FDAが新たな栄養表示案発表

No.03(2025.02.05)

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国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国FDAは、包装済み食品に飽和脂肪、ナトリウム、添加糖類の含有量を「低・中・高」で示すFOP栄養表示を義務付ける提案を発表した。米国環境保護庁はエチレンオキシドに関する暫定決定を発表。酒類タバコ税貿易管理局(TTB)は、アルコール飲料に主要食物アレルゲン表示を義務付ける規則案を公表した。

注目記事

【FDA】FDAは包装済み食品の前面に一目でわかる栄養情報表示を提案する

 米国食品医薬品局(FDA)は、消費者に栄養情報を提供する重要な施策として、ほとんどの包装済み食品に包装前面(front-of-package: FOP)栄養表示を義務付ける提案を発表した。

 提案されているFOP栄養表示は、「Nutrition Info box(栄養成分情報ボックス)」とも呼ばれ、飽和脂肪、ナトリウム、添加糖類の含有量についての情報を、1日の摂取量への寄与率(%DV)を指標にして「Low(低:5%以下)」「Med(中:6-19%)」「High(高:20%以上)」のいずれかで示すものである。意見募集は2025年5月16日まで。

※ポイント:米国FDAは2007年より食品のFOP表示について検討しており、この度、その具体的な提案が公表されました。FOP表示は、栄養に関する知識があまりない消費者であっても、健康的な食生活につながる食品を迅速かつ簡単に特定するのに役立つことを目標としています。表示の対象となった栄養成分(飽和脂肪、ナトリウム、添加糖類)は、アメリカ人のための食事ガイドライン2020-2025において健康的な食生活の実現のために摂取を制限することが推奨されています。

【EPA】エチレンオキシド汚染からの労働者と地域社会の保護を最終決定

 米国環境保護庁(EPA)は、エチレンオキシド(EtO)に関する暫定決定(Interim Decision)を発表した。米国でEtOは医療機器の滅菌や乾燥ハーブ及びスパイスの燻蒸に使用されている。今回発表された暫定決定において、乾燥ハーブやスパイスの使用については、食品安全上、重要でないと考えられるものは直ちに取り下げ、重要だと考えられるが代替処理法を利用できる可能性があるものは段階的に取り下げるとしている。

※ポイント:EPAは、従来の考えと同じく病原性微生物の汚染に関わる食品安全上の重要性からEtOの利用が必要であるか否かを検討しています。一部の使用については段階的な手続きも含めて取り下げられますが、現時点で、dried peppermint tops、sesame seed、dried spearmint tops、dried vegetablesへの使用については取下げが実行不可能であると判断されています。さらに、EtOのトレランスは使用の取り下げに関係なく維持するとのことです。

【TTB】ワイン、蒸留酒、麦芽酒における主要食物アレルゲン表示

 米国の酒類タバコ税貿易管理局(TTB)は、連邦アルコール管理法(Federal Alcohol Administration Act: FAA Act)に基づくTTBの規制権限の対象となるアルコール飲料(ワイン(アルコール度数7%以上)、蒸留酒、麦芽酒)を対象に、その製造に使用されるすべての主要食物アレルゲンをラベルに表示すること義務付ける規則案を発表した。

※ポイント:米国TTBは同時に、Alcohol Factsとして、1杯あたりのアルコール含有量、カロリー、栄養成分情報の表示を義務付ける規則案も発表しています。新政権になり食品関連の規制の先行きも見通せない状況ですが、酒類の一部が輸出促進の重点品目になっていることを踏まえると、業界関係者は、意見募集が終了した後にどのような規制判断が下されるのかをフォローしておく必要があるでしょう。

(注目記事のまとめ:安全情報部第三室)

目次

【FAO】

1. 新たな報告書は、2030年へのカウントダウンにおける食料システムの重要なトレンド

と課題を浮き彫りにしている

2.ベルリンで食料と農業のための世界フォーラムが開催、FAOのリーダーシップを評価

し、持続可能なバイオエコノミーを推進するためのマイルストーンとなる

【EC】

1. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】

1. Fonterra協同組合が製造した、乳清タンパク質濃縮物由来の乳児用調製乳とフォロー

アップ調製乳に使用される特定のタンパク質加水分解物の栄養学的な安全性及び適合

2. EU花粉媒介者ハブ:ミツバチ及び花粉媒介者に関する利害関係者間の統合されたデータ収集及び共有のためのEUミツバチパートナーシッププラットフォームの運用

3. 新しい栄養源に関する申請書作成のための行政ガイダンス

4.パブリックコメント募集のためのコミュニケーションツールキット5. 新規食品関連

6. 農薬関連

【FSA】

1. 消費者調査(2024年10月〜12月)2. 規制製品安全性評価

3.リコール情報

【FSS】

1.スコットランドの子供の憂慮すべき食生活の傾向は、緊急の対策が必要であることを

強調している

【DEFRA】

1.ミツバチ保護のため、2025年農薬緊急認可が却下される

【COT】

1. COT会合:2025年2月4日

【BfR】

1. Tewes Tralau博士がBfR副長官に任命

【ANSES】

1. 縮毛矯正剤に含まれるグリオキシル酸に警告が発出された

2. 葉酸強化した小麦粉は新生児の神経管の先天性異常を防ぐのに役立つ可能性がある

【FDA】

1. FDAは包装済み食品の前面に一目でわかる栄養情報表示を提案する2. 警告文書

3.リコール情報

【EPA】

1. EPA、がんを引き起こすエチレンオキシド汚染からの労働者と地域社会の保護を最終

決定

2. EPA、フタル酸ジイソノニル(DINP)のTSCAリスク評価を最終決定3. IRIS(統合リスク情報システム)による無機ヒ素の毒性学的レビュー

4.パーフルオロヘキサンスルホン酸および関連する塩類のIRIS毒性学的レビュー

5. EPAはバイオソリッド中のPFOAとPFOSに関する科学的理解を深めるためのリス

ク評価案を発表

6. EPA、新規農薬フロリルピコキサミドの登録案を発表

【TTB】

1.ワイン、蒸留酒、麦芽酒における主要食物アレルゲン表示

2.ワイン、蒸留酒、麦芽酒のラベル表示におけるアルコールに関する科学的知見の記載

【香港政府ニュース】1.ニュースレター

2. 食品保存料(改正)規則2024

3. 違反情報

【MFDS】

1.日本産輸入食品の放射能検査の結果

2.2025年食品医薬品安全処の主要政策推進計画「安全、学び、成長、革新」を目指し

て食医薬の安心が日常化する世界

3.ガルシニアカンボジア抽出物「摂取時の注意事項」追加

4. 食薬処、HACCP危害要因分析情報のオンライン提供の拡大5. 輸入食品の苦情処理状況、通知トークで受けてみてください6. 食薬処、K‐給食の海外市場進出を積極的に支援

【SFA】

1. Food Safety and Security Bill(食品安全及び安全保障法案)を通じて食の未来を守る

【その他】

・食品安全関係情報(食品安全委員会)から

・ProMED-mail4件

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.03(2025.02.05)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202503c.pdf