国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国で有機ニンジンが原因とみられる大腸菌O121感染が18州で39人に発生し、1人が死亡。Grimmway Farms社が供給する製品を自主回収中。一方、RTE食肉製品によるリステリア感染が4州で11人に発生し、妊婦1人と乳児2人が死亡。Yu Shang Food社製品が感染源と判明し調査が進行中。
注目記事
【米国】有機ニンジンに関連のO121感染アウトブレイク
米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、複数州にわたり発生している大腸菌O121感染アウトブレイクを調査するため、さまざまなデータを収集している。
2024年11月17日時点で、大腸菌O121アウトブレイク株感染患者が18州から計39人報告されている。患者の発症日は2024年9月6日〜10月28日。情報が得られた患者38人のうち15人が入院し、溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症した患者はいない。カリフォルニア州から患者1人の死亡が報告されている。
各州・地域の公衆衛生当局は、患者が発症前1週間に喫食した食品に関する聞き取り調査を行っている。聞き取りが実施された患者27人のうち26人がニンジンの喫食を報告した。
患者が報告したニンジンのブランドおよび購入店舗はさまざまであった。これらの購入履歴の一部についてFDAが実施した追跡調査から、本アウトブレイクの患者が購入した有機栽培のニンジン(ホール)およびベビーキャロットに共通する供給業者としてGrimmway Farms社が特定された。これを受けて同社は、2024年11月16日に当該ニンジンの自主回収を開始し、当該製品の販売業者に連絡を行った。FDAはGrimmway Farms社と連携し、汚染源の特定、その他の製品の関連の有無の確認、および回収対象ニンジンの供給先である小売業者の特定を進めている。
【米国】RTE食肉製品に関連のリステリア
米国疾病予防管理センター(US CDC)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)は、複数州にわたり発生しているリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイクを調査するためさまざまなデータを収集している。
疫学データおよび検査機関での検査データは、Yu Shang Food社が供給した「そのまま喫食可能な(RTE:ready-to-eat)食肉・家禽肉製品」がリステリアに汚染されており、本アウトブレイクの感染源となっていることを示している。
2024年11月22日時点で、L. monocytogenesアウトブレイク株に感染した患者計11人が4州から報告されている。情報が得られた全患者11人のうち9人が入院した。カリフォルニア州で妊婦1人およびその乳児2人(双子)が発症し、乳児は2人とも死亡した。
各州・地域の公衆衛生当局による聞き取りが実施された患者8人のうち7人が、Yu Shang Food社の食品を販売する店舗で食品を直接購入またはオンライン購入していた。このうち2人は具体的にYu ShangブランドのRTE鶏肉製品の喫食を報告した。
2024年10月21日、FSISはYu Shang Food社の最終製品の通常検査およびフォローアップ検査を実施した。その結果、当該製品がリステリアに汚染されていることが確認された。WGS解析の結果は、豚鼻製品から検出されたリステリア株が本アウトブレイクの患者由来株と近縁であることを示した。この結果は、患者がYu Shang Food社製の食品の喫食により感染した可能性が高いことを意味している。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
目次
【世界保健機関(WHO)】
1. コーデックス委員会の第47回総会(2024年11月25〜30日開催)
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. そのまま喫食可能な(ready-to-eat)食肉・家禽肉製品に関連して複数州にわたり発生しているリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイク(2024年11月22日付初発情報)
2. 有機栽培のニンジンに関連して複数州にわたり発生している大腸菌O121感染アウトブレイク(2024年11月17日付初発情報)
3. マクドナルド社の店舗で提供されたタマネギに関連して複数州にわたり発生している大腸菌O157:H7感染アウトブレイク(2024年11月13日付更新情報)
【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:ヘビおよびげっ歯類に関連して発生したサルモネラ(Salmonella I4,[5],12:i:-およびS. Typhimurium)感染アウトブレイク(2024年5月14日付最終更新)
【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)
【フランス食品・環境・労働衛生安全庁(ANSES)】
1. フランス食品・環境・労働衛生安全庁(ANSES)の2023年次報告書
【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)のソフトウェア「FoodChain-Lab」は疾
患アウトブレイク発生時の迅速な対応を可能にする
【ProMED-mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(75)(74)(73)(72)(71)(70)(69)
2. 原因疾患不明の死亡、コレラの可能性(スーダン)
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(微生物)No.24(2024.11.27)
- https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2024/foodinfo202424m.pdf