春めいてきましたね。ある程度暖かくなると自転車通勤も汗との戦いがはじまります。ちょっとメタボが入っているので、通勤だけでシャツが汗だらけになっちゃう。小まめな着替えがないと風邪をひいてしまうので、アンダーウェアは余計に持って行ってます。なので、汗をかく料理も平気だったりします。
連日予約でいっぱいのタイ料理店
仕事場がある飯田橋周辺は、今、再開発真っ盛り。駅のそばにあった超絶品の広島風お好み焼きの「れもん屋」さんも移転した。学生時代から通っていた店だけにちょっと残念。「こうやって無味乾燥なビルが増えていくのだろうか」と暗くなるが、そんな風にもやもやと考えていると、俄然、ガツっとおいしいものを食べたたくなるもの。
ふと香辛料が頭に浮かび、「エスニック!」という文字が脳裏に光る。「だったら、あそこしかない!」と自転車を転がし、ディナー帯の開店時間17時30分早々にやってきたのが、飯田橋の「オールドタイランド」さん。
おいしいタイ料理と、居心地のいい空間で、連日大盛況のお店。店長の石原智恵子さんによると、夜にはカウンター2席×4、小上がり4席×4、テーブル4席×4がほとんど予約で埋まってしまう繁盛ぶりのだ。これも、スタッフの明るさ、落ち着いた店内、そしてなによりこちらのタイ料理の素晴らしさによるのである。
タイ料理は、種類も豊富で味にもバラエティーがあるため、日本人も親しみやすいエスニックだ。
漫画でタイ料理というと、やっぱり、うえやまとち先生の長寿料理漫画「クッキングパパ」だろう。あの中で、メインサブキャラの田中くんが新婚旅行でタイを巡ったのだ。あのときの料理が実においしそうだった……。
エビか、カニか、やっぱり鶏か……
「オールドタイランド」さんは、自由が丘のタイ料理の名店「クルン・サイヤム」の姉妹店として5年前に開店した。現地出身のコックさんが作る料理は、タイ北部のイサーン料理を中心として、バリエーション豊かで、メニューを見ているだけで飽きない。
鶏ごはん偏愛者としてとくに見逃せないのが、カオ・マン・ガイ。シンガポールで食べる海南チキンライスとも似ているゆで鶏肉ごはんのことだが、鶏肉のゆで汁とパクチーの根と香草で炊き込んだタイ米とゆで鶏肉が実に合うのだ。このご飯は、絶対に頼んでしまう逸品。
そして、さっと食べるためにもう一品。「できたらエビの料理がいいな」と探していると……。エビのニンニク炒めのクン・カティアムもいいな、むちむちエビのさつま揚げのトード・マン・クンもいい。甲殻類ならソフトシェルクラブのから揚げのプー・ニム・トードもいいな。いやいや、鶏肉のバーベキューのガイ・ヤーンもいし、鶏皮のぱりぱり唐揚げのナンガイ・トードもいいな……と思いは千々に乱れるのだった~。
幸せの無限ループ
で、結局選んだのは、エビのタマリンドソース炒めのクン・バット・ナーム・マカム。これが結局大正解になったのだ。
クン・バット・ナーム・マカムは、甘くて酸っぱいタマリンドソースが特長。これが唐辛子をからめることによって、実に味わい深くなる。これが、エビのぷりぷりをとてもよく彩ってくれて、実によろこばしい味になるのだ。このエビは豪快に手づかみでいきたいもの。ぷりぷりのエビを一尾楽しんだら、おもむろに、カオ・マン・ガイへいくのだー。
エビのタマリンドソース炒めクン・バット・ナーム・マカムに鼻を近づけると、もう、爽やかな香りがほのかに漂ってくる。たまらず、カオ・マン・ガイのタイ米をほおばる。口の中に広がる深い鶏のダシ、さわやかに広がる香草の香りが、一瞬、こちらの意識をリゾートにいるように錯覚させてくれる。
幸せな夢にしばし浸った後は、鶏肉を。これがまたやわらかーくゆでられていてマコトにケッコー。そして、この料理のもう一つの特徴、辛い味噌ダレ。鶏肉とご飯にかけまわして食べるのだけど、これがまた実に鶏肉に合う! 夢中になって食べてしまう。
カオ・マン・ガイを食べると、クン・バット・ナーム・マカムの濃いエビのタレを堪能し、またあっさりしながら味が深い鶏肉やタイ米を食べ、またエビをほおばって……って、もう、無限ループである。この2品だけで、ものすごく幸せなループ。
お口の中がちょっと辛くなってしまったら、ウーロン茶をごくごく。うまいなぁ、うまいなぁ、とうんうんうなずきながら食べるのがよろしい。
今回は2品だが、今度は、絶対に仲間と来て、たくさんの種類の料理を食べたい! そう確かに思わせる魅力があるお店なのだった。
●「オールドタイランド」
東京都千代田区富士見2-3-8 横江ビル2F
Tel.03-5212-4566
営業時間:11:30~15:00(L.O.14:30)、17:30~23:00(L.O.22:00)
定休日:無休
http://www.sscy.co.jp/oldthailand/