万人を相手にするテレビは「老いも若きも誰もがわかる言葉」を押し出していくことがセオリーだ、ということにちょっと前に触れましたが(第57回)、ほとんどの人が「美容によい」と想起する成分があります。それが今回のテーマ、“コラーゲン”です。
「配合しなくてもよくたって、コラーゲン入りが売れるんです」
“コラーゲン=肌によいもの”というイメージを、多くの人が抱いているのではないでしょうか。これは健康食品がここまで流行する前に、化粧品でさんざん使われてきたワードであるからでしょうね。
1ワードで想起するイメージがここまで「美」に集約されるものは割と少ないと思います。それだけに、テレビでは“多くの人に興味をもってもらいやすい”ワードとして重宝されるんです(多くの人が興味持つ→視聴率上がる、から)。
で、この事情はテレビ界だけでなく、健康食品メーカーの側でも同じなようです。実例として、大手ではないですが健康美容ドリンクを作られた社長さんと話したエピソードがあります。その方が作ったドリンクは、メインとなるのは、ある“新成分”で、コラーゲンは配合せずともよかったそうなんです。ただ最初に“新成分”だけをメインにした商品を作ってPRしたら全然興味を持たれずに売れなかったそうなんですね。そこで誰もが耳になじんだコラーゲンを配合したところ、売り上げが大幅改善、当初想定していた売上額に近づけるようになっていったのだとか。
「先生ごとに言うことバラバラですよコラーゲンは」
コラーゲンはものすごく大ざっぱに言うと、お肌のハリを支える成分と言われています。このコラーゲンが25歳前後から減少するから、ハリは衰えてしわも出来て老けて見える肌に……ということは耳にしたことがある人も多いでしょう。
「なので、外から補いましょう~!」ということで健康食品が登場するのですが……この“外から摂るコラーゲン”の効果が――あくまで私が見聞してきた範囲からの話ですけど――個人的にはわかりません! 決して「効果ないですよ」ってことでもないんですが、専門家の方々の言うこと自体が、自分が会ってきた方々の中でも全然一致しないんですよ。人それぞれ。「そりゃあ摂ったがいいですよ」と言う人もいれば、「食べ物から摂ってもほぼ肌には影響しないんじゃないか」と言う人、「摂るより外から塗った方が見栄えの変化は出るかも」と言う人、「外から塗ってもコラーゲンの成分は入りませんよ、口から摂んなきゃ」と言う人、さらには「コラーゲンそのものを摂るのではなく、健康なコラーゲンを保つ役割を持った別の成分を摂ったがいいと思いますよ」と言う人……バラバラ。
筆者はこのコラーゲンについての番組の構成を、健康食品の通販や、化粧品の通販や、さらには通販とは関係ない健康バラエティ番組や、いろんな番組で行ってきましたが、それぞれの番組ごとに実質的な監修役となる先生も違ったわけです。まぁそれらの各先生が、違うことを言うわけですね……。
それゆえ、自分の中では、「よい摂り方」や「摂って意味あるのか」ということに結論を持てないでいるわけです。
「お肌を支えるコラーゲンの量って測れなかったんです」
この迷いを持ち続けている理由の一つに、筆者自身が自分の目でコラーゲン数値の変化を追えたことがない、ということがあります。試みようとしたことはあったんですよ。
それは通販ではなくて健康バラエティでだったんですが、肌の衰えに悩むタレントさんがコラーゲンがたくさんのものを食べ続ける、その前後で肌のコラーゲンの量を見ようじゃないか、という試みだったんです。
だけどこれが実現できなかったんですよ~。理由は「簡便にコラーゲンをはかる機械がない」。計測するには、一情報バラエティ番組の予算とスケジュールでは、とても追っつくものではなかったんですね。ただ、いろんな情報を見ると、機械自体はあるようですし、あの番組はは7~8年前のことですから、今は事情も大分変わっているかもしれません。
そんなこんなでモヤモヤが多いコラーゲンですが、次回もう少しいきましょー。