国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。世界保健機関(WHO)の国際食品安全当局ネットワーク(INFOSAN)事務局は、2023年の第2四半期に対応した事例の件数と内訳を発表した。米国当局は、複数州にわたり発生しているサルモネラ感染アウトブレイクを調査し、加工会社製の角切りタマネギとの関連を特定した。
注目記事
【WHO】国際食品安全当局ネットワーク(INFOSAN)2023年第2四半期報告
世界保健機関(WHO: World Health Organization)発。2023年の第2四半期に国際食品安全当局ネットワーク(INFOSAN)事務局は、世界保健機関(WHO)加盟のすべての地域の計58の国・領土が関連した計53件の食品安全事例に対応した。
このうち生物的ハザード関連の事例は32件で、その内訳は以下のとおりであった。
- サルモネラ属菌(12件)
- リステリア(Listeria monocytogenes)(6件)
- クロストリジウム(3件)
- 大腸菌(3件)
- A型肝炎ウイルス(3件)
- ノロウイルス(2件)
- セレウス菌(1件)
- カビ(1件)
- B群レンサ球菌(Streptococcus agalactiae)(1件)
非表示のアレルゲン/成分に関連した事例は10件で、その内訳は以下のとおりであった。
- 乳(3件)
- ピーナッツ(3件)
- 卵(1件)
- マスタード(1件)
- ピスタチオ(1件)
- 大豆(1件)
化学的ハザード関連の事例は5件で、その内訳は以下のとおりであった。
- カドミウム(1件)
- シアン化物(1件)
- メタノール(1件)
- パツリン(1件)
- ソラニン(1件)
物理的ハザード関連の事例は4件で、その内訳は以下のとおりであった。
- 金属(2件)
- ガラス(1件)
- 木(1件)
上記以外の残りの2件については関連したハザードが不明であった。
本四半期にINFOSAN事務局が対応した上記53件の事例に関連した食品カテゴリーは以下のとおりであった。
- 野菜・野菜加工品(11件)
- 果物・果物製品(8件)
- 食肉・食肉製品(7件)
- 複合食品(6件)
- ハーブ・香辛料・調味料(3件)
- 乳・乳製品(3件)
- ナッツ・油糧種子(3件)
- スナック・デザート・その他の食品(3件)
- 砂糖・菓子(3件)
- アルコール飲料(1件)
- 卵・卵製品(1件)
- 魚・水産食品(1件)
- 豆類(1件)
- 栄養補助食品(1件)
上記以外の残り1件については原因食品が不明であった。
INFOSAN のメンバーおよび協力機関の積極的な関与により、これらの食品安全事例の
35%が INFOSAN 加盟各国の緊急連絡窓口(ECP)および情報連絡窓口(FP)を介して、28%が欧州委員会(EC)の「食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF)」を介して、また37%が WHO の様々な経路を介して INFOSAN 事務局に報告された。
上記の食品安全事例には、WHO の全ての地域の計58の加盟国・領土が関連した。本四半期に事例を報告した加盟国の地域別内訳は、欧州(33/53カ国)、米州(7/47カ国)、東地中海(6/21カ国)、西太平洋(6/21カ国)、アフリカ(3/35カ国)、および南東アジア(3/11カ国)、であった。
※NIHS注:数値は原文表記のまま。地域別の国の数が誤っている可能性がある。
【米国】生鮮角切りタマネギに関連のサルモネラ
米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Thompson)感染アウトブレイクを調査するためさまざまなデータを収集している。
FDAは追跡調査を実施し、患者が発症前に食事をした施設でGills Onions 社製のタマネギが提供されていたことを特定した。長期介護施設から得られた食事提供記録により、Gills Onions社製の角切りタマネギが患者に提供されていたことが示された。
CDCは消費者に対し、冷凍庫を確認の上、回収対象の角切りタマネギの喫食を避けるよう注意喚起を行っている。食品事業者は当該製品の販売・提供および、その他の食品への使用をすべきでない。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(微生物)No.23(2023.11.08)
- https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202323m.pdf
今号の目次
【世界保健機関(WHO)】
1. 国際食品安全当局ネットワーク(INFOSAN)2023年第2四半期報告(2023年4〜6月)
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 生鮮角切りタマネギに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella
Thompson)感染アウトブレイク(2023年10月24日付初発情報)
【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)
【Eurosurveillance】
1.2023年ラグビーワールドカップの開催期間中にイワシのマリネに関連してフランス
Bordeaux で発生した食品由来ボツリヌス症アウトブレイク(2023年9月)
【アイルランド保健サーベイランスセンター(HPSC Ireland)】
1. 国外旅行からの帰国者でクリプトスポリジウム症が報告されたことを受け行楽客向けに衛生対策の助言を発表
【ProMED-mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(22)(21)
2. コレラ、デング熱最新情報(スーダン)