国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国で高病原性鳥インフルエンザA感染者が確認された。これは、関連する3人目のヒトの患者となる。米国で複数州にわたって発生しているサルモネラ感染アウトブレイクについて、米国当局は特定の企業が出荷したキュウリが関連している可能性を調査している。
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【米国】ミシガン州で2人目の高病原性鳥インフルエンザH5ウイルス感染患者を確認
米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)によると、米国ミシガン州において、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)A(H5)ウイルスに感染した患者が1人特定された。ミシガン州では2人目とであり、また、複数州にわたって乳牛で発生中の高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルス感染アウトブレイク1件に関連する3人目のヒトの患者である。なお、3人のいずれにも相互関連はない。
高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルスは動物への曝露がリスク要因である。現時点での情報にもとづくと、患者3人全員が感染牛と直接接触していたことから、今回の患者においても感染した動物への曝露が原因と考えられる。感染動物に曝露していない人々のリスクは依然として低い。
しかし、今回の患者発生は、感染もしくはその可能性がある動物に曝露する人々にとって、推奨事項の遵守が重要であることを再認識させるものである。感染した鳥類やその他の感染動物(家畜を含む)、またはそれらによって汚染された環境に対し、防護具を使用せずに濃厚にまたは長時間にわたり曝露する人々は感染リスクが高いため、予防策を講じるべきである。
【米国】キュウリに関連のサルモネラ
米国疾病予防管理センター(US CDC)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Africana)感染アウトブレイクを調査するためさまざまなデータを収集している。
2024年6月4日時点で、S. Africanaアウトブレイク株に感染した患者計162人が25州およびワシントンD.C.から報告されている。患者の発症日は2024年3月11日〜5月16日である。情報が得られた患者127人のうち54人が入院し、死亡者は報告されていない。
本アウトブレイク調査において、ペンシルベニア州農務局(PDA)が同州内の小売店舗数カ所から複数のキュウリ検体を採取した。検査の結果、これらのうち1検体からサルモネラが検出された。当該分離株がアウトブレイク株と同じ株であるかどうか特定するため詳細な検査が行われている。
調査はまだ継続中である。CDCは、Fresh Start Produce Sales社が回収中のキュウリを喫食・販売・提供しないよう注意喚起している。同社が出荷したキュウリはさまざまな栽培業者から供給された。汚染の可能性があるキュウリを供給したと思われる栽培業者は、今シーズンのキュウリの栽培・収穫を終了している。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
目次
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. キュウリに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Africana)感染アウトブレイク(2024年6月5日付初発情報)
2. ミシガン州では2人目の高病原性鳥インフルエンザH5ウイルス感染患者を確認:複数州にわたり酪農場で発生中のアウトブレイクに関連する3人目の患者
【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. 欧州連合(EU)域内の検査機関の微生物学的検査能力モニタリングシステム(EULabCap)に関する調査報告書(2021年)
【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)
【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 小麦粉の大腸菌汚染―その汚染源、健康リスクおよび予防策に関する第2回専門家会議
【ProMED-mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(21)(20)
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(微生物)No.12(2024.06.12)
- https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2024/foodinfo202412m.pdf