健康食品でも競争激しい「青汁」業界、前回まで、肌で感じた業界の進歩の様子を書いてきたわけですが、今回は通販番組の制作現場で知った青汁愛用者の実態と、青汁の将来についてお話します。
「女性が青汁を飲む理由は、やっぱりアレだったんです!」
消費者が青汁に求めるものはなんでしょう? メーカーの方などに聞くと、女性は断然「便秘」をどうにかしたくてなのだそうです。お悩みの方はやはり多いのですね。
だからこのことを通販でもうたいたいのですが、この連載当初からお伝えしているように、健康食品は薬ではありませんので効果効能を堂々と言うわけにはいきません。それで「体のお掃除屋さん」的な表現だとか、愛用者の言葉で「毎朝トイレの時間が習慣になって」などのコメントをさし込んだりなどの手法がとられますね。
で、どうなんでしょう。皆さん、“実際のところ青汁で便通は……?”と気になりますよね? この答えですが、私、結構大勢のユーザーさんに会ってきましたが、本当に人それぞれですねぇ。私も、理屈では食物繊維をたくさん摂るんだから排便もスムーズになるだろう、その助けにはなると思うのですが、飲んだ人の実感は千差万別。「すぐきた」という人もいれば「思ったほどなくて……」などさまざまです。
通販でない情報番組で「便秘」の解消法を医師に取材したことがあるのですが、その方も食物繊維を摂ることは大切ですよとは確かに言っていました。
ただ、その他にもいろいろ話してくれましたが、基本的に「食べる量を少なくしすぎると出るものもの出にくい」ということです。だから、食餌制限中の方などには便秘が比較的多いのだとか。
ここでもやはり、しっかり食べる、しっかり動く、という、ごくごくまっとうな健康習慣の理屈に戻っちゃうんですよね。
一方、男性で青汁を飲んでいる人は何を求めているんでしょう? メーカーの方によると、男性の青汁ユーザーは女性より少し年齢層が上の方が多いようです。健康診断でちょっと気になる数値が出て……的なところですね。
まあ健康食品全体について言えることですが、男性は女性よりも関心が薄いのです。
「ケール、オオムギ、etc. ……どれがいいかと言うと」
青汁と言えば、原料もいろいろありますよね! オオムギ若葉、ケール、ゴーヤー、さらにはコマツナやホウレンソウやシュンギクなどなど。「○○種類の野菜を一気に絞って青汁にして……」というのもあります。
じゃあ、どの原料がいいんかい! ということを聞かれるわけですが、正直よくわかりません。と言うか、はなはだ無責任な言いぐさではありますが、「どれもいいだろうけど、野菜そのものを食べるのにはやっぱり劣っちゃうんじゃない?」と思います。
あくまで野菜を摂りたいけど摂れない、というための代用品という考え方の方が理にかなっていますからね。青汁はどんなに優れた成分を含んだ野菜を原料にしていても、加工という過程を経る宿命なわけで、生でとるのと比べると、何らかの変質はあるわけです。
もちろん、加工すると一律に劣化するとも言えませんが。ここは一つ、青汁と普通の野菜で成分とお値段を比べて、みなさん一人ひとりで決めてもらうのがいいと思います。
「嗜好品化に活路があるんではないかなと思います」
主に通販商品として成長してきた青汁ですが、青汁のよさや、なぜ摂らないといけないかといった意義、今や青汁は飲みやすいという魅力などは、一通り消費者にも周知されたのではないかなあと思います。
では、この先何を訴えればいいんでしょう? そこで勝手に考える青汁の今後ですが、青汁を「水に溶かして健康のために飲む」という方法以外の青汁商品が成長していくかも、と思っています。
先日、とあるレストランに女性の知人と立ち寄ったのですが、カフェオレや抹茶オレなどと並んで「青汁豆乳ラテ」なるものがあり、知人が喜んで頼んでいました。この女性曰く、「青汁って自分で注文するとオバサンくさい気がするけど、こうして頼むのはおしゃれぽいじゃん」と。そんなオンナゴコロをくみ取る青汁メーカーが、これからの青汁市場を制していくかもしれませんね!
それからFoodWatchJapanの編集さんに聞いたんですが、米国には「ジャンバ・ジュース」というジュース・スタンドのチェーンがあって、主力商品はスムージーなんですが、「Wheatgrass Detox Shot」というおちょこみたいなもので出されるオオムギ若葉ジュースがあるんだそうです(detoxなんて、日本の業界では言いにくい語が入ってますが)。これ、オーダーすると、カウンターから見えるところにある、今まさに生えているネコ草みたいなものを搾ってくれるそうですよ。これも生ジュースであるところがミソだと思います。
このように「健康食品」の枠を越えた、「体にもいい嗜好品」という方向に広がると、違う成長の方向を見つけ出すのかなあと見ています。
さて次回は、見逃しがちな、メーカー側の健康食品の“飲み方”への気配りについてです。タブレットはどうして1日分を1粒にしないんでしょうね?