国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国内でサルモネラ感染アウトブレイク発生しており、患者14人のうち9人が牛ひき肉の喫食を報告し、彼らは同一の小売ボランタリーチェーンの店舗で牛ひき肉を購入していた。ドイツ連邦リスクアセスメント研究所は、世界食品安全デーに参加し、「家庭での食品安全」をテーマに情報発信を行った。
注目記事
【米国】牛ひき肉に関連のサルモネラ
米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)は、複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Saintpaul)感染アウトブレイクの感染源を特定するためさまざまなデータを収集している。
各州・地域の公衆衛生当局は、患者が発症前1週間に喫食した食品に関する聞き取り調査を行っている。聞き取りが実施された患者14人のうち9人が牛ひき肉の喫食を報告した。これらの患者9人は、コネティカット州、ニュージャージー州またはニューヨーク州の「ShopRite」の店舗で牛ひき肉を購入していた。9人のうち7人は「赤身率80%の牛ひき肉」(80% lean ground beef)製品の購入を具体的に報告した。2人は「ShopRite 」での牛ひき肉製品の購入は報告したが、製品の種類は覚えていなかった。
WGS解析により、本アウトブレイクの患者由来検体から分離されたサルモネラ株が遺伝学的に相互に近縁であることが示された。この結果は、本アウトブレイクの患者が同じ食品により感染した可能性があることを示唆している。
患者が喫食した牛ひき肉の供給元を特定するため調査が進められている。牛ひき肉はサルモネラなどの細菌に汚染されている可能性があるため、CDC は、内部温度が華氏160度(約71℃)に達するまで加熱してから喫食するよう繰り返し注意喚起している。
※編集部註:ShopRiteは米国の小売ボランタリーチェーン。
【ドイツ/WHO】台所の適切な衛生管理を考える
ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR: Bundesinstitut für Risikobewertung)は、世界食品安全デーに参加し、「家庭での食品安全」(Food Safety at Home)をテーマに、ソーシャルメディアチャンネルを通じて、台所の衛生管理および特定の生の食品を喫食する際の交差汚染や注意事項など、消費者が中心となる話題について情報を提供している。
ドイツで報告される食品由来疾患の大多数は、細菌、ウイルスまたは寄生虫が原因で発生するものである。これらの疾患では胃痙攣、下痢、嘔吐などの症状がみられ、ほとんどの場合、これらの症状は数日後に消失する。しかし、乳幼児、妊婦、高齢者、免疫機能が低下している人などのリスク集団においては、食品由来感染症は重症化する可能性があり、恒久的な被害や死亡につながることもある。
世界食品安全デー2023に関する詳細情報は以下の Web ページから入手可能である。
https://www.who.int/campaigns/world-food-safety-day/2023
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(微生物)No.16(2023.08.02)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202316m.pdf
今号の目次
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 牛ひき肉に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Saintpaul)感染アウトブレイク(2023年7月25日付初発情報)
2. 米国の国内感染サイクロスポラ症患者に関する2023年の調査(2023年7月27日、13日付更新情報、5月25日付初発情報)
3. 冷凍の有機栽培イチゴに関連して複数州にわたり発生している A型肝炎アウトブレイク(2023年7月18日付情報)
4. 小規模飼育の家禽類との接触に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ
(Salmonella Braenderup、S. Enteritidis、S. Indiana、S. Infantis、S. Mbandaka、
S. Typhimurium)感染アウトブレイク(2023年7月20日付更新情報)
【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 国外旅行に関連していないサイクロスポラ感染を調査中(2023年7月18日付更新情報)
【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)
【英国保健安全保障局(UK HSA)】
1. トルコ旅行からの帰国者で発生しているサルモネラ(Salmonella Enteritidis)感染患者の複数クラスターを調査
【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 世界食品安全デー:6億人の健康被害から台所の適切な衛生管理を考える
【ProMED-mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(15)(14)