国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。第46回コーデックス総会(CAC46)が来週開催される。ジルパテロール塩酸塩の最大残留基準値案の採択が注目される。鉛混入の可能性で商品の回収を行っているWanabana LLCは回収対象を拡大した。欧州委員会(EC)では、グリホサートの認可の更新または拒否について加盟国の合意が特定多数に達しなかった。
注目記事
【FAO/WHO】第46回コーデックス総会(CAC46)
2023年11月27日〜12月2日、イタリア・ローマのFAO本部でCAC46が物理的開催される。重要な議題の一つがジルパテロール塩酸塩の最大残留基準値(MRLs)案の採択である。開催に先立ち、Steve Wearne議長が議論の進め方についての提案書を発表した。それによると、ステップ8に進めるのか否か、次にステップ8でMRLs案を最終採択するのか否か、という2段階で討議を行い、いずれの段階でも合意が得られない場合には投票で決定することを提案している。
【FDA】高濃度の鉛の調査:Cinnamon Applesauceパウチ(2023年11月)
2023年10月31日、Wanabana LLCは、鉛が高濃度で含まれる可能性を理由に、すべてのWanaBana Apple Cinnamon Fruitピューレパウチの自主的リコールを開始した。さらに2023年11月9日、当社はリコールの発表対象を拡大し、SchnucksおよびWeisのcinnamon applesauceパウチに関する情報を追加した。2023年11月16日時点で、FDAに提出されたリコール製品に関連する可能性のある病気の報告は34件である。
※ポイント:前号の注目記事でご紹介した米国のリコール情報の続報です。当初の被害者数は4名でしたが、その報告数は徐々に増えているようです。続報では、リコール対象の製品から2.18ppmの鉛が検出されたと報告していますが、まだ1製品のみなので他の製品の濃度がどの程度なのかは不明です。状況証拠から汚染源は原料として使用されたエクアドル産のシナモンを疑っていますが、シナモン自体の鉛濃度はまだ検査していないとして特定には至っていません。一般的な加工食品の鉛汚染による健康被害の報告はまれです。被害者数の増加状況をみると、このリコール問題はもうしばらく続くと予想されますので、次号以降も注目していきます。
【別添EC】グリホサートの認可の更新または拒否について加盟国の合意が特定多数に達しなかった
欧州委員会(EC)では、農薬の有効成分グリホサートの認可更新について審査委員会(Appeal Committee)で投票による採択を諮ったが、更新または拒否のいずれにも必要な特定多数を得ることができず、合意に達しなかった。そのような状況に陥った場合、EUの法律のもと、ECには現行の認可期間が満了する前に決定を下す義務がある。そのため ECは、2023年7月に提出されたEFSAの評価結果に基づき、一定の使用条件および制限を設けた上で、グリホサートの認可を10年間更新する手続きを進めることとなった。制限としては、収穫前の乾燥剤としての使用の禁止、非標的生物/植物を保護するための特定措置を講じることなどが含まれている。
※ポイント:昨年12月より延期されていたグリホサートの認可が10年間更新されることが決定しました。ただし、本決定はEUレベルでの話であり、グリホサート製品の上市を認可するか否かは、各加盟国による国内での認可次第となります。今回の特定多数決方式による投票で合意に至らなかったことを踏まえると、EUでの認可は更新されたものの、加盟国レベルではまだ騒動は続きそうです。
(安全情報部第三室)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.24(2023.11.22)
- https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202324c.pdf
- 食品安全情報(化学物質)No.24(2023.11.22)別添
- https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202324ca.pdf
今号の目次
【WHO】
1. WHO は人々と地球の健康ために「ワンヘルス」対応への投資を強く求める
2. 母乳代用品のデジタルマーケティング制限のための規制対策ガイダンス
【FAO】
1. 世界の農業食料システムの隠されたコストは少なくとも10兆ドル
2.日本の愛と雑穀
3. 魚類摂取のリスクとベネフィットに関する FAO/WHO 合同専門家会合2023年10月
9〜13日、概要と結論
4. FAO は動物飼料と飼料規制担当者の世界フォーラムを開催
5. Codex
【INTERPOL】
1. インターポールの作戦が対象とする世界的な違法医薬品
【EC】
1. SCCS(消費者安全に関する科学委員会)
2. 査察報告書
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. 花粉媒介昆虫のための化学物質の環境リスク評価に関する行動のロードマップ(IPol‐
ERA)
2. ワンヘルス:EFSA は EU 機関と提携する
3. 葉酸塩の耐容上限摂取量に関する科学的意見
4. 新規食品関連
5. 食品接触物質関連
6. ナノ物質関連
7. 農薬関連
8. 飼料添加物関連
【FSA】
1. 食品と環境中の放射能(RIFE)報告書2022
2. 国家食品犯罪対策ユニット
3. 英国食品基準庁とスコットランド食品基準庁の新しい報告書は、食品安全と基準のリソースの課題を強調する
4. 研究:労働力不足が英国の食料入手可能性と安全性に及ぼす影響
5. 英国で食品や飼料に使用される精密育種生物の規則に関する新たな枠組みの提案に関して意見募集を開始する
6.2023年10月の Consumer Insights Tracker
7. 安全性評価:Yarrowia lipolyticaから生産されるステビオール配糖体(E960)の使用改訂に関する評価結果
8. リコール情報
【MHRA】
1.15年間のパンゲア作戦:8400万ポンド相当超の違法に取引された医薬品及び医療機器
2500万以上が英国で押収された
【ASA】
1. ASA 裁定
【FSAI】
1. 食品安全会議は食品の持続可能性を探る
【BfR】
1. 健康リスク評価のためのガイドライン
【RIVM】
1. 大量の鉛、カドミウム、水銀、ヒ素の複合暴露は腎障害リスクを上げる
【FDA】
1.2023年11月食品成分及び包装材申請のための電子申請プロセスの更新について
2. CVM One Health:強力な動物及び獣医業界を通じてヒト、動物及び環境の健康を保護する
3. 新しい Food Code 定義:「殻付き製品」
4.「ジムとともに」
5. 高濃度の鉛の調査:Cinnamon Applesauce パウチ(2023年11月)
6. 連邦判事がユタ州のダイエタリーサプリメント販売業者及び Balance of Nature
Products の製造業者に対する同意判決を下す
7. FDA 海外オフィスの設立を振り返る
8. FDA における代替法の推進
9. Reagan Udall 公聴会での包装前面表示に関する Robert Califf 長官の発言
10. FDA は小売業者に対し、日用品に見せかけた違法な若者に向けた電子タバコの販売を中止するよう警告する
11. 警告文書
12. 公示
13. リコール情報
【CDC】
1. 大麻生産における致死的職業喘息-マサチューセッツ、2022
【USDA】
1. APHIS はレビューのために提出された12の異なる植物はバイオテクノロジー規制の対象外であることを発見
2. APHIS は遺伝子組換え植物としての除外要件さらに5つを提案
【CPSC】
1. リコール情報
【FTC】
1.2つの貿易協会と1ダースのインフルエンサーに、アスパルテームや砂糖の摂取を促すソーシャルメディア投稿について警告
【CFIA】
1. リコール情報
【FSANZ】
1. 食品基準通知
2. 食品基準ニュース
【TGA】
1. オーストラリアにおけるスポーツサプリメント規則:輸入業者及び販売者向け情報
2. リコール情報
【MPI】
1. 公衆衛生警告
【香港政府ニュース】
1. 食品安全命令に違反した疑いのある日本からの輸入品の調査
2. FEHD 及び香港税関は違法な上海ガニ販売及び疑わしい出所の上海ガニ販売に引き続き取り組む
3. 包装済み及び非包装食品中の工業的に生産されたトランス脂肪酸含有量に関するリスク評価研究結果を発表する
4. フィトヘマグルチニン中毒
5. 違反情報
6. リコール情報
【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 映像の工場の青島ビールは国内に輸入されていません
3. 受験生と保護者を惑わす食品・医薬品のオンライン不当広告、違法販売に注意してください!
4. 不正物質が検出された海外直輸入食品、購入に注意してください!
5. 食品放射能検査体験プログラム申請してください!
6. アフラトキシンが超過検出された「煎りピーナッツ」の回収措置
【HSA】
1. HSA は監視強化週間中に4,600以上のオンライン品目を削除し、60,000個以上の違法な健康製品を押収した
【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
別添
【EC】
グリホサートの認可の更新又は拒否について加盟国の合意が特定多数に達しなかった