとされた。また、2013年3月以降、健康屠畜牛に関してはBSE検査義務を廃止することができる。
Q ドイツがBSE検査対象牛の最低月齢を72カ月齢から96カ月齢に引き上げながら検査の義務付けを継続するのはなぜか
A EU規則では、BSE検査の義務付けについて加盟国が各国独自の規則を施行するか、または2013年3月に健康屠畜牛のBSE検査義務を廃止することが認められている。ドイツ連邦政府はBSE検査の義務付けを継続することを決定した。
しかし、BfRおよびFriedrich-Loeffler研究所(FLI)の合同意見にもとづき、検査対象牛の最低月齢は72カ月齢から96カ月齢へと引き上げられる予定である。BfRおよびFLIは、非定型BSE症例を検出するために8歳(96カ月齢)を超えるすべての健康屠畜牛に体系的なBSE検査を行うべきであると考えている。
これら2機関の意見では、8歳を超えるウシのBSE検査の義務付けを継続することは、新しい(非定型)BSEの流行発生の回避に効果的である。BSEが検出されるウシは年々高齢になってきたため、検査対象牛の最低月齢の引き上げによって消費者へのリスクが高まることはない。BSE感染が確認されるウシはすべて、上述のBSE対策が施行される前に生まれたウシであると考えられる。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
食品安全情報へのリンク
食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.04(2013.02.20)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2013/foodinfo201304m.pdf
今号の目次
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 鶏肉の喫食に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Heidelberg)感染アウトブレイク
2. 牛ひき肉に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Typhimurium)感染アウトブレイク(2013年2月13日付更新情報)
3. 食品由来疾患アウトブレイクのサーベイランス(米国、2009~2010年)
4. 1998~2008年に米国で発生したリステリア症アウトブレイクとその原因食品
5. 食用鶏加工施設の従業員に発生したカンピロバクター感染症(米国バージニア州、2008~2011年)
【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:カナダの沿海州およびオンタリオ州で発生している大腸菌O157:H7アウトブレイク(2013年2月7日付更新情報)
【欧州委員会健康・消費者保護総局(EC DG-SANCO)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)
【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. ヒツジでの生体由来受精胚移植に伴う古典的スクレイピー伝播のリスクに関する科学的意見
【Eurosurveillance】
1. ニュージーランドで行われているカンピロバクター症の分子レベルサーベイランス ― 感染源の特定からゲノム疫学まで
【英国健康保護庁(UK HPA)】
1. 感染症の季節性流行に関する最新情報(2013年1月31日付更新情報)
【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. ドイツにおけるBSE検査対象牛の最低月齢変更に関するQ&A
【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報