チェリートマトのサルモネラ

No.18(2023.08.30)

ミニトマト(イメージ)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。欧州で2022年8月以降、サルモネラ感染患者が複数国から報告されており、患者への聞き取り調査で最も多く報告された食品曝露としてチェリートマトが特定された。

注目記事

【欧州】チェリートマトに関連の可能性があるサルモネラ

 欧州疾病予防管理センター(ECDC: European Centre for Disease Prevention and Control)および欧州食品安全機関(EFSA: European Food Safety Authority)の合同迅速アウトブレイク評価による。

 2022年8月以降、サルモネラ(Salmonella Senftenberg)感染患者が複数国から報告されており、2023年7月12日時点の患者数は、オーストリア(5人)、ベルギー(4)、チェコ(4)、エストニア(1)、フィンランド(12)、フランス(16)、ドイツ(26)、アイルランド(1)、オランダ(5)、ノルウェー(1)、スウェーデン(11)、英国(4)および米国(2)からの計92人である。患者1人がS. Senftenberg 感染により死亡した。

 初発患者はフランスで報告され、2022年8月22日にアウトブレイク株が分離された。直近の患者は2023年6月24日にスウェーデンで報告された。患者の大多数は2022年10月〜2023年3月に報告され、汚染源への曝露が推定される国の数は2022年12月以降に減少している。オーストリア、ドイツおよびフランスでは、患者への聞き取り調査で最も多く報告された食品曝露としてチェリートマトが特定された。

 フランスで、チェリートマトおよび緑色葉物野菜を原材料に含むミックスサラダ製品からアウトブレイク株が検出された。当該サラダは2022年8月17日に調理されたが提供はされなかった。フランスおよびオーストリアの当局は、それぞれフランスの当該サラダのトマトおよびオーストリアのトマトを感染源として疑い、追跡調査が行われた結果、ドイツ、オランダ、スペインの卸売業者、およびオランダ、スペイン、モロッコの栽培業者が特定された。これらのトマトから微生物学的エビデンスは得られず、感染源を確定することはできなかった。

 患者由来のアウトブレイク株が遺伝学的に相互に類似していることから、複数国にわたる継続的な食品由来アウトブレイクの発生、および欧州連合/欧州経済領域(EU/EEA)加盟11カ国・英国・米国からの約10カ月間にわたる断続的な患者報告の原因として、共通の感染源(単一とは限らない)が存在する可能性が高いことが示唆された。汚染源は複数のトマト栽培農場であったと考えられる。2022年12月以降は患者数が減少しているため、新たな感染リスクは「低レベル」まで低下している。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.18(2023.08.30)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202318m.pdf

今号の目次

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 小型のカメに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Stanley およびS. Pomona)感染アウトブレイク(2023年8月18日付初発情報)
2. アイスクリームに関連して複数州にわたり発生しているリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイク(2023年8月22日付更新情報)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 国外旅行に関連していないサイクロスポラ感染を調査中(2023年8月15日付更新情報)

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)/欧州食品安全機関(EFSA)】
1. ECDC-EFSA 合同迅速アウトブレイク評価:複数国で発生中のチェリートマトに関連している可能性があるサルモネラ(Salmonella Senftenberg シークエンスタイプ(ST)
14)感染アウトブレイク

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)

【ProMED-mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(18)