ヒト用食品プログラム運用開始

No.21(2024.10.16)

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国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国FDAは「ヒト用食品プログラム」の運営を2024年10月1日に開始した。欧州食品安全機関は、新規食品の認可申請に関するガイダンスの更新版を発表した。EUの新規食品の認可申請では非常に詳細な情報の提出が求められる。

注目記事

【EFSA】新規食品をナビゲートする:EFSAの更新ガイダンスは安全性評価において何を意味するのか

 欧州食品安全機関(EFSA)が、新規食品の認可申請に関するガイダンスの更新版を発表した。ガイダンスは、申請者が提出する科学的情報の要件を説明する科学的ガイダンスと、申請手続きを詳細に説明する行政ガイダンスの2種類があり、2025年2月1日以降に欧州委員会へ提出される申請に対して適用される。ただし、第三国由来の伝統食品に関する申請については、ガイダンスの更新版が別途発表される。

※ポイント:両ガイダンスともに、以前よりも非常に詳しい内容へと更新されています。

 科学的ガイダンスで内容が大幅に更新されたのが、細胞又は組織の培養製品に係わる要件、成分や組成データを得るための分析法の要件、提案する使用条件と使用量の提示要件、栄養及びアレルゲン性の情報に関する要件などです。さらに安全性確保のために、体内動態(ADME)と毒性情報(遺伝毒性試験、反復投与毒性試験)について新たに3段階(Tier Ⅰ〜Ⅲ)のアプローチが導入され、各段階のデータ要件と次段階へ進むための判断規準が提示されています。

 一方、行政ガイダンスには事前相談の段階から始まる申請の一連の手続きが詳細に記されており、付属文書として申請者が準備すべき提出物のチェックリストが提供されています。EUの新規食品の認可申請では、製品の同一性と安全性を確保するために、非常に詳細な情報の提出が求められています。その内容は食品添加物の新規申請とほぼ同程度です。24ページにも及ぶチェックリストの項目を見ていただくだけでも、EUが新規食品の認可に求める要件の厳しさをご理解いただけると思います。

【別添FDA】ヒト用食品プログラムが開始

 米国食品医薬局(FDA)が、その近代史に残る最大の組織再編となった「ヒト用食品プログラム(Human Foods Program:HFP)」の運営を2024年10月1日に開始した。HFPは、食品の安全性と栄養に関するFDAのすべての活動を監督する組織として、ヒト用食品担当副長官の下で1つのグループとして設立されている。リスク管理活動を3つの主要分野(微生物学的な食品安全性、食品化学物質の安全性、栄養)に集約し、並行して業務を遂行する。また、査察、調査及び輸入に重点を置くための現場運営ユニットの再編と名称変更も行われ、食品だけにとどまらず、FDAによる規制対象製品のすべての監視において現場調査員とFDAとの連携が強化される。その他、FDAが新興の公衆衛生リスクをより適切に検出して対応できるよう新しいオンライン消費者苦情フォームが試験的に導入される。

※ポイント:再編後の新体制では、食品の安全性と栄養に関する部署を統合したことにより、各種プロセスが合理化され、より効果的な意思決定が行えるようになると報告しています。食品化学物質については、前号でご紹介したヒト用食品担当Jim Jones副長官の議会証言にあったように、市販後評価のための体系的なプロセスの構築やダイエタリーサプリメントに関するFDAの権限強化などの新たな取組みが開始されているので、再編後にこれらの取組みがどのように進められていくのか注視していきたいと考えています。

(注目記事のまとめ:安全情報部第三室)

目次

【WHO】

1. ファクトシート:食品安全

2. ファクトシート:鉛中毒

3. 細胞性食品の食品安全について:2023年4月7日の出版記念ウェビナーの報告

4. 出版物

【FAO】

1. 第79回国連総会:世界の指導者、薬剤耐性に対する断固とした行動を約束

2. 国家食品管理システムにおける科学の役割:IUFoST世界会議におけるFAO

3. 農場から食卓まで、そしてその先への食品ロスと廃棄に取り組む

4. 漁業および養殖業のためのHACCP実施に関する研修5. Codex

【EC】

1. 欧州委員会は、2022年にEU諸国で実施された食品と飼料、動物の健康と福祉、植物の健康と植物保護製品に関する公的管理について報告する

2. 食品廃棄物:2022年にEUで住民1人当たり132kgが廃棄された

3. 査察報告書

4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【ECHA】

1.9月のリスク評価委員会(RAC)および社会経済分析委員会(SEAC)会合のハイライト

2.9月の殺生物性製品委員会(BPC)会合のハイライト

【EFSA】

1. 新規食品をナビゲートする:EFSAの更新ガイダンスは安全性評価において何を意味するのか

2. 食品酵素関連3. 農薬関連

【FSA】

1. 緊急アレルギー助言:マスタード原料にピーナッツが混入

2. FSAとFSSがフードサプリメント中のカフェインに関するガイダンスを発行する

3. FSAは食品検査への的を絞ったアプローチを継続して実施しており、第4回小売サーベイランスを発表する

4. FSAは、外食産業におけるアレルゲン表示への一貫したアプローチの開発を支援するための意見を募集する

5. FSAの消費者調査によると、4人に1人が依然として食料不足である

6. アイスクリームの組成変更と技術ガイダンス(北アイルランドのみ)

【DEFRA】

1. PRiF年次報告書2023

2. 精密育種を支援し、英国の食料安全保障を強化する新法案

【COT】

1. テトラメチルビスフェノールFジグリシジルエーテル(TMBPF-DGE)の缶詰食品包装物質へのコーティング剤としての安全性評価

【FSAI】

1. FSAI、ピーナッツアレルギーの消費者に注意喚起を発表

2. 新たなeコマースとオンラインフードビジネスフォーラムへの関心表明

【RIVM】

1. マイクロプラスチックの水、土壌、大気への排出:その対策は?

【ANSES】

1. モモアカアブラムシはどのようにしてネオニコチノイド殺虫剤に耐性をしめすのか

【FDA】

1. ガイダンス文書案CVM GFI #116(VICH GL23(R2))ヒト用食品中の動物用医薬品残留物の安全性を評価するための研究:遺伝毒性試験(改訂2)

2. FDAは国内及び輸入ヒト用食品中のカビ毒コンプライアンスプログラムを更新する

3. FDAが有毒なキバナキョウチクトウで代用された特定のサプリメントについて警告す

る(2024年1月)

4. 疾病調査:Diamond ShruumzブランドのMicrodosing Chocolate Bars(2024年6月)

5. AquAdvantageサーモン

6. FDAは革新的製品とジェネリック医薬品の連携を強化するために動物用医薬品評価体制を再編する

7.2024年10月7日、食品医薬品局(FDA)科学委員会の会議

8. FDA2024ワンヘルスバーチャルシンポジウムの登録受付開始

9. FDAデジタルヘルス及び人工知能用語集–教育用リソース

10. FDAの最新ビデオ:FDA規制対象のシーフード製品の輸入

11. 公示

12. 警告文書

13. リコール情報

【EPA】

1. EPA、難燃剤TCEPのリスク評価を最終決定

2. EPAはより安全な化学物質リストを更新し、27種類の化学物質を追加

3. EPA、農薬暴露から農業労働者、家族、地域社会を保護する規則を最終決定

4. EPA、100種類以上のPFAS「永遠の化学物質」に関する情報の一般公開を拡大し、必要な汚染防止活動を支援することを提案

5. EPA、FDA、USDA、バイオテクノロジー開発者の規制状況への対応を支援するためのツールを発表

6. EPAが絶滅危惧種の保護計画を最終決定

【NIH】

1. ODS更新情報:最新のダイエタリーサプリメント科学の発展

2. ODSセミナーシリーズ

【CPSC】

1. CPSCは消費者に対し、飲み込む危険性があるため、直ちにマグネットチェスゲーム

の使用を中止するよう警告

【CFIA】

1. 食品偽装年次報告書2022-2023年

2. 種子規制の近代化の進捗状況に関する声明

【MPI】

1. プレスリリース

2. リコール情報

【香港政府ニュース】

1. プレスリリース

2. 違反情報

3. リコール情報

【MFDS】

1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果

2. 常習・繰り返し違反業者、オンライン不当広告を合同点検、212件摘発

3. 輸入糖漬けに対する検査命令を施行

4. すべての輸入白菜キムチにHACCP義務適用完了

5. 食薬処、ナトリウム・糖類低減表示の対象を拡大

6. OEM輸入食品などの衛生評価体系の合理的な改善、小商工人の負担を解消

7. 食薬処、薬剤耐性対応に向けたグローバル協力強化

8. 食薬処、健康的な食生活のための「精密栄養」など、オーダーメイド型政策を紹介9.2023年、子供の食生活安全指数2.1ポイント上昇

【その他】

・食品安全関係情報(食品安全委員会)から

・ProMED-mail1件

別添

【FDA】

1. FDAの統合されたヒト用食品プログラム、現場運営の新モデル及びその他の近代化の取組みが実施される

2. ヒト用食品プログラム

3. 食品化学物質安全性・ダイエタリーサプリメント・イノベーションオフィス

4. 栄養上級センター

5. FDAが新しいヒト用食品プログラムで合理化された苦情処理プロセスを導入する

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.21(2024.10.16)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2024/foodinfo202421c.pdf
食品安全情報(化学物質)No.21(2024.10.16)別添
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2024/foodinfo202421ca.pdf